山中竹春前市長の辞職に伴う横浜市長選は10月18日に投票が行われ、即日開票の結果、無所属新人で弁護士の原沢あつみ氏が55万2207票を得て初当選した。横浜市選挙管理委員会が19日午前1時56分に確定させた候補者別得票数によると、得票率は39.49%で、市内18区のすべてで最も多く票を集めた。7人が立候補し、2位は参政党が推薦した福山あつし氏、3位は前市長の山中氏だった。投票率は45.56%で、前回の41.64%を上回った。

原沢氏が全18区で最多、得票率39.49%

市選管の確定値によると、7人の有効票の合計(得票総数)は139万8358票だった。原沢氏はこのうち55万2207票を得た。2位の福山氏(無所属新人)は23万418票、3位の山中氏(無所属)は19万9746票で、原沢氏の得票は2位の2.4倍にあたる。4位以下は、中谷一馬氏(無所属新人)17万9739票、藤川さちこ氏(同)9万7819票、あさか由香氏(共産党新人)8万9052票、山本理顕氏(無所属新人)4万9377票の順だった。

候補者 党派 得票数 得票率
原沢あつみ 無所属・新 55万2207 39.49%
福山あつし 無所属・新 23万418 16.48%
山中竹春 無所属 19万9746 14.28%
中谷一馬 無所属・新 17万9739 12.85%
藤川さちこ 無所属・新 9万7819 7.00%
あさか由香 共産党・新 8万9052 6.37%
山本理顕 無所属・新 4万9377 3.53%
横浜市長選の候補者別得票数(得票の多い順)出典: 横浜市選挙管理委員会「横浜市長選挙候補者別得票数」(確定・10月19日午前1時56分現在)

原沢氏の得票率は、区別に見ると中区の42.65%が最も高く、金沢区42.34%、磯子区41.98%と続いた。最も低かったのは港北区の33.16%で、都筑区の37.04%がこれに次いだ。港北区でも2位の中谷氏に1万1925票の差をつけた。

市長選で当選するには、最多得票に加え、一定の票数に達することが必要になる。市選管の資料によると、今回の法定得票数は34万9589.5票で、有効票の4分の1にあたる。原沢氏の得票はこれを約20万票上回っており、法定得票数に達したうえで最多得票となったため、当選が決まった。

立候補の際に預けた供託物を没収される基準となる「供託物没収点」は、有効票の10分の1にあたる13万9835.8票だった。藤川氏、あさか氏、山本氏の3人の得票がこれを下回った。

共産党が公認で擁立したあさか氏の得票率は6.37%だった。区別では鶴見区の8.07%が最も高く、南区の7.87%がこれに続いた。

選挙では「原沢あつみ」の名で届け出た。市選管が掲載した当選人の資料では、氏名は「原澤敦美」と記されている。原沢氏の公式サイトによると、東京都大田区で生まれ、3歳で横浜に移り、その後50年を磯子区と金沢区で過ごした。日本航空の整備部門に1992年から2004年まで勤め、一等航空整備士の資格を持つ。2009年に弁護士登録し、川崎汽船や東横イン、リコーリースの社外取締役などを務めてきた。

原沢氏は当選後、公式サイトに「当選のご報告」を掲載し、「期待を寄せてくださった方も、そうでない方も、同じ横浜に暮らす市民であることに変わりはありません」「どなたの声にも誠実に耳を傾け、『あなたの笑顔のために』開かれた市政を築いてまいります」とつづった。

2位争いは区ごとに入れ替わる、港北・都筑では中谷氏

市全体で2位となった福山氏は1989年横浜市生まれの起業家で、参政党は9月、同氏と政策協定を結んで推薦を決めていた。福山氏の公式サイトによると、同氏は2025年の前回市長選にも立ち、14万8236票を得ている。今回の得票は23万418票で、前回を約8万2000票上回った。

ただし2位の座は区によって入れ替わった。区別の得票を並べると、福山氏が2位だったのは鶴見区や青葉区など12区。山中氏は金沢、栄、泉、瀬谷の4区で2位に入った。旭区では福山氏が1万4298票、山中氏が1万4283票で、差は15票にとどまる。戸塚区も福山氏1万7215票、山中氏1万7154票と、61票の差だった。

前衆議院議員の中谷氏は、港北区で3万5214票(24.77%)、都筑区で1万7123票(20.39%)を得て、両区では2位に入った。2区の得票だけで5万2337票と、同氏の全市の得票の約3割を占める。ほかの16区では、いずれも4位だった。

前市長の山中氏の公式サイトは、同氏を「前横浜市長(2021年〜2026年)」と紹介している。市長を辞めて臨んだ今回の選挙で、全市の得票率は14.28%にとどまった。区別の得票率が最も高かったのは瀬谷区の16.89%で、最も低かったのは港北区の11.63%だった。

投票率45.56%、前回の41.64%を上回る

市選管の投票速報集計表(確定)によると、当日の有権者数は310万8312人で、投票者は141万6233人。投票率は45.56%で、前回の41.64%を上回った。男性は44.72%、女性は46.37%だった。

区別では、都筑区の48.88%が最も高く、金沢区48.15%、栄区48.10%、港北区48.09%が続いた。最も低かったのは鶴見区の40.46%で、南区の41.41%、瀬谷区の42.78%がこれに次いだ。前回からの上がり幅は都筑区、港北区、青葉区で大きく、都筑区は44.04%から48.88%に、港北区は43.36%から48.09%に、青葉区は42.10%から46.73%に上がった。

期日前投票は10月5日から17日まで行われた。市選管の速報値によると、期日前投票者の累計は47万980人で、投票者全体の約3分の1にあたる。初日の5日は1万2666人だったが、日を追って増え、最終日の17日は8万9253人と最も多かった。速報値のため、後日修正される場合があると市選管は注記している。

パワハラ問題からの辞職、新市長が引き継ぐもの

今回の選挙は、任期途中で山中前市長が辞めたことに伴うものだった。横浜市会の記者発表によると、山中氏は8月28日に辞職願を提出した。市長の職員への言動をめぐっては、第三者による調査の報告書が7月30日に市の総括コンプライアンス責任者へ提出されていた。報告書の内容は横浜市の第三者委、前市長のパワハラを認定 調査7事項のほとんどで事実あり 特別職も対象の「ハラスメント防止条例」制定を提言で、告示前の各党の動きは横浜市長選2026は10月4日告示・18日投開票 共産党はあさか由香氏を公認で擁立、参政党は福山敦士氏を推薦 立候補届出は4日午前8時半からで伝えている。

原沢氏は公式サイトで、政策を「くらしをまもる」「まちをそだてる」などの柱に分けて示している。防災では、豪雨に対応できる下水道などのインフラになっているかを改めて検証し、緊急性の高い地域から計画的に整備するとした。2026年4月に始まった中学校の全員給食については、安全面、供給面、品質面を一つひとつ検証するという。

財政では、市が将来の不測の事態に備えて積み立てている減債基金を年度間の財政調整などに使ってきた点を挙げ、「負担を安易に将来世代へ先送りしない市政を実現します」と掲げた。企業役員として経営に携わってきた経験を、大都市の経営に生かすとしている。

2027年に開かれる国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」については、成功させて横浜の魅力を国内外に発信する方針を示した。会場は市内の上瀬谷地区で、開催都市として準備を進めてきた市の取り組みは、新市長に引き継がれることになる。