国税庁は、令和7年度(2025年度)に国税の申告や納付がどれだけオンラインで行われたかをまとめた「オンライン(e-Tax)手続の利用状況等」を公表した。相続税申告のオンライン利用率は70.2%で、前年度の50.3%から大きく上がった。個人の所得税申告は77.4%、法人税申告は91.8%だった。国税の納付のうちキャッシュレスで払われた割合は49.7%となり、金融機関や税務署の窓口での納付の割合(45.0%)を上回った。
相続税は1年で7割に 件数は1.5倍
オンライン利用率は、申告などの手続の総件数のうち、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で行われた件数が占める割合を指す。国税庁は法人税、所得税、消費税、相続税の申告や、納税証明書の交付請求、国税の納付など9つを「主要手続」と位置付け、それぞれに目標値を設けている。
伸びが最も大きかったのは相続税申告だ。e-Taxで出された申告は18万406件で、前年度の12万1707件の1.48倍になった。利用率は令和3年度の23.4%から、29.5%、37.1%、50.3%と上がり、令和7年度に70.2%に達した。昨年の資料が掲げていた令和7年度末の目標は63%で、これを上回った。
国税庁はこれまで、e-Taxで送れる添付書類のPDFの容量を1回8メガバイトから14メガバイトに広げ(令和5年5月)、令和7年4月からはスキャナで読み取る際の要件を見直して、フルカラーでなく白黒(グレースケール)で読み取った書類でも出せるようにした。税理士が依頼を受けた納税者の「マイページ」を見られるようにする手直しも、令和7年5月に入れている。
国税局別に見ると、相続税申告の利用率は関東信越国税局の72.6%が最も高く、大阪の72.4%、沖縄の72.1%が続いた。最も低いのは熊本国税局の64.5%で、札幌が65.6%、名古屋が66.5%だった。
所得税・相続税申告のオンライン利用率の推移(%)
所得税相続税
数値で見る(単位: %)
| 項目 | 所得税 | 相続税 |
|---|---|---|
| 3年度 | 59.2 | 23.4 |
| 4年度 | 65.7 | 29.5 |
| 5年度 | 69.3 | 37.1 |
| 6年度 | 74.1 | 50.3 |
| 7年度 | 77.4 | 70.2 |
所得税申告は2111万件 目標の78%には届かず
確定申告で個人が出す所得税申告は、e-Taxでの申告が2111万4863件と、前年度の1989万8752件から6.1%増えた。利用率は74.1%から77.4%に上がったが、昨年の資料にあった令和7年度末の目標78%には届かなかった。令和8年度末の目標は80%で、令和7年度の実績との差は2.6%分ある。
国税局別では沖縄国税局が80.3%で最も高く、熊本(79.4%)、高松(79.3%)も8割に近い。最も低いのは札幌国税局の73.7%で、東京国税局は77.2%、大阪国税局は76.6%だった。
国税庁は利用率の推移を示すグラフに、これまでの手直しの時期を書き添えている。マイナンバーカードの読み取り回数を減らした(令和5年1月)、マイナポータル連携の対象に給与所得の源泉徴収票を加えた(令和6年2月)、利用者識別番号の確認を簡素にした(令和6年12月)といった項目が並ぶ。令和7年9月からは、カードそのものを読み取らなくても、iPhoneに入れたマイナンバーカードでe-Taxにログインし、電子署名もできるようになった。
個人事業者などが出す消費税申告(個人)は80.3%で、前年度の78.1%から上がった。令和7年度末の目標78%は上回っている。
法人税は91.8% 消費税の目標を94%に
法人の申告はすでに大半がオンラインで出ている。法人税申告の利用率は91.8%(290万6217件)で、令和8年度末の目標92%にほぼ並んだ。財務諸表など申告書に添付する書類まで含めてe-Taxで出した「ALL e-Tax」の割合は70.3%で、目標の72%を下回る。法人の消費税申告は92.6%だった。
法人税申告の利用率を国税局別に見ると、金沢国税局が94.3%で最も高く、熊本の93.4%が続いた。最も低いのは仙台国税局の89.9%だった。
目標は、政府の「規制改革実施計画」(令和3年6月18日閣議決定)を踏まえて国税庁が定める「オンライン利用率引上げに係る基本計画」に置かれている。国税庁は今回、この計画を令和8年10月20日に改定し、令和8年度末の目標のうち3つを引き上げた。法人の消費税申告は92%から94%、個人の消費税申告は80%から82%、納税証明書の交付請求は59%から69%とした。納税証明書の交付請求は、e-Taxでの請求が105万2655件と前年度の1.4倍になり、利用率は44.2%から61.2%に上がっていた。
| 手続 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度末の目標 |
|---|---|---|---|
| 法人税申告 | 89.1% | 91.8% | 92% |
| 添付書類を含めたe-Tax(ALL e-Tax) | 67.7% | 70.3% | 72% |
| 消費税申告(法人) | 90.2% | 92.6% | 94%(92%から引き上げ) |
| 所得税申告 | 74.1% | 77.4% | 80% |
| 消費税申告(個人) | 78.1% | 80.3% | 82%(80%から引き上げ) |
| 相続税申告 | 50.3% | 70.2% | 72% |
| 納税証明書の交付請求 | 44.2% | 61.2% | 69%(59%から引き上げ) |
| 国税の納付(キャッシュレス納付割合) | 46.1% | 49.7% | 54% |
| 源泉所得税(所得税徴収高計算書) | 28.5% | 34.0% | 36% |
出典: 国税庁「令和7年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」「令和6年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」
主要手続以外では、贈与税申告が76.4%、印紙税申告が73.0%、給与所得の源泉徴収票など6種類の法定調書が79.7%だった。酒税申告は92.0%で、前年度の93.3%から下がった。
納付はキャッシュレスが窓口を上回る
令和7年度の国税の納付は5049万件で、このうちキャッシュレスでの納付は2510万件、割合は49.7%だった。窓口での納付は2270万件(45.0%)で、内訳は金融機関の窓口が2196万件、税務署の窓口が74万件。コンビニエンスストアでの納付は269万件だった。
令和3年度には窓口での納付が2973万件と全体の62.0%を占め、キャッシュレスは32.8%にとどまっていた。キャッシュレスの中では、e-Taxからの口座振替である「ダイレクト納付」が263万件から686万件に、インターネットバンキングなどによる納付が629万件から1048万件に増えた。クレジットカード納付は159万件。スマートフォンの決済アプリによる納付は前年度の63万件から37万件に減った。
ただ、昨年の資料が示した令和7年度末の目標50%には届いていない。国税庁は今回、官庁会計システムを通じた源泉所得税の納付や、国税当局が手作業で口座引き落としを依頼していた振替納税を、これまでの「金融機関窓口」から「キャッシュレス」に数え直した。過去の年度も同じ方法で計算し直しており、令和7年度の割合は見直し前の算定では48.9%だった。源泉所得税(所得税徴収高計算書)に限ったキャッシュレス納付の割合は34.0%で、令和8年度末の目標は36%としている。
JPEGでの提出や100メガバイト送信も
国税庁は、令和8年度以降に入れる手直しも示した。令和9年1月からは、個人事業者が開業するときに出す複数の届出書をまとめて出せるようにし、廃業届出書や青色申告の取りやめ届出書などは、青色申告決算書や収支内訳書に届け出る内容を入力すれば済むようにする。Androidのスマートフォンに入れたマイナンバーカードの券面情報を使い、氏名や住所を自動で書き写せるようにするのも同じ時期だ。
令和9年9月には、法人がe-Taxを使う際に、「GビズID」でログインできるようにし、社員ごとに使える機能や見られる情報の範囲を決められるようにする。令和10年1月からは、添付書類をPDFに加えてJPEG形式でも出せるようにし、1回に送れるデータの量を最大100メガバイト程度まで広げる。
国税庁は資料の冒頭で、令和7年度もe-Taxとキャッシュレス納付の利用は「順調に拡大しています」と記した。令和8年度末の目標まで、所得税申告は2.6%分、キャッシュレス納付は4.3%分の開きが残っている。
