日本銀行は10月1日午前8時50分、第210回の全国企業短期経済観測調査(短観・2026年9月調査)を公表した。景気の現状を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業がプラス24で、6月調査のプラス22から上向いた。6月調査の時点で企業が3か月後について答えていた予測はプラス17だったため、実際の景況感はその予測を上回った。全規模・全産業ではプラス18からプラス21に上がった。

業況判断DIは「良い」から「悪い」を引いた数

短観は、日銀が全国の企業に自社の景況感や事業計画を四半期ごとに尋ねる調査である。業況判断DIは、自社の業況を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数で、ゼロを上回れば「良い」と答えた企業のほうが多いことを示す。日銀が金融政策を決める際の基礎資料の一つとして使われる。

今回の調査対象は9104社(製造業3776社、非製造業5328社)で、回答率は99.4%だった。回答期間は8月26日から9月30日までで、公表前日まで企業の回答を受け付けている。企業は同時に、業況が3か月後にどうなるかの予測(先行き)も答えている。

大企業は製造業が上向き、非製造業は宿泊・飲食が下げる

大企業・製造業のプラス24を業種別に見ると、改善が目立ったのは石油・石炭製品で、6月調査のプラス9からプラス36へ上がった。非鉄金属はプラス36からプラス45、化学はプラス20からプラス26、鉄鋼はマイナス6からプラス6へ転じた。逆に木材・木製品はプラス7からマイナス7へ落ち込んだ。

大企業・非製造業はプラス37からプラス35へ下がった。業種別では建設がプラス52からプラス56へ上がって最も高い水準だったが、宿泊・飲食サービスがプラス46からプラス38、物品賃貸がプラス50からプラス46、小売がプラス33からプラス29へ下がった。

先行きは大企業・製造業がプラス21、非製造業がプラス30で、いずれも現状より低い水準を企業が見込んでいる。中小企業は製造業がプラス9からプラス14へ改善し、非製造業はプラス15で変わらなかった。中小企業の先行きは製造業プラス12、非製造業プラス10である。

2026年度の設備投資計画は7.6%増へ上方修正

2026年度の設備投資計画(土地を含み、ソフトウェアと研究開発を除く)は、全規模・全産業で前年度比7.6%増となった。6月調査の6.8%増から上方修正された。規模別では大企業・全産業が11.3%増(6月調査は11.5%増)、中堅企業・全産業が7.3%増(同6.0%増)で、中小企業・全産業は4.7%減(同8.3%減)と、減少幅が縮んだもののマイナスが残った。

2026年度の売上高は全規模・全産業で前年度比4.1%増の計画で、6月調査の2.5%増から引き上げられた。経常利益は2.2%増の計画で、6月調査では6.5%減を見込んでいたものが増益の計画に転じた。事業計画の前提となる想定為替レートは2026年度平均で1ドル154円23銭で、6月調査の152円57銭より円安方向に動いている。

借入金利の「上昇」超は中小企業で最も広がった

借入金利の水準について「上昇」と答えた企業の割合から「低下」を引いたDIは、全規模・全産業で6月調査の61から68へ拡大した。規模別では大企業が59から65、中堅企業が62から67、中小企業が61から70となり、中小企業の広がりが最も大きい。先行きは全規模・全産業で71、中小企業では74まで上がる見通しだ。

日銀は9月19日の金融政策決定会合で、政策金利を1.00%から1.25%程度へ引き上げている(日銀、政策金利を1.00%から1.25%程度へ引き上げ 賛成7・反対2 借入金利が同じだけ上がると1社平均で年46万円の利息負担増)。植田和男総裁は9月25日の講演で「政策の局面が変化した」と述べている(日銀・植田総裁「政策の局面が変化した」 利上げの狙いは物価を2%へ上げることから2%で定着させることへ 次も「基本的には利上げ」)。今回の短観は、その利上げを企業が資金調達の現場でどう受け止めているかを示す数字でもある。

一方、資金繰りを「楽である」と答えた割合から「苦しい」を引いたDIは全規模・全産業で11となり、6月調査と同じだった。金融機関の貸出態度を「緩い」と答えた割合から「厳しい」を引いたDIも13で変わっていない。金利の上昇は実感されているが、借りやすさ自体はまだ変化していない。

人手不足感は12月にかけてさらに強まる見通し

雇用人員が「過剰」と答えた割合から「不足」を引いたDIは、全規模・全産業でマイナス38となり、6月調査のマイナス37から不足感が強まった。中小企業・全産業はマイナス39からマイナス42、中小企業の非製造業はマイナス46からマイナス47で、規模が小さいほど人手が足りていない。先行きは全規模・全産業でマイナス41、中小企業・全産業でマイナス45と、年末にかけてさらに強まる見通しが示された。

企業自身の物価見通しは、全規模・全産業で1年後が前年比2.6%(6月調査は2.7%)、3年後が2.6%(同2.6%)、5年後が2.5%(同2.6%)となり、1年後と5年後がわずかに下がった。仕入価格が「上昇」と答えた割合から「下落」を引いたDIは中小企業・製造業で76から71へ縮小し、販売価格のDIは40から41へ上がって、先行きは47を見込んでいる。仕入れの値上がり圧力が和らぐ一方で、中小企業は販売価格の引き上げを続ける計画である。