外国の若者を日本の地方自治体が招き、学校の外国語授業の補助や地域の国際交流の仕事に就いてもらう「JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)」が、1987年(昭和62年)の創設から40年を迎えた。総務省、外務省、文部科学省と一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)は11月2日、東京都千代田区で記念式典と記念レセプションを開く。総務省が10月26日に発表した。CLAIRによると、事業の参加者は初年度の4か国848人から、2025年7月1日現在で54か国5933人に増えている。

11月2日に東京で式典、ネットでも中継

総務省の報道資料によると、式典は11月2日(月)午後3時から5時半まで、記念レセプションは同6時から7時半まで、いずれも東京都千代田区隼町のホテルグランドアーク半蔵門で開かれる。主催は総務省、外務省、文部科学省とCLAIRの4者。

開催の趣旨について資料は「これまでの成果を振り返り、今後の本プログラムの一層の充実に資するとともに、各界各層に幅広く本プログラムを発信するため」と説明している。CLAIRは式典のテーマを「JETが繋いだ40年」としている。

式典は3部で構成する。第1部はCLAIR理事長の開会あいさつに続き、3省の代表者が主催者としてあいさつし、駐日大使が来賓としてあいさつする。その後、現役の参加者の代表と参加経験者の代表が「JET宣言」を読み上げる。第2部では参加経験者の代表による記念講演と、経験者による活動成果の報告がある。CLAIRの案内では、記念講演はJETプログラムの同窓会組織であるJETAAが担う。第3部はJETプログラムのフォトコンテストの表彰式に充てる。

CLAIRは式典の様子を動画配信サイトで中継するとして、配信先を公式ページに載せている。会場に行けない人も、中継で式典を見ることができる。

自治体が外国の若者を雇う仕組み

JETプログラムは、外国語教育の充実と地域の国際交流を進めることを通じて、日本と諸外国の相互理解を深め、地域の国際化を進めることを目的に、1987年度に始まった。参加者を雇うのは国ではなく、都道府県や市町村などの地方公共団体で、CLAIRは雇う側を「任用団体」と呼んでいる。現在は47都道府県と18の政令指定都市を含む約1000の地方公共団体などが参加者を受け入れている。

職種は3つある。最も多いのは、学校で外国語の授業を補助する「外国語指導助手(ALT)」。次いで、地方公共団体で国際交流の業務に就く「国際交流員(CIR)」。スポーツの指導を通じて国際交流に携わる「スポーツ国際交流員(SEA)」は1994年に招致が始まった。

初年度の1987年に来日した第1期生は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの4か国から来た848人だった。内訳はCIRが35人、公立の中学校・高校で外国語指導を補助するALTが813人で、当初から語学指導が事業の中心だった。

任用の期間について、CLAIRの年表によると、2007年に3年目以降の参加者について任用団体が再任用を望む場合、最長5年まで延長できるようになった。

6000人台を頂点に減り、再び6000人近くへ

参加者数は、創設から十数年は右肩上がりで増えた。1992年に3325人となり、CLAIRは「当初の目標であった、3,000人を達成」と記している。1995年に4628人、2000年に6078人となり、2002年には38か国から6273人を迎えた。CLAIRはこの年の人数を「史上最高」としている。

2002年には、小学校を専門に担当するALTの枠が初年度20人で設けられ、応募できる年齢の上限が35歳未満から40歳未満に引き上げられた。2005年には招致の対象言語にロシア語が加わった。

ただ、2000年代半ばからは人数が減った。2005年に5853人、2008年に4682人となり、2011年には4330人まで減った。その後は再び増え、2018年に54か国5528人、2019年に57か国5761人となった。

2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の入国制限により、参加者の来日は不定期になった。2022年に50か国5723人を迎えて以降は、2023年が5831人、2024年が5861人、2025年が54か国5933人と、3年続けて前年を上回っている。2025年の人数は、2002年の最多記録より340人少ない。

JETプログラム参加者数の推移(人)

02,0004,0006,0008,0008481987年3,3251992年6,2732002年4,3302011年5,7612019年5,9332025年
2020年と2021年は入国制限のため不定期の来日出典: 自治体国際化協会「JETプログラム 歴史」
数値で見る(単位: 人)
項目人
1987年848
1992年3,325
2002年6,273
2011年4,330
2019年5,761
2025年5,933

半数余りが米国から、1年目は1501人

CLAIRが公表している2025年7月1日現在の参加者数は5933人で、職種別ではALTが5418人と全体の9割を超える。CIRは503人、SEAは12人だった。

出身国別では、アメリカが3032人で全体の半数余りを占める。イギリスが777人、カナダが521人、オーストラリアが255人、ニュージーランドが171人、アイルランドが119人と、英語圏の国が上位に並ぶ。CLAIRは「英語圏出身の外国語指導助手(ALT)はJET参加者の多数を占めています」と説明する一方、英語圏以外の出身のALTやCIRもいるとしている。

出身国 ALT CIR SEA 計
アメリカ 2,908 121 3 3,032
イギリス 733 44 - 777
カナダ 496 25 - 521
オーストラリア 236 19 - 255
ニュージーランド 165 6 - 171
アイルランド 108 11 - 119
全体(54か国) 5,418 503 12 5,933
JETプログラム参加者の出身国別人数(上位6か国、2025年7月1日現在)

出典: 自治体国際化協会「JETプログラム 参加国」

参加年数別にみると、1年目が1501人、2年目が1705人、3年目が1141人、4年目が792人、5年目が794人だった。3年目までの参加者が全体の7割余りを占め、4年目以降は合わせて1586人となっている。

40年の節目、経験者が語る場に

今回の式典では、現役の参加者に加えて、参加を終えた経験者が「JET宣言」や記念講演、活動成果の報告に立つ。JETプログラムの同窓会組織JETAAは、CLAIRの年表によると1989年に発足し、当初の37支部から2012年には50支部に増えた。式典では、この事業を経験した人たちが40年の成果を語る形になる。

総務省の資料は、式典を「今後の本プログラムの一層の充実」と「各界各層」への発信の場と位置づけている。参加者数は2002年の最多記録に近づきつつあり、受け入れる自治体は全国で約1000に上る。創設時に4か国だった招致国は54か国に広がった。式典で3省とCLAIRが今後の事業の方向をどう示すかが注目される。