厚生労働省が公表した令和7(2025)年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男が81.35年、女が87.33年となり、いずれも前年を上回った。前年からの延びは男が0.25年、女が0.20年。男女差は5.98年で、前年の6.03年から縮んでいる。公表は令和8年7月24日。
平均寿命とは 0歳の人が平均してあと何年生きられるかの期待値
生命表は、ある期間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値を、死亡率や平均余命といった指標で表したものだ。この「あと何年」が平均余命で、0歳の平均余命を平均寿命と呼ぶ。男女別に各年齢の人口と死亡数から計算するため、実際の人口の年齢構成には左右されず、死亡状況だけを映す。厚労省はこれを「保健福祉水準を総合的に示す指標」と位置づけている。
厚労省は生命表を2種類作っている。毎年作る簡易生命表は、人口推計による日本人人口と、人口動態統計月報年計(概数)による死亡数・出生数をもとにする。5年ごとの完全生命表は、国勢調査による確定数の人口と、人口動態統計の確定数を使う。今回は前者で、令和7年1月1日から12月31日までの1年間が作成基礎期間である。令和7年は国勢調査の実施年にあたるため、厚労省は完全生命表も作成する予定だとしている。
平均余命は0歳だけでなく各年齢で算出される。令和7年は男女ともすべての年齢で前年を上回った。65歳の平均余命は男19.68年・女24.52年で、前年の男19.47年・女24.38年から延びている。75歳では男12.24年・女15.88年、90歳では男4.38年・女5.66年だ。
昭和22年の男50.06年から31.29年延びた コロナ禍の落ち込みも戻す
戦後最初の生命表である昭和22年は、男50.06年、女53.96年だった。令和7年までに男は31.29年、女は33.37年延びたことになる。途中の水準をみると、昭和30年が男63.60年・女67.75年、昭和50年が男71.73年・女76.89年、平成12年が男77.72年・女84.60年、平成27年が男80.75年・女86.99年である(令和2年以前は完全生命表による値)。
直近は横ばいが続いていた。令和2年に男81.56年・女87.71年をつけたあと、令和3年が男81.47年・女87.57年、令和4年が男81.05年・女87.09年と2年続けて下がり、令和5年が男81.09年・女87.14年、令和6年が男81.09年・女87.13年とほぼ動かなかった。令和7年の男81.35年・女87.33年は、その足踏みから抜けた数字である。ただし令和2年の水準には、男が0.21年、女が0.38年届いていない。
男女差の5.98年は、公表資料に年次が載っている範囲では平成2(1990)年の5.98年と並んで最も小さい。平成17年の6.96年が最も大きく、そこから縮む方向が続いている。
延ばしたのはがんと心疾患、コロナの収まり 肺炎と老衰は逆に縮めた
厚労省は、平均寿命の前年との差を死因別の寄与年数に分解している。男の0.25年の内訳は、悪性新生物(腫瘍)が0.10年、新型コロナウイルス感染症が0.08年、心疾患(高血圧性を除く)が0.05年、脳血管疾患が0.02年で、この方向に働いた。女の0.20年も同様に、新型コロナが0.06年、心疾患が0.06年、悪性新生物が0.05年、脳血管疾患が0.01年である。がん・心疾患・脳血管疾患の3つを合わせた寄与は男0.17年、女0.12年になる。
逆に寿命を縮める側に働いたのが肺炎と老衰だ。肺炎は男が0.02年、女が0.01年、老衰は男女ともに0.01年、平均寿命を押し下げた。
死因別死亡確率でも同じ傾向が出ている。これは生命表上で、ある年齢の人が将来どの死因で死亡するかを確率で表したものだ。0歳でみると、男は悪性新生物が25.41%で最も高く、心疾患13.60%、老衰9.02%、肺炎6.26%、脳血管疾患6.03%と続く。女は老衰が21.74%で最も高く、悪性新生物18.95%、心疾患14.42%、脳血管疾患6.33%、肺炎4.58%の順になる。老衰の確率は上がり続けており、0歳の女は令和3年の18.80%から令和7年の21.74%へ、男は7.41%から9.02%へと動いた。
一方、がん・心疾患・脳血管疾患の3つを合わせた0歳の死亡確率は下がっている。男は令和3年の48.90%から令和7年は45.03%、女は43.52%から39.70%になった。仮にこの3つで亡くなることがなくなったとすると、0歳の平均余命は男が5.84年、女が4.77年延びる計算だ。
女は世界1位、男は7位 90歳まで生きるのは男26.7%、女50.8%
厚労省は、平均寿命の国際比較は国によって作成方法が異なるため厳密な比較は難しいと注記した上で、入手した資料での順位を示している。女は日本の87.33年(2025年)が1位で、韓国86.6年(2024年)、スペイン86.53年(2024年)が続く。男の1位はスウェーデンの82.52年(2025年)で、スイス82.4年(2024年)、イタリア81.744年(2025年)の順。日本の81.35年は7位にあたる。
生命表は、10万人が生まれたとして各年齢に何人残るかも示す。65歳まで生きるのは男89,892人・女94,533人で、割合にすると男89.9%、女94.5%。75歳までは男76.0%、女88.1%、90歳までは男26.7%、女50.8%となり、女は半数が90歳を超える。100歳以上の高齢者が初めて10万人を超える 10万7677人、前年から7914人増 女性が87.6% という統計の偏りも、この生存率の差の延長線上にある。
出生した人のうちちょうど半数が生存すると期待される年数を寿命中位数という。令和7年は男84.13年、女90.17年で、平均寿命を男は2.78年、女は2.84年上回る。若い年齢で亡くなる人がいる分、平均は中位数より低く出るためだ。厚労省は、令和7年が国勢調査の実施年であることから、確定数を使った完全生命表を作成する予定だとしている。
