政党のチームみらいが公開している組織目標「OKR」の10月30日更新分で、党内の11の本部が掲げた「主要な成果」77項目のうち、党が「達成」と判定したのは4件、「順調」は44件だった。「注意」は12件、「未着手」は17件。期間は2026年10〜12月の3か月で、更新は始まって1か月の時点にあたる。所属議員12人の議員室ごとに立てた97項目は、月1回の判定がまだ行われておらず、すべて「未着手」の扱いとなっている。安野貴博党首は10月22日に公表した文書で、OKRの公開を、党内の意思決定の過程を外から見えるようにする「まる見え」の取り組みの一つに位置付けていた。
11本部・28の目標に77の成果指標
OKRは「Objectives and Key Results」の略で、達成したい目標(O)と、その到達度を測る主要な成果(KR)を組にして立てる目標管理の手法。安野党首は「まる見え」宣言で、インテルで生まれ、グーグルなど多くの企業やスタートアップが使ってきたと説明し、「達成が容易ではない大胆な目標を掲げるのが特徴だ」と書いている。
チームみらいのOKRサイトによると、党全体の目標は「デジタル民主主義」「オープン」「組織強化」「採用」の4本で、党全体のOKRは執行役員会のOKRと同じだとしている。各本部はこれにつながる形で目標を立てる。サイトは前提として、OKRは優先順位を示すもので全ての仕事を網羅するものではないこと、期中に更新することがあり、変更の履歴はGitHubで管理することを掲げている。
本部は広聴本部、政務調査会、国会対策委員会、議員本部、広報本部、開発本部、組織活動本部、人事本部、事務本部、選挙対策本部、党首付の11。目標の数は合わせて28、主要な成果は77項目ある。それぞれに「達成」「順調」「注意」「未着手」のいずれかの状態が付く。
本部のOKR、主要な成果77項目の状態(項目)
数値で見る(単位: 項目)
| 項目 | 項目 |
|---|---|
| 達成 | 4 |
| 順調 | 44 |
| 注意 | 12 |
| 未着手 | 17 |
「達成」と「順調」を合わせると48項目で、全体の6割を超える。議員本部、人事本部、選挙対策本部の3本部は、全ての項目で取り組みが始まっている。
「達成」は提言提出・方針転換・採用・候補者発表
「達成」と判定された4項目には、党が理由を添えている。
政務調査会は、二つのテーマで国民の声を聴き、政策案を磨き、提言にまとめるまでを完走する項目を達成とした。理由は「AI失業、AIサイバー対策の提言を政府に提出したため」。組織活動本部は、党の方針転換(OKRでは「破フェーズへの方針転換」と表記)を、AIインタビューなどの手法を使って完遂する項目を達成とし、「AIインタビューで声を聞き、決定と理由を10/7の配信で説明し、方針転換が完了したため」と記した。人事本部は本部長候補を3人以上採用する項目で「3人の採用が確定したため」、選挙対策本部は地方選の候補者を0〜3人公表する項目で「山田ゆうじさんの発表会見が完了したため」とした。
数値で途中経過が示されている項目もある。広聴本部は、10〜12月にツールで集めて公開する国民の声を計1万件にする目標に対し、現在値を2741件としている。党内の論点10件で声を集めて担当に渡す項目は2件、改善策を10回共有する項目は3回。開発本部が掲げる、全12議員室の調査研究広報滞在費(調研費、旧文通費)を同党の「まる見え政治資金」で公開する項目は、12室のうち1室で公開が始まっている。人事本部の、本部長候補や高度専門人材のエントリーを10件以上集める項目は3件となっている。
「注意」は10月期限の広報や法案の扱い
「注意」が付いた12項目のうち5項目は広報本部にある。10月中にAI失業をテーマにした最初のコンテンツを出す項目、党に触れた人がデジタル民主主義への参加まで進む道筋の仮説を10月中に党内で公開し執行役員会で合意する項目など、10月を期限にした項目が含まれる。法案への賛否を決める前の情報収集として有識者へのインタビューを12回以上行う項目は、現在値が1回となっている。
政務調査会では、臨時国会の重要法案(党の区分で重要度S)の全てを、国民の声を聴いて政策を磨く「デジタル民主主義ループ」を回して扱う項目と、賛否の判断の拠り所とする「目的関数」の0.1版を臨時国会の法案で運用する項目の2つに「注意」が付く。いずれも数値欄は目標100%に対し0%となっている。組織活動本部の、デジタル民主主義の場を10〜12月に計20回、延べ参加300人開く項目も、現在値は0回、0人となっている。
一方、全ての提出法案(閣法と議員立法)について、賛否と最小限の根拠を委員会採決の日に同党の「みらい議会」で公開する政務調査会の項目は「順調」とされる。国会対策委員会は、審議拒否をせず合意形成と政策面の協調で国会運営する項目を掲げ、審議拒否の手段を使う回数を0回にすると記している。この項目も「順調」となっている。
12議員室のOKR、「政府を動かした」の判定基準
OKRサイトは、所属議員の議員室ごとのOKRも公開している。対象は参院議員の安野党首と、衆院議員11人の計12議員室。議員室の目標は32あり、うち17は党全体の必達目標を達成するという共通の目標、15は議員ごとの政策の目標で、主要な成果は合わせて97項目。いずれも「未着手」となっている。
| 議員 | 院 | 党の役職 | 議員室の目標(抜粋) |
|---|---|---|---|
| 安野貴博 | 参院 | 党首 | 全法令をAIで点検し続ける仕組みを政府につくる |
| 古川あおい | 衆院 | 幹事長・議員本部長 | 国民の声で厚生労働分野の国の運用を変えた事例をつくる |
| 河合道雄 | 衆院 | 政調会長 | 文部科学分野の一般質疑で政府を動かした実績をつくる |
| 高山聡史 | 衆院 | 国対委員長 | AI政策、経済安全保障など担当分野で、国民の声から政策実現を前進させる |
| 武藤かず子 | 衆院 | 国対委員長代理 | 情プラ法やこどもSNS規制で国を動かした事例をつくる |
| 峰島侑也 | 衆院 | 広報本部長 | 「声が国会を動かした」事例をつくる |
| 須田英太郎 | 衆院 | 組織活動本部長 | 国交分野で2回目の実績をつくり、質疑の進め方を完成させる |
| 宇佐美登 | 衆院 | - | 自衛官の定員確保に向けて政府を動かす |
| 林拓海 | 衆院 | - | 担当委員会で国民の声で政府を動かした事例をつくる |
| 小林修平 | 衆院 | - | 担当委員会の法案を解説し、国会の議論をわかりやすく伝える |
| 土橋章宏 | 衆院 | - | 視察で見た課題から政府の対応を引き出す |
| 山田瑛理 | 衆院 | - | 災害対策・総務の分野で政府を動かした実績をつくる |
出典: チームみらい「各議員室のOKR」(2026年10月30日更新)
安野党首の議員室は、AIに全ての法律を読ませて「対面で」「書面で」といったデジタル化以前の前提を残す規定の改正候補を数十件見つけたとし、これを政府の仕事にすることを狙いに挙げる。改正候補を公開して当事者の声を集め、国会でAIによる全法令の定期点検を政府の仕組みに組み込むよう求める、という3つの成果指標を置いている。
党は、議員室の「国を動かす事例」の達成を判定する共通の基準も示した。成果の種類は、大臣や政府参考人の答弁での検討・実施の明言、法案の附帯決議への反映、申し入れに対する所管部局の回答、検討会資料やガイドライン、概算要求といった政府文書への反映の四つ。そのうえで、政府がすでに表明していた内容ではないこと、「検討してまいります」などの定型句ではなく検討の場・時期・対象が特定されていること、AIインタビューの要旨と質疑の該当箇所を対応付けて記録していることの三つを全て満たした場合に達成とみなす。
議員本部は、議員室ごとのOKRを公開し、月1回の判定と公開を期間中に3回行うことを目標の一つに掲げている。10月30日時点の現在値は0回だった。
党首の「まる見え」宣言、決める過程を外へ
OKRの公開は、安野党首が10月22日に note で公表した「チームみらい『まる見え』宣言」で打ち出した取り組みの一つだ。安野党首は、これまで党が公開してきたのは意見を言う入口(AIインタビューなど)と、最終的にどう決めたかという出口の部分で、「意思決定に至るまでの過程や中間生成物についてはブラックボックスのままだった」と書いた。
宣言で新たに公開を広げるとしたのは4つ。法案の賛否を決める党内会議の動画公開、OKR、調研費の使い道、海外視察の報告と費用だ。OKRについては「組織がこれから何に取り組むのかを外から見える状態にすること」が政治をオープンにすることの一つの実践だとし、「外からのフィードバックによって目標が磨かれ、進捗することを期待して公開する」と説明した。調研費は峰島侑也議員の2026年2〜8月分の公開をすでに始め、他の議員も準備を進めているとしている。
宣言は公開の難しさにも触れている。党内の議論をオンライン掲示板で公開してきたチェコの海賊党が、2024年10月の党員投票で閲覧を党員と登録サポーターに限ったことを例に挙げ、公開の範囲と責任の所在をはっきりさせることや、国会の会期ごとに取り組みを振り返ることを対策に挙げた。当事者・有識者・他党からオフレコを前提に聞いた情報や個人情報は公開の対象外としている。
OKRサイトは「党首もメンバーも毎週このページを見て働いています」と記し、内容への意見を受け付けている。宣言は、政党の中が見える政治の方が「国民の声を届けやすくなり、政党は健全に鍛えられ成長してゆく」と結んでいる。10〜12月期の各項目の判定は期間の終わりに向けて更新が続き、議員室についても党は月1回の判定と公開を目標に掲げている。
