立憲民主党の田名部匡代幹事長は10月8日の参議院本会議で、高市首相の所信表明演説に対する代表質問に立った。党が公表した予定原稿の全文によると、田名部氏は会派「立憲民主・無所属」を代表し、災害対応、財政、消費税、物価高、米政策、外交・安全保障、政府広報など15の項目にわたって計22問を首相と簗農林水産相に質問した。政府側の答弁は、本稿の執筆時点で国会会議録検索システムに会議録が掲載されておらず、確認できていない。

代表質問は、首相の所信表明演説などを受けて、各会派の代表が本会議で政府の方針をただす場だ。今国会(第222回臨時国会)では、衆参両院で各会派の代表質問が行われた。

利払費「今年度約13兆円、2029年度に20.7兆円」

田名部氏は、首相が掲げる「責任ある積極財政」について「問われるのは、その財源と、成果、そして成果が得られなかった場合の対応」と述べた。主要な施策ごとに支出規模と財源の見通しを示し、賃金や地域経済への効果をどの指標でいつまでに検証するのか、効果の乏しい事業を縮小・終了する基準は何かを問うた。

財政の持続可能性では、国債の利息の支払いにあてる利払費を取り上げた。田名部氏は、今年度の利払費は約13兆円で、積算金利3%を前提とした財務省の試算では2029年度に20.7兆円になると指摘した。成長率や税収が想定を下回り、さらに金利が上がった場合に、必要な予算を守りながらどう持続可能性を確保するのか、具体的な答えを求めた。

「強く豊かな日本」投資枠に上限(シーリング)を設けず、経済安全保障上特に重要な分野を特別会計で別枠管理する方針についても、歳出全体の膨張をどう抑えるのかを質問した。一般会計と特別会計の重複を除いた支出総額、財源、将来負担を国会に示し、毎年度検証するよう求めた。

食料品の消費税は「減税より給付」 支援の空白をただす

政府は来年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に下げ、その後「就業者負担軽減支援金」の本格導入につなぐ方針を示している。田名部氏は、レジ改修支援や自治体のシステム改修などに1,119億円の予備費使用が決まっていると述べ、事務費、減税による減収、支援金の給付に必要な額の試算と財源の見通しを示すよう求めた。

田名部氏によると、制度の大綱では、支援金の対象にならない低所得の就業者などへの対応は2028年度中に、就業していない高齢者などへの対応は2030年までに結論を得るとしている。一方で税率の引き下げは2029年3月末で終わる。田名部氏は、税率を戻す時点で支援の空白をどう防ぐのかをただし、所得階層・世帯類型ごとの家計負担の試算をいつ国会に示すのかを問うた。

党の立場については、前日の7日に消費税減税と支援金への考え方を決めたと説明した。円安と原油高で食料品の値上がりが続き、物価上昇が食料品以外にも広がっているとして、「減税」より「給付」の方が物価高対策として効果が高いと主張した。予備費を財源に年度内に今ある仕組みで給付し、所得に連動した暫定の給付制度を経て本格的な「給付付き税額控除」につなげる案を示し、首相の見解を求めた。党の対案の中身は立憲民主党、食料品減税から「給付中心」へ転換の対案 2026年度内に住民税非課税世帯へ給付、2027年4月に簡易版、2029年4月に給付付き税額控除 政府案には反対で伝えている。

米の在庫150万トン、待遇差の説明義務

米政策では、所信表明演説に食料安全保障の具体策も現場の課題への言及も「一切ありませんでした」と批判した。田名部氏は、8月末の米の民間在庫が150万トンと前年同月より66万トン多く、出荷業者による昨年産米の累計販売数量は前年同時点より19.9万トン少ないと指摘した。産地の集荷業者から「農家の米を買い取りたいが、資金や倉庫の余力がない」との声が届いているとして、融資や保管場所の確保を含む具体策を求めた。米の販売価格が生産費を下回った場合に、農家の所得と再生産を直接支える予算をどれだけ確保するのかも問うた。

働く人の待遇では、厚生労働省の2025年の調査で非正規雇用の一般労働者の所定内給与が正社員の67.4%にとどまると述べた。田名部氏によると、今月1日から企業は雇い入れの際に、待遇差の説明を求められることを対象の労働者に明示する義務を負っている。田名部氏は「職場で待遇差の説明を求めることは、働く人にとって勇気のいること」と述べ、申し出を待つだけでなく、企業の自主的な説明と行政による是正をどう強めるのかをただした。

中小企業については、7〜9月期の業況判断DIがマイナス15.5、コスト全般の価格転嫁率が54.2%にとどまると挙げ、年内の追加対策を問うた。電気・ガス料金の支援が9月使用分で終わったことにも触れ、冬に向けた家計への追加支援を求めた。

簗農水相の発言、外交、広報予算10倍

簗農水相の「道路予算を大幅に削った」とする発言については、簗氏本人に経緯と意図の説明を求め、首相には任命責任と続投の是非をただした。この問題をめぐる立憲の対応は立憲、簗農水相の辞任要求へ 斎藤国対委員長「公的な予算の私物化」「有権者や地方自治体へのハラスメント」 簗氏は発言を撤回し国交省への働きかけは否定で伝えている。

外交では、9月22日(現地時間)の日米首脳会談で、尖閣諸島への日米安全保障条約第5条の適用や台湾海峡の平和と安定、中国による対日輸出管理について日本の立場をどう伝えたかを問うた。国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らへの米国の制裁について、首脳会談で反対と撤回の要求を伝えたかもただした。来月、中国・深圳で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の機会に日中首脳会談を行う意思があるかも尋ねた。安全保障関連3文書の見直しでは、GDP比などの数値を先に決めず、必要な経費を積み上げて防衛費を決める従来の原則を維持するのかを問うた。

最後に取り上げたのは政府広報の予算だ。田名部氏は、内閣広報室の2027年度概算要求が約72億円と今年度当初予算の約7億円の10倍を超え、内閣府の政府広報費も当初予算の78.8億円から概算要求で280.5億円に増えていると指摘した。増額の使途と積算、効果検証の方法を示すよう求め、政府広報が政権や政治家の宣伝にならないための基準と、発注先の選定過程や支出を公開する仕組みを設けるかを問うた。