茂木敏充外相は10月10日午後9時45分から約15分間、米国のマルコ・ルビオ国務長官と電話で会談した。外務省が発表した。沖縄県那覇市で起きた強盗殺人事件で米海兵隊員が逮捕された件について、両外相は事件の発生を防ぐ実効性のある措置を取るため、日米間で協議していくことを確認した。米国が国際刑事裁判所(ICC)を制裁対象に指定した問題では、茂木氏が日本政府の立場を伝え、緊密に意思疎通を続けることで一致した。

沖縄の事件、「実効性のある措置」を日米で協議

外務省の発表によると、茂木氏は沖縄県で起きた強盗殺人事件について、遺憾の意を含めて日本政府の立場を「改めて」伝えた。そのうえで両外相は、事件の発生防止のために実効性のある措置を取るべく、日米間で協議していくことを確認した。

事件は10月3日に那覇市で起き、米海兵隊員が逮捕された。茂木氏は翌4日、ジョージ・グラス駐日米大使を外務省に呼び、「極めて残忍で凶悪な事件の発生は極めて遺憾」だとして抗議した。捜査への全面的な協力と、米軍関係者の綱紀粛正、再発防止の徹底を求めた。経緯は那覇市の強盗殺人事件で米海兵隊員が逮捕 茂木外相がグラス駐日米大使を召致し抗議「極めて残忍で凶悪」 外務次官も同じ日の午前に電話で抗議で伝えている。

茂木氏は6日の記者会見で、「事件の発生を防止するために、いかに実効性のある措置を取っていくかについて、日米間で協議を進めていきたい」と述べていた。どの場で、どのレベルで協議するかを問われると、「できるだけ早く米側とも調整をしながら、どういった協議を進めていくかということについては検討したい」と答えている。今回の電話会談で、外相同士がこの協議を進めることを確かめた形だ。ただ、外務省の発表は協議の場や時期、具体的な措置には触れていない。

同じ会見で日米地位協定の見直しを問われた茂木氏は、2015年の環境、2017年の軍属に関する二つの補足協定を例に挙げ、「このような取組を積み上げることによって、日米地位協定の在り方を不断に検討していきたい」と述べている。

ICC制裁、米側は「必要性」を主張

もう一つの議題は、米国が9日(米国時間)に発表したICCへの制裁だ。米国務省によると、米国はこれまで大統領令14203号に基づき、ICCの関係者ら17の個人・団体を制裁してきた。今回はICCそのものを対象に指定し、米国内にあるICCの資産などを凍結した。ICCの運営を維持するための取引は180日間に限って認め、この期間を、締約国が米国の懸念に対処する解決に向けて「意味のある進展」を示すための時間と位置づけている。

日本は10日、カナダ、ドイツ、英国など7か国と外相共同声明を出し、「米国による裁判所への制裁の発表を遺憾に思い、強く反対します」と表明した。同じ日の午後9時からは、茂木氏が日本出身の赤根智子ICC所長と約15分間電話で話している。ルビオ氏との会談は、その後の午後9時45分に始まった。制裁の内容と各国の反応は米国がICCそのものを制裁、日本など8か国が外相声明で反対 茂木外相は赤根所長と電話会談に詳しい。

外務省の発表は、茂木氏が米国の「組織制裁」に関する日本政府の立場を伝えたと記すにとどめ、その中身は明かしていない。一方、米国務省の発表によると、ルビオ氏は「米国の主権を脅かす裁判所の無法な行動の結果として」、ICCへの制裁が必要だと提起した。日本が反対の立場を示すなかで、米側は制裁の正当性を改めて主張した。

日米の発表、書きぶりに違い

会談について、両国はそれぞれ発表を出した。内容は大筋で重なるが、何を書き込んだかに違いがある。

沖縄の事件について、外務省は、茂木氏が日本政府の立場を伝え、再発防止の措置を日米で協議していくことを確認したと記した。国務省は、ルビオ氏が沖縄で日本人が亡くなったことに「心からの哀悼の意」を示し、日本政府や地元当局が進める捜査について、意思疎通し全面的に協力する米国の決意を伝えたと記した。再発防止の協議には触れていない。

ICCについては、外務省が「緊密に意思疎通を継続していくことで一致」と書いたのに対し、国務省は制裁の必要性を提起したことを明記した。また国務省の発表は、両外相が米アトランタで開かれる20か国・地域(G20)外相会合に向けて緊密に連携していくと約束したとしている。外務省の発表にG20への言及はない。

両国の発表はともに、日米同盟を確認した点では一致する。外務省は、厳しい安全保障環境の中で日米同盟をさらに強固にし、幅広い協力を進めるため引き続き取り組むと確認したとした。国務省は日米同盟を「インド太平洋とその先における平和、安全、繁栄の礎」と位置づけた。