公明党の政治改革本部(本部長=西田実仁幹事長)は10月8日、参院議員会館で会議を開き、衆院の選挙制度改革を巡る政党間協議で意見を表明するのに向けて、党の考え方を整理・集約するための意見交換をした。公明新聞(10月9日付)が伝えた。西田氏は冒頭、「衆院の選挙制度は民意の集約と反映をバランスよくしていくことが最も大事だ」と述べ、定数を削減するのであれば小選挙区と比例区の割合を「3対2」に保つ必要があるとの考えを示した。
「削減は選挙制度と一緒に議論すべき」
公明新聞によると、西田氏は会議の冒頭で党の考えとして、衆院の選挙制度は「民意の集約と反映」の均衡が最も大事だと強調した。そのうえで「議員定数の削減は選挙制度と一緒に議論すべきであり、どうしても削減したいのであれば(小選挙区と比例区の割合について)3対2のバランスをしっかり保つ必要がある」と語った。
「民意の集約」と「民意の反映」は、選挙制度を論じるときに対で使われる考え方だ。1選挙区から1人を選ぶ小選挙区は、得票の多い政党に議席が集まりやすく、政権の選択をはっきりさせる「集約」の働きが強い。得票に応じて議席を配る比例代表は、少数意見も議席に結びつけやすい「反映」の働きを担う。現在の衆院はこの二つを組み合わせた小選挙区比例代表並立制をとっている。
公職選挙法4条は、衆院議員の定数を465人とし、そのうち289人を小選挙区、176人を比例代表と定めている。本紙の計算では、いまの割合はおよそ3対1.83にあたる。西田氏の「3対2」は、比例の比重をいまより下げないことを求めた発言といえる。
この会議では、中野洋昌政務調査会長が衆院選挙制度改革を巡るこれまでの議論の経緯と、各会派の主張を説明した。
「地方ほど1人の受け持ちが広くなる」
参加した議員からは、与党が主張する比例定数の削減について意見が相次いだ。公明新聞によると、「面積が広く災害リスクが高い地方ほど定数が減ると1人の議員が担当する地域が広大になることも考慮すべきだ」という指摘のほか、「人口減少を理由に定数削減を行うのであれば、国会議員全体の問題として、参院の定数もセットでやるべきだ」との意見が出た。
参院について、公職選挙法4条は定数を248人(比例代表100人、選挙区148人)と定めている。自民・維新の法案は衆院だけを対象としており、参院の定数には触れていない。
公明党は比例だけを削る案への反対を繰り返し打ち出してきた。10月4日の第18回全国大会では、就任した岡本三成代表があいさつで「小さな声を切り捨てる『比例区のみの削減』は、断じて容認できません」と述べ、選挙制度と定数のあり方は「セットで議論すべきです」と訴えていた。10月6日に参院議員会館で開かれた定数削減に反対する緊急集会では、中野政調会長が「民意を切り捨てるような改革はしてはいけない」と述べている。
自民・維新の法案は「1年で結論なければ比例45人減」
議論の起点にあるのは、自民党・無所属の会と日本維新の会が6月24日に衆院へ提出した「衆議院議員の選挙制度改革及び定数削減に関する法律案」だ。衆院が公表している審議経過によると、法案は6月26日に政治改革に関する特別委員会へ付託され、審議結果の欄は「閉会中審査」となっている。
衆院が公表している法案要綱によると、法案はまず、現行制度を維持するか見直すか、抜本的に改めるかについて、人口減少を踏まえて定数削減を含めて検討し、結論を得ると定める。検討の場は、衆院議長の下に置かれ各会派の議員で構成する協議会とする。結論に基づく法制上の措置は、施行の日から1年以内に講じる。
そのうえで、1年以内に措置が講じられなかった場合の備えとして、比例代表の定数を176人から45人減らして131人とし、衆院の定数を420人とする公職選挙法の改正を盛り込んだ。この場合、小選挙区289人と比例131人の割合は、本紙の計算でおよそ3対1.36となる。西田氏が示した「3対2」から、さらに比例の比重が下がる形だ。
要綱は措置の期限を考える前提として、2025年国勢調査の結果に基づく衆議院議員選挙区画定審議会の勧告期限を2027年5月29日、現職議員の任期満了を2030年2月7日と明記している。区割りの見直しでは、審議会が第15回会合で都道府県知事への意見照会を行うことを決めている(衆院の区割り、知事への意見照会を正式決定 改定の基準は人口最少県の最少選挙区=鳥取1区の25万7657人 2月の総選挙の有権者数も考慮)。
政党間協議、10月末を目途に結論へ
公明新聞(10月7日付)によると、衆院議長の下で各会派が参加する「衆院選挙制度に関する協議会」は、抜本改革が実現するまでの措置として「10月末を目途に具体的な結論を得るよう努力する」ことで合意した。これを踏まえ、自民、日本維新の会、公明など与野党9党の代表者が参加する政党間協議が10月6日に衆院第1議員会館で初めて開かれ、今後の議論の進め方などを確認した(衆院選挙制度の政党間協議が初開催 与野党9党が参加し10月末を目途に結論へ 比例45人減の法案は閉会中審査のまま)。
同じ記事によると、抜本改革に向けては有識者による調査会を設けることが決まっている。中野政調会長は初回の協議で「現行制度の見直しは、抜本改革までの“つなぎ”だ」と述べ、公正で充実した議論を求めた。
今回の政治改革本部の会議は、この政党間協議で公明党としての意見を表明するための準備にあたる。公明党は、定数削減を選挙制度の見直しと切り離さず、比例の比重を保つ立場で協議に臨む。
