第222回臨時国会の審議日程をめぐり、与野党の国会対策委員長会談が10月8日に行われた。立憲民主党の斎藤嘉隆参院国会対策委員長は会談後、記者団の取材に応じ、参議院予算委員会を1日7時間ずつ計14時間、2日間にわたって行うことで与野党が合意したと明らかにした。ただし開催日は決まらず、引き続き協議することになった。簗和生農林水産相の予算をめぐる発言問題では、参議院農林水産委員会の審議そのものに入れない状態が続いている。
予算委員会は「7時間ずつ2日間」 日付は未決着
斎藤国対委員長の説明によると、与党側は16日と19日の2日間を提案した。これに対し立憲側は、財務大臣がG20財務大臣会合に出席する日程と、日本銀行総裁の日程を踏まえ、19日と20日の実施が望ましいとの考えを伝えた。16日は日銀総裁が出席できないため「為替や金利について質問する機会に差が生じる」と指摘し、野党側で検討したうえで回答する考えを示した。
参議院予算委員会は、首相と全閣僚が出席して国政全般を問う国会の主要な論戦の場で、質疑時間は各会派の議席数に応じて配分される。総時間が14時間で固まった以上、残る争点は「どの日に開くか」に絞られる。立憲が日程にこだわる理由として挙げたのは、日銀総裁が出席できるかどうかだった。2日間のうち1日に総裁が来られないと、その日に質疑に立つ会派は為替や金利を直接ただせない。会派ごとの質疑機会の公平性に差が出る、という主張である。
今回の臨時国会では、食料品の消費税率引き下げや支援金の給付をめぐる与野党の対案が並んでいる。立憲は立憲民主党、食料品減税から「給付中心」へ転換の対案 2026年度内に住民税非課税世帯へ給付、2027年4月に簡易版、2029年4月に給付付き税額控除 政府案には反対という方針を打ち出しており、予算委員会はこれらの対案を首相にぶつける最初の本格的な舞台になる。
農林水産委員会は所信聴取に入れず
もう一つの議題は、簗農水相の予算をめぐる発言問題だった。斎藤国対委員長は、10月8日の国会審議で首相の任命責任や大臣本人の認識をただしたものの、「職責を全うする」などの答弁に終始したとして「納得をしているわけではない」と述べた。
そのうえで、予算カットの働きかけや関与をしていないのであれば「自分がいろいろ働きかけをして道路予算の一部を実質的にカットしたという有権者に対する発言は一体何だったのか」と指摘。虚偽や脅しとも受け取られる発言であれば大臣の資質に関わる問題だとして、明確な説明を求めた。
そして、現状のまま簗農水相から所信を聴取し、参院農林水産委員会の審議に入ることはできないとの考えを与党側に伝えたと説明した。農業をめぐる課題が山積する中で「1人の大臣の存在によって、審議を円滑に実施できないということは極めて遺憾」と述べ、「早期に大臣という職を退かれることを強く求めたい」とした。
国会の各委員会では、大臣が就任した後にまず所信を述べ、それに対する質疑から審議に入るのが通例となっている。入口の所信聴取が開かれなければ、その委員会で法案や一般質疑の審議を始められない。立憲が「所信聴取に応じない」という形を取ったのは、辞任要求を国会運営の手続きに直接結びつけたことになる。発言問題は立憲、簗農水相の辞任要求へ 斎藤国対委員長「公的な予算の私物化」「有権者や地方自治体へのハラスメント」 簗氏は発言を撤回し国交省への働きかけは否定の段階では閣僚の資質を問う問題だったが、ここで委員会が動かないという国会運営の問題に変わった。
簗農水相「影響はないとは申していない」
簗農水相は10月9日午前の記者会見で、この問題が国会審議に影響を及ぼすことはないと考えるかと問われ、「真摯に、丁寧に説明をして、対応してまいりたい」と答えた。その後、参院農林水産委員会で立憲が所信聴取に応じないと伝えているとして受け止めを問われた際には、記者が「影響はないとおっしゃった」と前置きしたのに対し、「影響はないとは申していないと思います」と述べた。そのうえで「国会の事柄については、行政の立場として、申し上げる立場にはありません」として、意見は真摯に受け止め丁寧に対応すると繰り返した。
発言問題の中身についても質問が続いた。那須烏山市と那珂川町への道路予算の配分状況を確認した理由を問われ、「地元からの問い合わせを踏まえて、国土交通省に問い合わせをした」と説明。その際は「単に道路予算ということで問い合わせをしたのみ」で、県の事業か市町の事業かを区別して尋ねたわけではないとし、「説明を受けた中で、市事業、町事業というもの、その部分について、この大田原支部の総会の中で、その部分を発言した」と述べた。
他の省庁にも選挙後に自治体の予算に関する問い合わせをしたことがあるかと問われると、「日々、政治活動の中では、様々な省庁に、いろいろな形で、やりとりはさせていただいております」と述べ、「一つ一つの問い合わせについては、明確な記憶というものは持ち合わせていません」としたうえで、「当然のことながら、減額をするようにといった働きかけというものを一切行ったことはございません」と否定した。道路事業について「こちらは進めて、あちらは進めなくていい」といった趣旨の働きかけをしたことはあるかとの問いには「そういったことは一切ございません」と答えた。
自身の政治活動の報告書面やソーシャルメディアで予算の「箇所付け」に触れていることについては、「表現の問題」であり「箇所付けに介入したという意味ではございません」と述べた。箇所付けは、予算で確保された事業費を個別の地区や路線に割り当てる作業を指す。
来週には予算委員会、地元議会も動く
国民に十分な理解と納得を得られる説明ができていると考えるかと問われた簗農水相は、「誠心誠意、説明に努めてきたつもり」としたうえで、前日の衆参両院の本会議での首相の答弁に触れ、「しっかりと説明をして、そして襟を正して職責を全うしていく、その所存でございます」と述べた。来週に予算委員会が始まるのを前に説明の機会を改めて設ける考えがあるかと問われると、「事実関係をしっかりと整理でき次第、それは説明させていただきたい」と述べた。
会見では、簗農水相が無料のシャトルバスで送迎したとする週刊誌報道についても質問が出た。簗農水相は「法令に則り、適正に処理をしているという認識をしております」としたうえで、「今、しっかりと、この事象について、事実確認をしてございます」と述べ、事実関係を確認中だと説明した。
また、那須烏山市で週明けに臨時の議会が開かれ、簗農水相に対する決議が付議される見通しだとの報道について受け止めを問われ、「御指摘の報道については、承知はしておりますけれども、その内容については、私も、これ、いつ決議されるのかも含めて、私も承知しておりません」としたうえで、「その内容について、しっかりと受け止めたい」と述べた。
