GMOインターネットのクラウドサービス「お名前.com デスクトップクラウド」が不正アクセスを受けた問題で、攻撃者とみられる者が10月27日、同社と顧客に関する情報と称するものをインターネット上に公開した。同社は同日夜、公開された情報に自分の情報が含まれていると確認できた顧客に、情報の区分ごとに「GMO特別お見舞金」を払うと発表した。上限は1公開につき300万円。親会社のGMOインターネットグループは、関与者の特定と事件の解明につながる情報に総額100万米ドルを上限とする報奨金を払う「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」を設け、28日正午から受け付けを始めた。
予告の正午を過ぎて情報を公開、ランサムウェアは確認されず
同社の第8報(27日午前)によると、攻撃者とみられる者は、10月27日正午に顧客の情報の公開とランサムウェア攻撃を行うと予告していた。同社は利用者に対し、正午になる前にデータのバックアップを取り、パソコンをネットワークから切り離して電源を落とし、つながっているコードを抜くよう求めていた。
第10報によると、同社は27日午後0時30分、攻撃者とみられる者が同社と顧客に関する情報と称するものを公開したことを確認した。公開された内容は確認中で、「事実と異なる内容が含まれるおそれがあります」としている。予告されていたランサムウェア攻撃は、27日午後1時55分の時点で確認されていない。
同社は、公開された情報と称するものを載せたサイトについて、アクセスした人の情報は攻撃者に取得されていると説明し、アクセスも拡散もしないよう求めた。既にアクセスした人には、ウイルス対策ソフトによるフルスキャンを勧めている。公開された情報に顧客の情報が含まれていると確認した場合は、その顧客に個別に連絡するという。
利用者から預かった端末の解析は、グループのセキュリティ技術者のチームが進めている。28日夕の第14報では、これまでの解析でマルウェアの感染やランサムウェア攻撃の痕跡は確認されていないとした。トレンドマイクロなどセキュリティ企業やAI企業から協力の申し出があり、内容を調整していることも明らかにしている。
公開された顧客に区分ごとの特別お見舞金、上限300万円
27日午後7時10分時点の第12報で示した特別お見舞金は、公開が確認された情報の区分ごとに額を決める。複数の区分の情報が公開された場合は、それぞれの額を合計して払う。合計の上限は1公開につき300万円。
| 公開が確認された情報の区分 | お見舞金の額 |
|---|---|
| 氏名・連絡先などの基本的な情報 | 1万円 |
| 取引口座のID・パスワードなど、金融・認証に関する情報 | 1万5000円 |
| 機微情報、要配慮個人情報など、プライバシー性の高い情報 | 2万5000円 |
出典: GMOインターネット「第12報」(2026年10月27日)
同社は10月24日の第4報で、サービスを利用しているすべての顧客に金銭的被害の有無を問わず一律5000円の見舞金を払い、取引口座での不正取引による損失は別に補償すると発表していた。特別お見舞金はこの5000円とも損失の補償とも別に払う。経緯と5000円の見舞金の中身はGMO「お名前.com デスクトップクラウド」不正アクセス 全利用者に5000円、攻撃者から金銭要求で伝えた。
情報の公開に関連して詐欺などの被害に遭った顧客には、見舞金とは別に被害の状況に応じた支援を行う。公開の範囲や方法が変われば特別お見舞金の内容を見直すことがあるとしている。相談窓口(03-5456-2560)は土日・祝日を含め24時間受け付けている。
懸賞金は総額100万ドル、受け付け6時間で113件
懸賞金の実施主体と費用負担はGMOインターネットグループ。対象は、このサービスへの不正アクセスと、それに関連する脅迫や不正取引などの犯罪行為だ。報奨金の上限は制度全体で100万米ドルとし、1米ドル=150円で換算した参考額を約1億5000万円と示した。情報1件や提供者1人当たりの額ではなく、複数の提供者への支払いを含めた総額の上限になる。
募るのは、実行者や指示役の身元・所在の特定につながる情報、攻撃や脅迫に使われたサーバーやドメインと関与者の関係を裏付ける情報、暗号資産アドレスや送金記録など資金の流れに関する情報などだ。受付期間は犯人の逮捕まで。日本語・英語・中国語で受け付ける。
同社は第12報で、犯人から顧客の取引口座への不正操作や情報公開などを予告する、金銭要求を伴う脅迫を受けていると説明した。経緯の一覧には、10月21日に約80億円を要求する脅迫メールを受け取ったと記している。報奨金は「犯人への身代金や、盗まれた情報の買い取り代金ではありません」とし、犯人の要求には「永久に応じません」と明記した。
支払いの対象外は、事件の実行者や共犯者、不正アクセスなど違法な手段で情報を得た人、虚偽の情報を出した人など。応募のために許可のないシステムへアクセスしたり、犯人と独自に交渉したりしないよう求め、根拠のない名指しや公開情報の転載だけでは原則として対象にならないとした。
第14報によると、受付サイトは28日正午に開設され、同日午後6時までの6時間で113件の情報が寄せられた。件数は今後、平日の午後6時に同サイトで公表し、犯人の逮捕か国際指名手配まで続ける。
犯人サイトのドメイン停止、悪質な拡散には法的措置
28日午前の第13報によると、顧客の情報とされるものを載せたサイト(ミラーサイトを含む)について関係事業者と連携して対応した結果、28日午前4時ごろにドメインが停止されたことを確認した。新たに同様のサイトが開設されれば、確認次第停止に向けて動くとしている。
同社は27日の第11報から、顧客の情報とされるものを見かけても、転載やSNSでの再投稿、リンクの共有をしないよう求めている。第13報では、犯人サイトへの誘導は「犯人による攻撃を助長し、その活動に加担しているともとれる重大な行為」だとし、投稿の内容やアカウント情報を記録してXへの通報と警察への情報提供を行うと表明した。悪質なものには発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴を含む法的措置を取る。第14報によると、28日午後6時までにX上の関連投稿に対し累計20件の警告連絡を行った。
報道機関に対しても、顧客に二次被害をもたらしうる過度な報道を控えるよう求めている。
第1報から8日で14報、事件の流れ
同社の経緯の一覧によると、10月21日午前4時にサービスを止めて不正アクセスを公表し、同日に脅迫メールを受け取った。22日に警察に相談し、24日に見舞金と損失の補償、代替サービスの提供を決め、能動的サイバー防御の適用を政府関係機関に要請した。25日から利用者に端末の調査への協力を求め、26日夜に預かった端末の解析を始めた。27日は第8報から第12報までの5本を出し、28日に第13報と第14報を出した。
サービスそのものの扱いは、24日の第4報で決めている。不正アクセスを受けたいまのシステム基盤はそのまま再開せず、セキュリティの仕組みを抜本的に作り直す。Windowsのデスクトップ環境を使い続けたい契約者には、独立したクラウド基盤で動く代替サービスへの乗り換えを案内し、乗り換え後6か月間は無償にする。客の同意なく移行することはないとしている。
情報が漏れた可能性がある人が取るべき対処は、IPA、個人情報が漏れた人向けに対処手順 免許証画像は信用情報機関へ申告をでまとめている。同社は、パスワードや認証コードを尋ねることはないとし、「被害金を取り戻す」として費用を求める連絡や、事件に便乗したメール・SMSに注意するよう呼びかけている。
