国民生活センターは10月21日、全国の消費生活センター等からの依頼に基づいて行った「相談解決のためのテスト」の、2026年度第2四半期(7〜9月)の実施状況を公表した。実施件数は25件。電動アシスト自転車のアシスト比率が道路交通法の基準の上限を超え、公道を走れないものだったと判定した事例や、特定小型原動機付自転車の航続距離が表示より大きく短かった事例が含まれる。
依頼に基づく商品テスト、年度の件数は減少が続く
「相談解決のためのテスト」は、消費者から苦情が寄せられた商品について、相談を受けた消費生活センター等が国民生活センターに調査を依頼し、同センターの商品テスト部が原因を調べるものだ。結果は、各地の消費生活センターが相談を処理する際の材料になる。同センターは公表資料で、掲載した結果は相談処理を支援するために依頼に基づいて行ったもので、個別の結果の詳細は問い合わせを受けても回答できないとしている。
年度ごとの実施件数は、2021年度の182件から、2022年度130件、2023年度114件、2024年度112件、2025年度109件と減ってきた。2026年度は9月末までの累計で51件で、このうち第2四半期が25件のため、第1四半期(4〜6月)は26件だった計算になる。
相談解決のためのテストの実施件数(年度別)(件)
数値で見る(単位: 件)
| 項目 | 件 |
|---|---|
| 2021年度 | 182 |
| 2022年度 | 130 |
| 2023年度 | 114 |
| 2024年度 | 112 |
| 2025年度 | 109 |
第2四半期の25件を商品の分類別に見ると、住居品が10件と最も多く、教養娯楽品が6件、車両・乗り物が4件、保健衛生品が3件、被服品が2件だった。食料品、光熱水品、土地・建物・設備、その他は0件だった。
| 分類 | 件数 |
|---|---|
| 住居品 | 10 |
| 教養娯楽品 | 6 |
| 車両・乗り物 | 4 |
| 保健衛生品 | 3 |
| 被服品 | 2 |
| 食料品・光熱水品・土地・建物・設備・その他 | 0 |
| 計 | 25 |
出典: 国民生活センター「相談解決のためのテスト実施状況(2026年度第2四半期)」
電動アシスト自転車、補助の比率が基準を超え公道を走れず
車両・乗り物の4件のうち、判定が最も明確だったのは電動アシスト自転車の事例だ。相談者は、使っている電動アシスト自転車の速度が出すぎると感じ、公道を走れるものか不安だとして、アシスト比率に問題がないかを調べるよう求めた。
テストの結果、この自転車はスロットルを操作するとペダルをこがずに走れる構造で、アシスト比率も道路交通法の定める基準の上限値を超えていた。同センターは、公道を走行することができないものだったと結論づけた。アシスト比率が大きすぎると急発進や急加速の原因になるほか、不意に強い補助の力が加わってバランスを崩すなど事故につながるおそれがあるとして、販売事業者等に、この商品では公道を走れないことを消費者へ周知するなどの対応が必要だとした。
アシスト比率は、こぐ人の力に対して、モーターがどれだけの力で補うかの割合を指す。道路交通法施行規則第1条の3は、二輪の自転車の場合、時速10キロ未満では人の力の2倍まで、時速10キロ以上24キロ未満では速度が上がるにつれて2倍から0へ下がっていく値まで、時速24キロ以上では補助の力が加わらないことと定めている。同センターは、ペダルをこがずに走れる構造であることと、比率が上限を超えていることの2点を、公道を走れないと判断した理由に挙げた。
航続距離が表示より短い、足こぎでも約7%しか伸びず
特定小型原動機付自転車についても、航続距離が表示に比べて短く感じるとの相談があった。特定小型原動機付自転車は、道路交通法施行規則第1条の2の2で、定格出力0.60キロワット以下の電動機を使い、時速20キロを超える速度を出せないことなどが条件とされる車両の区分だ。
テストでは、前輪ブレーキが引きずった状態になっていて走行抵抗が増え、航続可能距離が短くなっていたと考えられた。ただ、引きずりを解消した状態で実際に走らせても、表示と実際の航続可能距離との間には大きな差があった。実走行では、ペダルをこいでも航続可能距離は約7%しか伸びなかった。同センターは、取扱説明書にもペダルをこぐ速度と発電量の関係の記載がなく、足こぎで航続可能距離を劇的に伸ばせるかのような販売サイトの表記とは著しい乖離(かいり)があったとしている。相談者の要望で分解しない範囲の調査だったため、走行中の消費電力などの詳細は確認できていないという。
ほかの2件は原因の特定に至らなかった。自転車で走行中にチェーンが外れて転倒し骨折したという事例では、チェーン外れにつながる明らかな異常は見つからず、外れる現象も再現しなかった。同センターは、外装変速機では一度に複数段を変速する、ペダルを回さない状態でシフトレバーを操作するなどの使い方でチェーンが外れる場合があることが一般に知られていると付記した。ベビーカーのバックルが外れるという事例では、肩ベルトをわずかに挟み込んだまま取り付けると両方のバックルが正常にロックされない場合があることを確認した。
充電ケーブルの端子に水分や異物、ショートして溶ける
充電中にコネクタが溶けた事例が2件あった。スマートフォンの充電ケーブルの事例では、ケーブルのType-Cコネクタか、スマートフォン側の充電コネクタの内部に水分や異物が付いたことで、電源(VBUS)端子とシェル(GND)の間に短絡の経路ができ、異常発熱してコネクタが溶けたと考えられた。ワイヤレスイヤホンの充電ケースが溶けた事例も、充電に使っていたケーブルのType-Cプラグが異常発熱したことが原因とみられ、コネクタ内部に付いた導電性の異物や水分を介した短絡の可能性が挙げられた。充電に関わる事故はモバイルバッテリーでも続いており、鞄やリュックに入れたモバイルバッテリーから出火 9月に報告の3件はいずれも持ち運び中 リコール対象の40万1771台、回収率は55.3%でも取り上げた。
除雪機のバッテリーが充電できなくなった事例では、リチウムイオン電池のセルの一部が過放電の状態になり、内蔵の監視用と制御用のICが異常を検出して保護機能が働いたためと考えられた。使用回数が少なく、長期保管中も定期的に充電していたとの申し出から、同センターはセルの品質か充放電の制御に関わる不良の可能性が高いとみている。
台所用品では、電子レンジ調理器の取っ手が燃えて溶けた事例では、事故時の使い方や空だきなどを再現しても発火しなかった。取っ手に食品のかすを付け、マイクロ波が集中する部分を意図的に作って加熱したところ、そこから発火して燃え広がったため、苦情品でも意図せずマイクロ波が集中する状態になっていた可能性があるとした。
原因を特定できない事例も多い
公表された25件の結果には、原因の特定に至らなかったと記したものが少なくない。オーブンレンジの扉の部品が外れた事例では、破損箇所の周辺で生じた発熱で滑車が溶け、金具が外れた可能性を挙げたが、発熱の原因の特定には至らなかった。傘が突然閉じる、電気加熱式たばこのスティックが焦げる、保管していた噴霧器の部品が壊れていた、といった事例でも、原因は特定できなかったとしている。
一方で、製品の構造上の改善点に触れた事例もある。傘の事例では、苦情品は同じ型の製品より低い荷重で、開閉の際に動かす部品(下ろくろ)が引き下がる状態だったとして、変形が起きにくく容易に引き下がらない構造にするなどの改善の余地があるとした。化粧水の未開封の容器に灰色の異物が見えた事例では、異物はポリウレタンを主な材料とするものと考えられ、開口部がフィルムで封をされていたことから、製造工程で混入した可能性が示されたという。
同センターは今回の公表で、個別の製品名や事業者名を明らかにしていない。結果はあくまで、各地の消費生活センターが個々の相談を処理するために依頼したテストの概要という位置付けだ。それでも、充電端子の水分や異物、電動アシスト自転車の基準適合、調理器具の扱い方など、同じ種類の製品を使う人が日常で確かめられる点を含んでいる。
