消費者庁は9月30日、景品表示法に基づく法的措置の件数の推移を、2026年8月31日現在の数字で公表した。うその広告や大げさな広告をやめさせる「措置命令」のうち国が出したものは、2025年度(令和7年度)が13件だった。2024年度の26件のちょうど半分で、2023年度の44件からは3年で3分の1以下に減っている。
10年前と同じ水準まで戻った
公表資料は2015年度(平成27年度)以降の12年度分を並べている。国の措置命令は2015年度の13件から増え続け、2017年度に50件でピークを打った。その後は2018年度46件、2019年度40件、2020年度33件と下がり、2021年度から2023年度は41件、41件、44件で横ばいが続いた。減少が急になったのは2024年度の26件からで、2025年度の13件は10年前の2015年度と同じ水準にあたる。2026年度は8月末までに6件が出ている。12年度の累計は380件だ。
資料には注記があり、件数は措置を出した時点で数えている。2017年度の課徴金納付命令1件と2018年度の国の措置命令1件、2023年度の国の措置命令1件は、その後に取り消されている。2023年度分の取消しは2026年6月25日付で、直近の出来事である。
「措置命令」と「課徴金」の仕組み
景品表示法は、実際より著しく優れていると見せる「優良誤認表示」と、取引条件が著しく有利だと見せる「有利誤認表示」を禁じている(同法第5条)。違反があると、消費者庁または都道府県知事が措置命令を出し、表示をやめること、一般消費者に誤りを知らせること、再発防止策を講じることなどを命じる。
これとは別に、消費者庁は課徴金納付命令を出せる。金額は対象となった商品やサービスの売上額の3%で、悪質な場合に加算されるときは4.5%になる。ただし算定額が150万円未満のときは命じられないと法律で定められており、売上額が小さい事案は対象から外れる。この制度は2016年4月1日施行の改正法で導入され、累計133件。2025年度は10件で、2026年度は8月末時点でまだ出ていない。
インターネット広告を通じたトラブルは増えており、消費者庁の別の分析では、訪問販売のトラブル、「飛び込み」から「ネット広告を見て自分で呼んだ」へ 消費者庁分析、9年で4.1%から36.3%にという変化も確認されている。
命令が減った裏で増えた「確約手続」
措置命令の減少と入れ替わるように増えているのが「確約手続」だ。2023年5月に公布された改正景品表示法(令和5年法律第29号)で導入され、2024年10月1日に施行された。
消費者庁が定めた運用基準によると、確約手続は、違反の疑いがある行為について消費者庁が事業者に通知し、事業者が自分で是正計画(確約計画)をつくって申請し、消費者庁が認定する流れをとる。運用基準は、措置命令や課徴金納付命令と比べて「より早期に是正し、消費者庁と事業者が協調的に問題解決を行う領域を拡大」する狙いだと説明している。認定を受ければ、その行為について措置命令や課徴金納付命令は出されない。
認定件数は、制度が動き出した2024年度が1件、2025年度が8件で、累計9件。2026年度は8月末までゼロだった。2025年度の8件のうち、公表資料に概要が載っているものには、光回線サービスの表示をめぐるビッグローブ、有料ファンクラブのダイレクトメールでの特典表示をめぐる千葉ロッテマリーンズ、エステティックサロンのソシエ・ワールド、冷凍宅配食のイングリウッドなどが並ぶ。いずれも計画に、表示の取りやめ、同じことを繰り返さないための社内体制の整備、履行状況の報告などが盛り込まれている。
2025年度は措置命令13件に確約計画認定8件を足すと21件で、2024年度の26件+1件の27件、2023年度の44件には届かない。法的措置と確約手続を合わせても、消費者庁が表に出す処理の件数は減っている。
都道府県の措置命令は31道府県でゼロ
景品表示法の措置命令は都道府県知事も出せる。累計64件で、国の380件の6分の1ほどだ。内訳は東京都17件、大阪府14件、埼玉県13件、静岡県6件の順で、この4都府県で50件を占める。北海道、茨城県、栃木県、長野県、岐阜県、三重県、京都府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、鹿児島県が1〜2件で、残る31道府県は12年度を通じて一度もない。2025年度は東京都2件、三重県1件の計3件だった。
直近の措置命令では、対価を払って第三者にSNSへ投稿させながら、事業者の広告であることを隠した事案が目立つ。2026年8月6日には写真加工アプリ「SNOW」をめぐりSnow CorporationとSNOW Japanの2社、6月29日には食品「ノビルン」をめぐり高光製薬が、いずれもこの類型で命令を受けている。
