環境省は10月15日、薄くて軽いフィルム型のペロブスカイト太陽電池を地方自治体や民間企業が導入する費用を補助する「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業(設備等導入事業)」の二次公募を始めた。受け付けは11月20日正午までで、締切を10月30日と11月20日の2回設ける。同じ日、導入前の建物調査や導入計画づくりを支援する別の公募についても、締切を10月15日から11月20日に延ばすと発表した。
補助金の正式名称は「令和8年度脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」。公募の実務は執行団体の一般社団法人環境技術普及促進協会(大阪市)が担い、環境省は経済産業省、国土交通省と連携して事業を進めている。
二次公募の締切は2回 一次では採択済みも
協会によると、設備等導入事業の一次公募は6月25日から9月30日まで行われ、7月13日、9月4日、9月30日の3回に分けて締め切った。二次公募は10月15日に受け付けを始め、第1回の締切が10月30日正午、最終締切が11月20日正午となる。協会は10月8日の予告で「10月中旬」の開始を知らせていた。
一次公募のうち、第1回締切分の審査結果は8月19日に公表された。採択されたのは次の11団体で、9団体が自治体、2団体が企業だった。
- さいたま市(さいたま市)
- 千葉県(茂原市)
- 神奈川県(相模原市、厚木市)
- 滋賀県(草津市)
- 村田製作所(滋賀県野洲市)
- 大阪府(堺市、藤井寺市)
- 神戸市(神戸市)
- 明石市(明石市)
- 福岡県(北九州市、筑後市、福津市、粕屋町)
- 西部ガステクノソリューション(北九州市)
- 福岡市(福岡市)
括弧内は事業の実施場所。協会のページで公表されている採択結果は、10月17日時点でこの第1回締切分だけとなっている。
従来のパネルが載らない屋根が対象
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟などの特徴を持つ次世代型の太陽電池だ。環境省の事業概要は「これまで太陽電池が設置困難であった場所やインフラ施設等にも設置が可能」と説明し、主な原料のヨウ素について「我が国が世界シェアの約30%を占める」としている。高市早苗首相も9月17日の記者会見で、8月のGX実行会議で決めた対応の一つとしてペロブスカイト太陽電池の導入・開発の加速を挙げた(高市首相、「パワーGX戦略」を年末までにまとめるよう赤澤経産相に指示 原油輸入の中東依存度は95.9% 原子力の最大限活用と次世代地熱・ペロブスカイトが柱)。
この事業はその特徴を生かせる場所に絞って補助する。公募概要によると、主な要件は次のとおり。
- 設置場所の耐荷重が1平方メートルあたり10キログラム以下相当で、1施設あたりの発電容量が5キロワット以上
- 需要地の近くにあり、発電した電気の50%以上を自家消費する
- 事業について積極的に広報・情報発信する
耐荷重とは、既にある設備などを考慮したうえで、追加で載せられる重さを指す。構造計算書で確認するか、構造計算書が無い施設では建築士など構造設計の専門家が安全性を確かめる。耐荷重の条件を満たさない施設でも、自治体が申請し、学校教育に使う、多くの人が行き交うといった普及啓発の効果が高い場合は対象になり得る。この枠の採択は5件程度を見込み、1自治体につき原則1事業1施設とした。
補助の対象になるモジュールは、協会が委託した性能評価機関(電気安全環境研究所)の評価で性能要件を満たしたものに限る。二次公募の公募概要は、積水ソーラーフィルムの3型式(SFL1015-C01、C02、C03)を挙げている。架台やパワーコンディショナーなどの付帯設備と工事費も補助対象となる。
補助率は原則3分の2 上限は1事業10億円
交付額の上限は1事業あたり10億円で、2か年度にわたる事業は2年間の合計で10億円まで。補助率は原則3分の2だが、次の「特別区分」のいずれかに当たる場合は4分の3に上がる。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| A | 地域防災計画の避難施設や業務継続計画に位置づけた施設に導入する(蓄電池の活用が必須) |
| B | 温室効果ガス削減の目標と計画を出し、サプライチェーンの脱炭素化として導入する |
| C | 道路、空港、港湾、鉄道などのインフラ空間に設置する |
| D | 耐荷重が1平方メートルあたり6キログラム以下相当で、特別な施工の要らない金属屋根などに設置する |
| E | 2029年度までに同じ主体が累計0.1メガワット以上の設置を計画し、その計画を出せる |
定置用の蓄電池は、インフラ空間に設置する場合(区分C)に限って補助対象とし、補助率は3分の1。耐荷重の条件を満たさず自治体特例の枠で応募する事業は、特別区分に当たっても補助率は3分の2にとどまる。
審査は書面とウェブ会議などでのヒアリングで行い、実施計画が事業目的に合い実現できるか、実施体制や資金計画が整っているかなどを総合的に評価して、予算の範囲内で選ぶ。事業概要によると、この導入支援事業の2026年度予算額は70億円で、事前調査・導入計画策定の支援も含む。事業は2025年度から実施している。
導入前の「事前調査」公募も11月20日まで延長
同じ事業の中にあるもう一つの枠が「事前調査・導入計画策定事業」だ。建物の耐荷重の調査や現地確認と、それを踏まえた構造物単位での導入計画づくりを支援し、設備の導入につなげる狙い。対象者は設備等導入事業と同じく自治体と民間事業者・団体で、事業概要では補助率は定率とされている。
この公募は8月20日に始まり、当初は10月15日正午に締め切る予定だった。環境省は同日、締切を11月20日正午に延ばした。審査は随時行い、協会は応募が予算額に達した場合は期間中でも公募を終えることがあるとしている。
応募を検討する自治体や企業は、協会のホームページで公募要領やQ&A集を確認する必要がある。協会は電話での質問を受け付けておらず、問い合わせはホームページのフォームで受ける。回答に1週間以上かかる場合があるとして、早めの問い合わせを呼びかけている。
