文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が8月7日に公表した「科学技術指標2026」で、自動車や機械器具などを含む「ミディアムハイテクノロジー産業」の貿易収支比が、2024年に中国2.60、日本2.45となり、中国が日本を上回った。日本はこの指標で、統計をさかのぼれる1990年以降ずっと主要国の1位だったが、2位に下がった。日本の順位が動いた主要指標は、今回の報告書ではこの1つだけだった。

科学技術指標は、日本と米国・英国・ドイツ・フランス・中国・韓国の科学技術活動を約160の指標で比べる年次報告で、1991年に初めて公表され、2005年からは毎年出ている。

貿易収支比とは、輸出額が輸入額の何倍かを示す数字

貿易収支比は、その産業の輸出額を輸入額で割った数字である。1を超えていれば輸出のほうが多く、下回れば輸入のほうが多い。2.45であれば、輸入額の2.45倍を輸出しているという意味になる。

ミディアムハイテクノロジー産業は、OECDの分類で「化学品と化学製品」「電気機器」「機械器具」「自動車」「その他輸送」「その他」の6分野を指す。日本が戦後に輸出を伸ばしてきた分野がほぼそのまま入っており、日本の数字は1993年の5.12を山に、2000年3.66、2010年3.33、2020年2.49と長く下がり続けてきた。今回の報告書で日本の最新年にあたる2025年は2.32である。

一方の中国は、1992年時点では0.34と輸入のほうがはるかに多い国だった。2007年に1を超え、2020年は1.50、2022年2.13、2023年2.32と2020年代に入って急に伸び、2024年に2.60まで上がって日本を抜いた。

中国を押し上げたのは自動車の輸出

NISTEPの統計集によると、中国のミディアムハイテクノロジー産業の輸出額は2020年の7308億ドルから2024年は1兆2219億ドルへ増えた。同じ4年間で輸入額は4862億ドルから4696億ドルへ減っており、輸出が伸びて輸入が減るという形で収支比が上がっている。

分野別で最も伸びたのは自動車で、輸出額は711億ドルから2216億ドルへ3.1倍になった。機械器具は2016億ドルから3269億ドル、化学品と化学製品は1369億ドルから2191億ドルへ増えている。

日本も自動車の輸出は2020年の1288億ドルから2024年は1551億ドルへ増えたが、同じ年の中国の2216億ドルに追い越された。日本のミディアムハイテクノロジー産業全体では、輸出額が3569億ドルから3868億ドルへ増えた一方、輸入額も1433億ドルから1580億ドルへ増えており、収支比を押し下げている。

ハイテク産業では日本は6位、2011年から輸入超過

医薬品・電子機器・航空宇宙をまとめた「ハイテクノロジー産業」では、日本の貿易収支比は2024年で0.67と、主要7か国の6位にとどまる。1位は韓国の1.55、2位は中国の1.22で、日本より下は米国の0.59だけである。

日本のこの数字は1990年に3.59あったが、2011年に0.995と1を割り込んで輸入超過に転じ、その後も1に戻っていない。医薬品や電子機器を海外から買う側に回った状態が15年近く続いていることになる。ミディアムハイテクノロジー産業で日本がまだ2位を保っているのに対し、ハイテクノロジー産業では早い段階で輸入超過に転じていた形だ。

研究開発費や論文数の順位は前年と同じ

日本の他の主要指標は、前年版の「科学技術指標2025」と同じ順位だった。研究開発費の総額は22.1兆円で、中国・米国に次ぐ3位。うち企業部門が17.4兆円、大学部門が2.3兆円である。研究者数は70.3万人で3位、論文数は6.6万件で5位、複数の国に出願された特許の束を数える「パテントファミリー」は6.4万件で1位を保った。

一方、引用回数が各分野の上位10%に入る「Top10%補正論文数」は3200件で13位、上位1%に入る論文は12位で、量に比べて注目度の高い論文が少ない状態が続いている。

NISTEPは報告書の総括で、日本の企業部門・大学部門の研究開発費が2020年代に入って増加傾向にあること、修士課程の入学者数が2021年度から5年連続、博士課程は2023年度から3年連続で増えていることを「変化の兆し」として挙げた。あわせて、最新年の企業部門の研究開発費で中国が米国をわずかに上回ったことなど、中国の存在感の拡大にも言及している。