百貨店大手の髙島屋は10月15日、2027年2月期の中間決算(2026年3〜8月、日本基準)を発表した。営業収益は2,441億3,100万円で前年同期の2,353億6,200万円から3.7%増え、本業のもうけを示す営業利益は275億2,100万円(前年同期比16.4%増)、経常利益は280億6,600万円(同27.5%増)だった。国内百貨店で訪日客(インバウンド)向けと国内客向けの売上高がともに伸びた。上期の実績を踏まえ、通期の営業利益予想を575億円から590億円へ引き上げ、年間配当予想も1株40円から44円に増やした。
増収増益も、純利益は前年の売却益の反動で減少
決算短信によると、従来の会計基準で売上高を計上した「総額営業収益」は5,174億6,500万円で、前年同期の4,871億8,600万円から6.2%増えた。「収益認識に関する会計基準」などを適用する前の従来の基準で算出した数字で、現行基準の営業収益はその半分以下にとどまる。
営業利益に持分法投資利益と受取配当金を加えた同社独自の指標「事業利益」は304億7,400万円(同21.2%増)だった。経常利益の伸びが営業利益を上回ったのは、支払利息が増えた一方で円安による為替差益が出たためだと決算説明会資料は説明している。
一方、親会社株主に帰属する中間純利益は160億1,400万円で、前年同期の212億1,900万円から24.5%減った。前年度の中間期に計上した固定資産の売却益がなくなった反動による。1株当たり中間純利益は54円65銭(前年同期は70円14銭)だった。同社は、各段階の利益がいずれも4月時点の社内計画を上回ったとしている。
| 項目 | 前年中間期 | 当中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 総額営業収益 | 4,871億8,600万円 | 5,174億6,500万円 | 6.2%増 |
| 営業収益 | 2,353億6,200万円 | 2,441億3,100万円 | 3.7%増 |
| 営業利益 | 236億5,300万円 | 275億2,100万円 | 16.4%増 |
| 経常利益 | 220億1,000万円 | 280億6,600万円 | 27.5%増 |
| 中間純利益 | 212億1,900万円 | 160億1,400万円 | 24.5%減 |
8月末の総資産は1兆3,592億3,300万円で、2026年2月末から130億300万円増えた。自己資本比率は33.4%から34.0%に上がった。
国内百貨店は営業益3割増、訪日客売上は519億円
部門別では、主力の国内百貨店業の営業収益が1,491億3,400万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が124億5,800万円(同30.2%増)だった。決算短信は、円安を背景としたインバウンド需要の増加に加え、売上高の大半を占める国内客の売上高も堅調だったと説明している。
決算説明会資料によると、店頭の訪日客向け売上高は上期に519億円で、前年を18%上回った。同社は4月時点で上期の訪日客売上を425億円(前年比3%減)と見込んでいたが、実績はこれを94億円上回った。国内客向けの売上高も前年比7%増と、4月の計画どおりに伸びた。訪日客数そのものの動きは2025年の訪日客、初の4000万人突破 過去最高の4268万人 政府は2030年に6000万人目標で伝えている。
ただ、伸びたのは利益率の低い高額品だった。百貨店店頭の商品利益率(総額売上高に対する比率)は22.01%で前年を下回った。決算短信は、利益率の低いラグジュアリーブランドなどの売上高が前年を大きく上回り、売上構成が変わったことが主因だと説明している。同社は売上高そのものが増えたことで売上総利益は増益を確保し、販売管理費も光熱費などの増加要因を吸収して前年から改善したとしている。
補足資料の店別売上高(従来基準)を見ると、国内子会社を含む総計は4,238億3,600万円で前年同期比5.9%増えた。店別では京都店が12.8%増、新宿店が9.2%増、大阪店が7.5%増と、訪日客の多い都心店の伸びが目立った。京都店の数字には8月3日に営業を終えた洛西店の分を含む。一方、入店客数は総計で3.8%減った(1月7日に営業を終えた堺店を前年に含めて計算)。
主な店の上期売上高の伸び(%)
数値で見る(単位: %)
| 項目 | % |
|---|---|
| 京都 | 12.8 |
| 新宿 | 9.2 |
| 大阪 | 7.5 |
| 横浜 | 6.3 |
| 玉川 | 5.9 |
| 日本橋 | 4.9 |
海外・金融も増益、建装業は減益
国内百貨店以外の部門も、建装業とその他の事業を除いて増収増益だった。海外百貨店業は営業収益186億3,600万円(同15.8%増)、営業利益46億100万円(同21.4%増)。シンガポール髙島屋は現地通貨では減収減益だったが、円安で円換算では増収増益になった。上海高島屋は新たなテナントの誘致などで増収となり、黒字に転じた。
国内商業開発業は営業収益212億4,000万円(同3.0%増)、営業利益34億5,500万円(同1.0%増)。海外商業開発業は営業収益86億8,400万円(同15.1%増)、営業利益31億9,700万円(同19.2%増)で、シンガポールとベトナムがいずれも増収増益だった。ベトナムでは2027年秋にハノイで複合開発事業の開業を予定している。
カード事業や資産相談を手がける金融業は営業収益109億1,700万円(同8.6%増)、営業利益31億4,500万円(同17.0%増)だった。同社は10月15日の取締役会で、金融子会社4社の株式を新たに設ける中間持株会社に移すことを決めた。分散している経営資源を集め、ガバナンスやリスク管理を強めるとしている。効力発生は2027年3月1日の予定だ。
内装工事などの建装業は営業収益161億5,100万円(同3.6%増)、営業利益10億6,100万円(同30.6%減)。建築費の高騰で一部の受注予定案件が計画の見直しとなったことや、人件費などのコスト上昇が響いた。
通期予想を上方修正、訪日客売上の見通しは1,020億円に
同社は通期(2027年2月期)の業績予想を修正した。営業収益は5,030億円から5,091億円に、営業利益は575億円から590億円(前期比10.2%増)に、経常利益は570億円から600億円にそれぞれ引き上げた。総額営業収益は1兆800億円を見込む。親会社株主に帰属する当期純利益は380億円で据え置いた。決算説明会資料は、一時的な特別損失が出る見込みだが、政策保有株や不動産の売却益で吸収するとしている。前期(2026年2月期)は81億9,400万円の最終赤字だった。
国内百貨店の訪日客向け売上高の通期見通しは、4月時点の845億円(前年比11%減)から1,020億円(同7%増)に引き上げた。ただ下期だけを見ると500億円で、前年を3%下回ると見込む。国内百貨店の通期営業利益は、調達コストの増加などを織り込んで277億円の計画を据え置いた。決算短信は、中東をはじめとする地政学リスクが金融市場やインバウンド需要に及ぼす影響を「引き続き注視が必要」としている。
配当は、中間配当を4月時点の予想から2円増やして1株22円とし、11月24日に支払いを始める。期末配当の予想も2円増の22円とし、年間では44円になる。前期の年間配当は34円だった。同社は業績などを踏まえて配当を減らさずに増やしていく「累進配当」を基本方針に掲げている。通期予想の1株当たり当期純利益129円68銭に対し、年44円の配当は利益の3割余りを株主に回す計算になる。
玉川髙島屋S.C.、来年6月に食品フロアを全面刷新
同社は決算発表と同じ日に、子会社の東神開発と運営する玉川髙島屋S.C.(東京都世田谷区)の改装計画も公表した。本館地下1階の食料品フロア(約7,000平方メートル)を全面的に作り直し、2027年3月上旬に第1弾、6月下旬にグランドオープンを迎える。売り場を休まず3期に分けて工事しており、第1期部分は2026年6月15日に開業済みだ。
南館では10階に「大人の遊び場」をうたう新たな施設、11階に男性専用のサウナ施設を2027年3月に開く。1969年開業の同施設は2024年から段階的に改装を進めており、今回をその集大成と位置づける。改装工事の影響があったものの、上期の国内商業開発業は入店客数と売上高が増え、増収を確保した。
同社は2031年の創業200周年に向け、百貨店と専門店、国内と海外、店舗とネットの垣根を越えて商品やサービスを提供する「グループのシームレス化」を進めている。上期は訪日客需要が想定を大きく上回ったが、下期は前年割れを見込む。国内客の消費と海外・金融事業の伸びで、利益をどこまで積み上げられるかが焦点になる。
