滋賀銀行(大津市)と池田泉州ホールディングス(HD、大阪市)は10月29日、それぞれの取締役会で経営統合に向けて協議・検討を進めることを決議し、基本合意書を結んだと発表した。2028年4月1日をめどに、池田泉州HDの商号を変えて統合持株会社とし、滋賀銀行と株式交換を行う形を基本とする。滋賀銀行と、池田泉州HD傘下の池田泉州銀行は持株会社の下に並ぶが、合併はせず、行名と本店所在地も変えない。滋賀銀行は同じ日、池田泉州HDの発行済み株式の約11%を投資ファンドから約366億円で取得する契約も結んだ。両社は4月に資本業務提携を結んでおり、半年で統合の協議に進んだ。

2028年4月に株式交換、滋賀銀行株は上場廃止へ

両社の発表によると、統合は両社の株主総会の承認と、関係当局の許認可が得られることを前提とする。株式交換で滋賀銀行は統合持株会社の完全子会社となり、滋賀銀行の株主には商号変更後の池田泉州HDの株式が交付される。滋賀銀行の普通株式は、株式交換の効力が生じる日に先立って東京証券取引所で上場廃止となる予定だ。

株式交換の比率はまだ決まっていない。今後実施するデュー・ディリジェンス(資産査定)と、両社がそれぞれ起用する第三者算定機関の算定結果を踏まえて協議し、統合の最終契約を結ぶまでに決めて公表するとしている。統合持株会社の商号、本店所在地、代表者、役員構成、機関設計も最終契約で定める。両社は基本合意の後、速やかに統合準備委員会を設ける。

日程は、2027年4月に最終契約を締結し、同年12月に両社が臨時株主総会を開き、2028年4月1日に株式交換の効力を発生させる計画だ。両社はこの日程について、銀行法に基づく認可、独占禁止法上の手続きに加え、池田泉州HDが米国証券取引委員会(SEC)に「Form F-4」と呼ぶ登録届出書を出して効力を得る手続きなどの進み具合で変わることがあるとしている。1933年米国証券法に基づく手続きで、滋賀銀行の米国在住の株主には、臨時株主総会の前に目論見書が送られる予定だ。

統合が両社の2027年3月期の連結業績に与える影響は、現時点では軽微と見込んでいる。

筆頭株主のファンドから株式取得

統合の発表と同時に、滋賀銀行は池田泉州HDの株式3052万3100株を、ケイマン諸島に所在する投資ファンド「アリアケ・マスター・ファンド」から取得する株式譲渡契約を結んだ。取得価額は約366億円で、取得日は10月30日。滋賀銀行が持つ池田泉州HD株は、233万1500株(議決権の0.84%)から3285万4600株(11.81%)に増え、筆頭株主になる。滋賀銀行は取得の目的を「本経営統合の実現に向けた両社の関係強化および企業価値向上」と説明している。

池田泉州HDの開示によると、アリアケ・マスター・ファンドは5月1日時点で池田泉州HD株を2719万7500株(議決権の9.77%)持っていた。10月28日、信用取引で買い建てていた分を現物に切り替えたことで持ち株が3052万3100株(10.97%)となり、主要株主で筆頭株主になっていた。30日の譲渡で同ファンドは主要株主に当たらなくなる。同ファンドとの投資一任契約に基づいて運用しているのは、ありあけキャピタルだと池田泉州HDは記載している。

同ファンドは滋賀銀行の株主でもある。統合の開示資料に載った大株主の一覧(2026年3月31日時点)では、滋賀銀行の第2位の株主として5.82%を持っていた。両社の間には持ち合いもあり、池田泉州銀行は滋賀銀行株を106万9800株持つ。

合算で総資産14兆円、時価総額は滋賀銀行が上回る

両社の資料によると、2026年3月31日時点の連結総資産は滋賀銀行が7兆6690億円、池田泉州HDが6兆5959億円で、単純に合わせると14兆2649億円になる。銀行単体の預金等残高は合計11兆8247億円、貸出金残高は9兆5085億円、店舗数は272カ店、連結の従業員数は4487人。両社は単純合算の数値について、相殺消去などの調整前で、統合後の連結の数値を示すものではないと断っている。

項目 滋賀銀行 池田泉州HD
本店所在地 滋賀県大津市 大阪市北区
総資産(連結) 7兆6690億円 6兆5959億円
純資産(連結) 5090億円 2539億円
預金等残高(銀行単体) 5兆9572億円 5兆8675億円
貸出金残高(銀行単体) 4兆6249億円 4兆8836億円
時価総額(9月30日時点) 7068億円 3213億円
従業員数(連結) 2243人 2244人
店舗数 133カ店(代理店33カ店を含む) 139カ店
両社の概要(時価総額以外は2026年3月31日時点。預金・貸出・店舗数の池田泉州HDは池田泉州銀行の数値)

出典: 滋賀銀行・池田泉州ホールディングス「経営統合に関する基本合意について」

総資産や預金の規模はほぼ同じだが、純資産は滋賀銀行が池田泉州HDの約2倍あり、9月30日時点の時価総額も滋賀銀行の7068億円に対し池田泉州HDは3213億円だった。一方、統合の器には持株会社として上場している池田泉州HDを使う。両社は統合の理念として「互いを必要不可欠な存在として認め合う対等の関係」を掲げている。

2026年3月期の連結純利益は、滋賀銀行が212億9300万円、池田泉州HDが173億3600万円で、いずれも3期続けて増えた。

両社の連結純利益の推移(億円)

滋賀銀行池田泉州HD

0100200300159.4108.724年3月期187.2132.525年3月期212.9173.426年3月期
2026年3月期は滋賀銀行が212.9億円、池田泉州HDが173.4億円出典: 滋賀銀行・池田泉州ホールディングス「経営統合に関する基本合意について」(親会社株主に帰属する当期純利益)
数値で見る(単位: 億円)
項目滋賀銀行池田泉州HD
24年3月期159.4108.7
25年3月期187.2132.5
26年3月期212.9173.4

4月の資本業務提携から半年で統合協議へ

滋賀銀行は1933年設立で、滋賀県と京都府を主な営業区域とする。池田泉州HDは2009年設立の持株会社で、傘下の池田泉州銀行は大阪府と兵庫県を地盤とする。両社は2026年4月17日、「池田泉州・滋賀アライアンス」として資本業務提携を結んだ。

両社の資料によると、提携後は両行の支店の連携からシンジケートローン(協調融資)を組んで取引先の新規出店や店舗改装の設備資金を出したほか、池田泉州銀行の商談会に滋賀銀行の取引先が参加した。共同で開いた「為替・金利セミナー」には両行の取引先約300人が参加した。池田泉州HDから滋賀銀行のサステナブルファイナンス部門への職員の出向や、M&A部門での相互の出向も始めた。両社は提携による連携効果を、2030年度までの5年間で累計100億円と見込んでいる。この額に統合による効果は含まれていない。

両社は統合に進む理由について、提携の過程で「経営資源の配分や成長投資を一体的かつ中長期的な視点から行うことが、地域およびお客さまへの提供価値の向上と両社グループの持続的な成長につながる」との認識を共有したと説明している。背景には、人口減少や産業構造の変化、デジタル化、脱炭素への対応といった地域金融機関を取り巻く環境の変化を挙げた。

統合後の姿と、最終契約までに決まること

両社は統合で「関西で最も信頼され、必要とされる金融グループ」を目指すとしている。法人取引では事業承継・M&A、ビジネスマッチング、資金調達などで両行の顧客基盤と営業網を互いに使い、個人取引では資産形成・承継や住宅ローンなどのサービスを広げる。滋賀・京都から大阪・兵庫にかけての営業網を生かし、地域をまたいで取引先同士を結び付けるという。

経営面では、本部機能、店舗・チャネル、グループ会社の機能について、顧客の利便性や地域の金融機能に配慮しながら共同化と効率化を進めるとした。ただし、統合による効果の具体的な内容と業績への影響は、資産査定と統合準備の検討を踏まえて、開示すべき事項が生じた時点で公表するとしており、店舗の統廃合や人員の計画は今回示されていない。

株主にとっての条件となる株式交換比率と、統合持株会社の名称や経営陣は、2027年4月に予定する最終契約までに決まる。両社は統合の形態も、今後の協議の過程で変わる可能性があるとしている。