日本銀行は9月28日午前8時50分、企業向けサービス価格指数の2026年8月速報を公表した。企業どうしで取引されるサービスの価格を示す総平均は115.4(2020年平均=100)で、前年同月比3.7%の上昇だった。7月の3.6%から伸びが0.1%分広がった。

ただし、指数の中身を開くと、加速した分はほぼ一つの品目から来ている。国際運輸の5品目を除いた参考系列は114.5で前年比3.2%。7月も3.2%で、伸びは変わっていない。

総平均と「国際運輸を除く」で0.5%分の差

国際運輸に当たるのは、国際航空旅客輸送、外航貨物輸送(除く外航タンカー)、外航タンカー、国際航空貨物輸送、国際郵便の5品目だ。指数全体を1000としたときのウエイトは7.5しかない。その国際運輸の指数は238.0で、前年比63.6%の上昇。7月の58.2%からさらに伸びた。

中でも外航貨物輸送は指数271.8、前年比74.2%の上昇で、7月の67.4%から加速した。ウエイトは5.6と全体の0.6%に満たないが、2020年平均の2.7倍という水準まで上がっているため、総平均を押し上げる力が大きくなっている。国際航空旅客輸送も155.7で23.9%の上昇だった。

大類別で見ると運輸・郵便は120.6で前年比6.8%の上昇。総平均の3.7%のうち1.11%分をこの分野が占め、寄与は最も大きい。続いて諸サービスが0.97%分、リース・レンタルが0.82%分、情報通信が0.58%分、不動産が0.19%分、金融・保険が0.06%分で、広告だけが0.01%分の押し下げだった。

人件費の重いサービスは2.8%にとどまる

日銀は参考系列として、人件費の投入比率が高いサービスと低いサービスに分けた指数も出している。人件費率の高い側(ウエイト538.0)は114.3で前年比2.8%の上昇。低い側(同462.0)は116.8で4.8%の上昇だった。値上げが強いのは、人手よりも設備や輸送費の比重が大きい分野の側になっている。

人手に直結する品目を個別に見ると、労働者派遣サービスは115.3で3.5%の上昇、職業紹介サービスは119.3で6.1%の上昇だった。リースは138.4で21.1%の上昇と、品目別では外航貨物輸送に次ぐ高い伸びで、電子計算機・同関連機器リースや通信機器リースが挙げられている。

日銀は9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を賛成7・反対2で決めている。7月30〜31日の会合の議事要旨では誘導目標は1.0%程度と記されており、9月に0.25%分引き上げられた形だ。この決定の中身は日銀、政策金利を1.00%から1.25%程度へ引き上げ 賛成7・反対2 借入金利が同じだけ上がると1社平均で年46万円の利息負担増で、利上げ後の植田和男総裁の説明は日銀・植田総裁「政策の局面が変化した」 利上げの狙いは物価を2%へ上げることから2%で定着させることへ 次も「基本的には利上げ」で伝えた。

下がっている分野もある

すべてが上がっているわけではない。広告は108.8で前年比0.3%の下落。内訳のテレビ・ラジオ広告は106.7で7.0%の下落と、大きく落ちている。一方でインターネット・新聞・雑誌・その他の広告は110.0で4.0%の上昇と、7月の0.9%から伸びた。新聞広告や雑誌広告が挙げられている。

宿泊サービスは指数208.0と2020年平均の2倍を超える水準にあるが、前年比は1.6%の上昇にとどまった。7月の6.3%から鈍っている。指数の水準そのものは高いままでも、前年からの伸びは落ち着いてきた形だ。国内航空貨物輸送は81.3で5.0%の下落だった。

企業向けサービス価格指数とは

企業向けサービス価格指数は、企業間で取引されるサービスの価格変動を測る統計で、個人向けサービスは対象外になる。品質を固定したサービスの価格を継続して調べ、基準時である2020年の価格を100として指数にする。調査価格数は4675(参考指数を含むベース、2024年3月時点)。月次の指数は翌月の第18営業日に公表される。

消費者が店頭で払う価格を見る消費者物価指数とは対象が違い、企業が別の企業から買う運送や派遣、リース、広告などの価格を見る。企業が仕入れる段階での値上がりを示すため、この先の消費者向け価格や企業収益に影響する材料として使われる。

年ごとの総平均の前年比は、2023年が2.2%、2024年が3.2%、2025年が3.0%の上昇だった。