日本銀行は10月7日午後2時、分析データ「消費活動指数」の2026年8月分を公表した。物価変動の影響を除いた実質の指数は、2020年の平均を100とする季節調整済みの値で108.1となり、7月の109.1から下がった。インバウンド消費(訪日客の国内での買い物や宿泊)を除き、アウトバウンド消費(日本人が海外で使う分)を含める旅行収支調整済の系列も、7月の106.7から105.8へ低下した。
形態別では耐久財が114.2から108.3へ
実質の指数を消費の形態ごとに分けると、下げ幅が最も大きかったのは耐久財(自動車や家電など長く使う品目)で、7月の114.2から8月は108.3へ下がった。耐久財は4月に119.5、5月に121.1と高い水準をつけたあと、6月114.5、7月114.2、8月108.3と3か月続けて低下している。
非耐久財(食料品や日用品など使えばなくなる品目)は7月の94.8から94.0へ、サービス(外食や旅行、通信など)は121.6から121.4へと、いずれも小幅な下げだった。消費活動指数のなかで各形態が占めるウエイトは、耐久財が8.6、非耐久財が44.3、サービスが47.1。全体の半分近くを占めるサービスが横ばい圏にとどまるなかで、ウエイトの小さい耐久財の大きな下げが全体を押し下げた構図となる。
なお日銀は、非耐久財にはGDP統計で半耐久財(衣類や靴など)に分類される品目も含めていると注記している。
四半期では4〜6月の平均を0.6%下回る
月ごとの数字は振れが大きいため、日銀は四半期の平均も示している。7〜8月の2か月平均は、4〜6月の平均を0.6%下回った。旅行収支調整済では1.0%下回る。
1〜3月は前の期を0.6%、4〜6月は0.7%それぞれ上回っていた(旅行収支調整済では0.7%増、1.2%増)。四半期ベースで増加が続いていた流れが、7〜8月でマイナスに転じたことになる。ただし日銀は図表の注で、直近月の補外推計には前月の値を利用していること、2026年7〜9月期は7〜8月の2か月分で計算していることを明記しており、9月分が加わる来月の公表で数字が動く可能性がある。
名目は前年同月より3.3%高い
前年の同じ月と比べると、実質の指数は2025年8月の107.0から108.1へ1.1%上昇した。一方、物価変動を除かない名目の指数は123.0から127.1へ3.3%上昇している。名目と実質の差は、その間の物価上昇分にあたる。
総務省が9月18日に公表した2026年8月の全国消費者物価指数では、生鮮食品を除く指数が前年同月より1.7%高かった。くわしくは8月の消費者物価、生鮮食品を除く上昇率は1.7%に鈍化 電気代とガソリンが前年より安く 一方でキャベツは45.0%高で伝えている。形態別の前年同月比は、サービスが118.1から121.4へ2.8%上昇した一方、耐久財は108.8から108.3へ0.5%、非耐久財は94.9から94.0へ1.0%それぞれ下がった。
GDPの約半分を占める個人消費を月次でつかむ指標
消費活動指数は、日銀が独自に作成・公表している分析データである。日銀は、個人消費がGDP(国内総生産)のおおよそ半分を占めるため、マクロの景気判断を行ううえで個人消費の動向を「いち早く、正確に把握することは重要」だと説明している。
財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計として合成する作りで、出所には内閣府、日銀、経済産業省、総務省、財務省などが挙げられている。GDP統計の個人消費が四半期ごとにしか分からないのに対し、こちらは月次で方向が見える点が特徴だ。名目値と実質値、旅行収支を調整したものとしていないもの、形態別の内訳など複数の系列があり、分析目的に応じて使い分けられるようになっている。公表日時は原則として毎月第5営業日の午後2時で、業務の都合により遅れることがあるとしている。
推計方法はこれまで何度か見直されており、直近では2026年4月に、GDP統計が2020年基準へ改定されたことに伴う見直しが実施された。指数の基準年が2020年=100となっているのはこのためである。
企業側の景況感については、日銀が10月1日に公表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)の結果を日銀9月短観、大企業製造業の業況判断はプラス24 6月調査のプラス22から上向き3か月前の予測プラス17も上回る 中小企業の借入金利「上昇」超は61から70へで伝えた。日銀の次回の金融政策決定会合は10月29日と30日に開かれ、30日には経済・物価情勢の展望(展望レポート)の最新版も公表される。
