水産庁は10月30日、日本海のベニズワイガニ、ヒラメ、アカガレイ、ソウハチ、ムシガレイ、ニギスの6魚種7系群について、2026年度の資源評価の結果を公表した。評価は国立研究開発法人水産研究・教育機構が都道府県の試験研究機関などと共同で行い、2025年までのデータを基にしている。ヒラメは日本海北部系群、日本海中西部・東シナ海系群の2系群とも、漁獲の強さを示す「漁獲圧」が持続的に獲り続けられる目安を上回った。ムシガレイ日本海南西部系群は、卵を産む親魚の量が目標の0.25倍にとどまった。
192魚種のうち日本海の7系群を公表
水産庁の発表によると、水産研究・教育機構は国の周辺水域の192魚種を資源評価の対象にしており、今回はそのうち日本海を中心とする7系群の結果をまとめた。「系群」は、同じ魚種のうち分布や産卵場が共通する集団を指す。ヒラメは北海道から九州まで広く分布するが、日本海側では北部と中西部・東シナ海の二つの系群に分けて評価している。
評価の方法は、使えるデータの量で2通りに分かれる。年齢ごとの漁獲尾数などがそろうヒラメ2系群、アカガレイ、ソウハチ、ムシガレイの5系群は、資源の量そのものを推定し、「最大持続生産量(MSY)」を基準に判断した。MSYは、資源を減らさずに毎年獲り続けられる最大の漁獲量を指す。MSYを実現する親魚の量を目標とし、いまの親魚量と漁獲圧がその基準の何倍かを示す。
漁獲量と資源量の指標しか使えないベニズワイガニとニギスは、資源量指標値の過去の推移の中で、2025年がどの位置にあるかを「資源水準」として百分率で示した。80%の水準を目標、56%の水準を限界とし、目標を上回れば漁獲量を増やし、下回れば減らす係数を算出する。
ヒラメ2系群、親魚量は目標の6〜7割台
ヒラメ日本海北部系群の2025年の親魚量は4171トンと推定され、目標とする5701トンの0.73倍だった。親魚量は評価した全ての年で目標を下回っている。漁獲圧も全ての年で目安を上回り、2025年は目安の1.21倍だった。2025年の漁獲量は1361トンで、前年からやや減った。一方、1歳魚の加入量は2022年以降増えており、2025年は221万尾と推定された。
ヒラメ日本海中西部・東シナ海系群は、石川県から鹿児島県の佐多岬にかけての沿岸に分布する。2025年の親魚量は2532トンで、目標の4053トンの0.62倍。1986年以降、目標を下回り続けている。漁獲圧は目安の1.12倍で、2019年以降は下がる傾向にある。加入量は1996年から減少傾向が続き、2025年は65万尾だった。この海域では1980年代から人工種苗の放流が行われている。
将来予測では、両系群とも稚魚の放流が続くと想定して計算した。日本海北部系群は、漁獲の強さを目安の0.8倍に抑える標準の規則で獲った場合、2027年の平均漁獲量は1000トンとなり、2037年に親魚量が目標を上回る確率は76%と予測された。日本海中西部・東シナ海系群は標準の係数を0.7としており、その場合の2027年の平均漁獲量は508トン、2037年に目標を上回る確率は100%とされた。いずれも2025年の漁獲量を下回る水準になる。
| 系群 | 2025年の漁獲量 | 親魚量(目標比) | 漁獲圧(目安比) |
|---|---|---|---|
| ヒラメ日本海北部 | 1361トン | 0.73倍 | 1.21倍 |
| ヒラメ日本海中西部・東シナ海 | 724トン | 0.62倍 | 1.12倍 |
| アカガレイ日本海 | 3100トン | 1.43倍 | 0.36倍 |
| ソウハチ日本海南西部 | 1200トン | 0.74倍 | 0.45倍 |
| ムシガレイ日本海南西部 | 276トン | 0.25倍 | 0.71倍 |
ムシガレイは親魚1020トン、アカガレイは目標の1.43倍
カレイ類3系群では、状態がはっきり分かれた。
ムシガレイ日本海南西部系群は、資源量が2012年に2000トン台、2015年に1000トン台と大きく減り、2025年は1286トンと推定された。親魚量は1020トンで、目標の4000トンの0.25倍。評価した全ての年で目標を下回っている。漁獲圧は1994年以降目安を上回っていたが、2021年以降は下回り、2025年は目安の0.71倍だった。2025年の漁獲量は276トン。標準の規則で獲った場合、2027年の平均漁獲量は120トンとなり、2037年に親魚量が目標を上回る確率は16%にとどまると予測された。漁獲の強さを目安と同じにした場合、その確率は1%になる。
ソウハチ日本海南西部系群は、2025年の漁獲量が1200トンで、過去最低となった。親魚量は3100トンで目標の4100トンの0.74倍だが、漁獲圧は目安の0.45倍と低い。標準の規則で獲った場合、2027年の平均漁獲量は2400トン、2037年に目標を上回る確率は85%と予測された。
アカガレイ日本海系群は、2007年以降、親魚量が目標を上回っている。2025年の親魚量は3万3400トンで、目標の2万3400トンの1.43倍。漁獲圧は目安の0.36倍だった。2025年の漁獲量は3100トンで、標準の規則で獲った場合の2027年の平均漁獲量は7100トン、2037年に目標を上回る確率は92%とされた。
なお、5系群の目標や規則は、2021年度または2022年度の研究機関会議で合意された「案」として示されている。
ベニズワイガニ、鳥取・島根沖は目標下回る
ベニズワイガニ日本海系群は、日本海の本州沿岸の水深400〜2700メートルに分布する。漁業の違いから、鳥取県から島根県の地先と沖合の漁場を国が許可する「大臣許可水域」と、青森県から兵庫県の各県地先の「知事許可水域」に分けて評価している。
大臣許可水域の2025年の漁獲量は6117トンで、2015年以降の減少傾向から2023年に増加に転じた。韓国の漁獲量は2万6756トンだった。資源量指標値は2015年以降大きく減った後、2020年以降は増えているが、2025年の資源水準は61.9%で目標の80%を下回った。漁獲量を増減させる係数は0.914となり、2021〜2025年の日韓の平均漁獲量3万1891トンに掛けた2027年の生物学的許容漁獲量(ABC)は2万9138トンと算定された。
知事許可水域の2025年の漁獲量は4535トン。2007年以降は6000トン前後で推移してきた。資源水準は92.3%で目標を上回り、係数は1.063、2027年のABCは5885トンとなった。算定に使った平均漁獲量のうち2024年分は、令和6年能登半島地震で漁獲の努力量が減った影響を考慮し、新潟県で281トン、富山県で56トンを足した補正値を用いた。
ニギス日本海系群は、2025年の漁獲量が1854トン。資源水準は83.2%で目標を上回り、2027年のABCの試算値は1846トンとなった。
標準の規則なら3系群で漁獲量が減る
標準の規則に沿った2027年の平均漁獲量を2025年の実績と並べると、系群ごとの差がはっきりする。ヒラメ日本海北部系群は1361トンから1000トンへ、ヒラメ日本海中西部・東シナ海系群は724トンから508トンへ、ムシガレイ日本海南西部系群は276トンから120トンへ、それぞれ減る計算になる。いずれも漁獲圧が目安を上回っているか、親魚量が目標を大きく下回っている系群だ。
反対に、親魚量に対して漁獲圧が低いアカガレイは3100トンから7100トンへ、ソウハチは1200トンから2400トンへと、2025年の実績を上回る漁獲量が示された。ソウハチは親魚量が目標の0.74倍にとどまるが、漁獲圧が目安の0.45倍と低いため、標準の規則でも漁獲量を増やせる計算になる。
ベニズワイガニは同じ系群の中でも海域で結果が分かれ、大臣許可水域は漁獲量を減らす係数、知事許可水域は増やす係数となった。ニギスは資源水準が目標をわずかに上回り、ABCの試算値は直近5年の平均漁獲量1817トンとほぼ同じ1846トンだった。
評価結果の詳しい内容は、水産研究・教育機構のウェブページ「資源評価関連会議情報」に掲載されている。
