11月1日午前7時15分ごろ、三重県南東沖を震源とする地震があった。気象庁によると、震源の深さは350キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.1。最大震度3を観測したのは、震源から遠く離れた福島県浜通りの大熊町、双葉町、浪江町だった。揺れは北海道から香川県までの23都道府県で観測されたが、震央に近い三重県では震度1以上を観測した地点が無かった。気象庁はこの地震による津波の心配はないとしている。

最大震度3は福島県の3町、首都圏でも震度2

気象庁が午前7時22分に発表した震源・震度情報によると、震度3を観測したのは大熊町大川原、双葉町長塚、浪江町幾世橋の3地点だった。このうち大熊町と双葉町の観測点は、気象庁以外(自治体または防災科学技術研究所)が設置したものだ。

震度2は北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の10都道県で観測した。東京23区では千代田区大手町や江東区、世田谷区、江戸川区などで震度2、宮城県では名取市や石巻市、登米市などで震度2だった。北海道では十勝地方中部の浦幌町で震度2を観測した。

震度1は青森、岩手、山形、新潟、山梨、長野、岐阜、静岡の各県に加え、大阪府北部、和歌山県南部、岡山県南部、徳島県北部、香川県東部でも観測した。市区町村ごとに数えると、震度3が3、震度2が139、震度1が254の計396市区町村に上った。

気象庁の震度階級関連解説表は、震度3を「屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる」、震度2を「屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる」揺れとしている。

震度別の市区町村数(11月1日7時15分ごろの三重県南東沖の地震)(市区町村)

01002003003震度3139震度2254震度1
震度3は福島県の3町だけで、震度1と2が大半を占めた出典: 気象庁「震源・震度情報」(11月1日7時22分発表)
数値で見る(単位: 市区町村)
項目市区町村
震度33
震度2139
震度1254

気象庁は午前7時18分に震度速報、7時19分に震源に関する情報、7時22分に震源・震度情報を発表した。情報はいずれも「津波の心配はありません」としている。

震央に近い三重では観測されず、沈み込んだプレートが揺れを遠くへ

震央は北緯33.7度、東経137.1度。それにもかかわらず、震源・震度情報には三重県、愛知県、奈良県の観測点が1つも載っていない。近畿地方で揺れを観測したのは大阪府北部と和歌山県南部の震度1にとどまり、震度3は東北地方の太平洋側にある福島県浜通りで出た。

一般に地震の揺れは震源に近いほど強く、遠いほど弱い。今回はその逆の分布になった。気象庁はこのように「震央付近よりも、震央から離れた地域で大きな揺れを観測」する現象を「異常震域」と呼んでいる。

千葉県北東部でM5.5の地震、横芝光町で震度5弱 深さ約50キロ、津波なしと比べると、今回の震源は350キロとはるかに深い場所にあった。

なぜ遠い場所の方が揺れるのか。気象庁の参考資料によると、原因は地球内部の岩盤の性質の違いにある。

プレートがぶつかり合う場所では、陸のプレートの地下深くまで海洋プレートが沈み込んでいる。地震波は普通、震源から遠ざかるほど弱まるが、沈み込んだ海洋プレートは「地震波をあまり減衰せずに伝えやすい性質」を持つ。このため海洋プレートの深い場所で地震が起きると、真上の地表には地震波があまり伝わらない一方、プレートに沿って遠くまで揺れが届く。

稚内地方気象台の防災メモは、日本周辺の深発地震について、震源に近い側の地表へ届く地震波は「震源直上の地震波が減衰しやすい領域を通る」のに対し、太平洋側の地表へ届く地震波は減衰しにくい海洋プレートを通ると説明している。その結果、震源から遠く離れた太平洋側で震度が大きくなる。

今回、震度2以上が出たのは北海道の十勝地方中部と、宮城県から神奈川県までの東北・関東の各都県で、いずれも太平洋側にあたる。

同じ海域で2003年と2019年にも

三重県南東沖の深い場所では、過去にも同じ現象が起きている。気象庁の2019年7月の地震・火山月報によると、同年7月28日午前3時31分に三重県南東沖の深さ393キロでM6.6の地震があり、宮城県で最大震度4を観測したほか、北海道から近畿地方にかけて震度3〜1を観測した。地震は太平洋プレート内部の深いところで起き、発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型だった。

月報は、この付近ではM5.0以上の地震が時々起きており、2009年8月9日にもM6.8の地震(最大震度4)があったと記している。1922年以降で見ると、震央付近から小笠原諸島西方沖にかけてM7.0以上の深い地震が時々起きているという。

気象庁が異常震域の例として示した過去の地震は次の通り。

発生日 震央地名 規模 震源の深さ
2003年11月12日 三重県南東沖 M6.5 396キロ
2007年7月16日 京都府沖 M6.7 374キロ
2012年1月1日 鳥島近海 M7.0 397キロ
2016年1月12日 北海道北西沖 M6.2 265キロ
2019年7月13日 奄美大島北西沖 M6.0 256キロ
2019年7月28日 三重県南東沖 M6.6 393キロ
2020年12月1日 サハリン西方沖 M6.7 619キロ
気象庁が「異常震域のあった過去の地震」として示した例出典: 気象庁「令和元年7月 地震・火山月報(防災編)」、同「【参考】震央付近の場所よりも震央から離れた場所で大きな震度を観測する地震について」

津波はまず起きないが、規模が大きければ遠くでも強い揺れ

稚内地方気象台の防災メモは、異常震域を生じるような深発地震で津波が発生することは「まずありません」としている。今回も気象庁は津波の心配はないと発表した。

ただし防災メモは「被害の可能性がないわけではありません」とも書く。地震の規模が大きくなれば、震源から離れていても強く揺れるだけでなく、長周期地震動の影響を受ける可能性があることにも留意が必要だとしている。

今回の最大震度3は、屋内のほとんどの人が揺れを感じる程度にとどまった。それでも、震央から遠い東北や関東で揺れを感じた人が多かったのは、深い地震の揺れ方が浅い地震と異なるためだ。強く揺れた地域と震央が離れていることもあるため、気象庁の震源・震度情報で震源の位置と深さを確かめることが、揺れの原因を知る手がかりになる。