日本製鉄グループの情報システム会社、日鉄ソリューションズ(東証プライム)は11月2日、2027年3月期の連結業績予想を修正し、営業利益を7月30日に公表した485億円から490億円に引き上げた。同日発表した4〜9月期(中間期)の連結決算(国際会計基準)は、売上収益が1989億7800万円(前年同期比11.6%増)、営業利益が232億900万円(同27.0%増)で、同社は中間期として売上、利益とも過去最高になったとしている。中間配当は前年同期より4円50銭多い1株44円50銭とし、年間配当の予想を前回の見通しから2円多い89円に引き上げた。

4〜9月期は営業利益27%増、利益率は11.7%に

4〜9月期の連結決算は、売上収益が前年同期の1783億7500万円から206億300万円増えた。営業利益は182億7200万円から49億3700万円増、税引前中間利益は188億4800万円から237億2800万円(25.9%増)に、親会社の所有者に帰属する中間利益は120億700万円から148億5700万円(23.7%増)になった。1株当たり中間利益は65円62銭から81円19銭に増えた。

項目 2026年4〜9月 前年同期 増減率
売上収益 1989億7800万円 1783億7500万円 11.6%増
営業利益 232億900万円 182億7200万円 27.0%増
税引前中間利益 237億2800万円 188億4800万円 25.9%増
中間利益(親会社帰属) 148億5700万円 120億700万円 23.7%増
日鉄ソリューションズの4〜9月期連結決算(国際会計基準)

出典: 日鉄ソリューションズ「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」

決算短信によると、増収には事業の伸びに加え、2025年7月に情報システム会社のインフォコムを連結子会社にした影響が含まれる。中期経営計画に沿った施策で販売費及び一般管理費は増えたものの、増収と売上総利益率の改善で吸収した。決算説明資料では、売上総利益率は前年同期の25.9%から27.1%に、営業利益率は10.2%から11.7%に上がった。

7月30日に示した中間期の見通しと比べると、売上収益は2000億円の見通しに10億円届かなかった一方、営業利益は215億円の見通しを17億円上回った。

防衛の大型案件、受注高も14%増

事業を2つの分野に分けると、企業の基幹システムなどを手がける「ビジネスソリューション」の売上収益は1434億400万円で、前年同期から83億3200万円増えた。産業・鉄鋼分野向けは鉄鋼向けが減ったが、インフォコムの連結と自動車・化学素材・食品・鉄道などの産業向けの伸びで増収となった。金融分野向けもグループ会社を中心に伸びた。一方、流通・プラットフォーマー分野向けは小売や情報サービス向けの売上が減り、減収だった。

「コンサルティング&デジタルサービス」の売上収益は555億7400万円で、前年同期の433億200万円から122億7100万円(約28%)増えた。決算短信は「防衛分野の大型案件が大きく寄与した」と説明している。

先行きの仕事量を示す受注も増えた。4〜9月の受注高は2128億円で、前年同期の1864億円から14%増えた。コンサルティング&デジタルの受注高は546億円で前年同期から195億円(56%)増え、説明資料は「官公庁向け主体に大幅増」としている。ほかの分野の受注高は、産業・鉄鋼が925億円(113億円増)、金融が327億円(37億円増)だった。流通・プラットフォーマーは330億円で82億円減ったが、説明資料は本体分の減少は時期のずれが主な理由だとしている。前年同期にはインフォコムを連結した際に同社の受注残175億円を受注として取り込んでおり、この反動を考えた実質の増加率は20%程度になるという。

9月末の受注残高は2128億円で前年同期から18%多く、同社はこれで10〜3月の売上見通し2200億円の56%をまかなえるとしている。

通期は営業益490億円、配当性向50%で増配

通期の業績予想は、売上収益を4190億円に据え置き、営業利益を490億円、税引前利益を493億円から498億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を323億円から324億円にそれぞれ引き上げた。前期(2026年3月期)の実績と比べると、売上収益は3813億4000万円から9.9%増、営業利益は442億4200万円から10.8%増える見通しになる。

配当は、連結配当性向50%を目安とする方針に沿って決めている。中間配当は1株44円50銭で、支払い開始は12月1日の予定。期末配当の予想も44円50銭とし、年間では前期の85円から4円多い89円を見込む。予想どおりなら配当性向は50.3%になる。

9月末の現金及び現金同等物は1273億6800万円で、3月末から185億6900万円増えた。このうち1144億5100万円は、親会社の日本製鉄の資金を一括して管理する仕組み(キャッシュマネジメントシステム)に預けている分である。親会社の所有者に帰属する持分の比率は65.9%だった。

同じ11月2日には、マクニカHD、通期予想を上方修正 売上高1兆6700億円に 年90円へ増配も通期の業績予想の上方修正と増配を発表した。

アンソロピックと提携、人手の対価から転換急ぐ

同社は2025年2月に公表した2025〜2027年度の中期経営計画で、2027年度(2028年3月期)に売上収益4500億円、営業利益600億円、営業利益率13%、自己資本利益率(ROE)13%程度を目標に掲げる。営業利益の目標まで、今期の予想からさらに110億円の上積みが要る。

計画の柱の一つが「TAM型」と呼ぶ収益モデルへの移行である。説明資料によると、TAMは次世代のシステム開発(SI Transformation)、蓄えたソフト資産の活用(Asset Driven)、複数の顧客企業で共用する基盤の提供(Multi Company Platform)の頭文字。投入した人員と期間(人月)を対価として受け取る従来の受託開発から離れる狙いで、売上に占めるTAM型の比率は2025年度の38%から、今期は50%程度、2027年度は75%程度に高める計画だ。説明資料は「AIは人月・工数モデルを成り立たなくする」とも書いている。

生成AIの活用も進める。決算短信によると、同社は9月、米アンソロピック(Anthropic, PBC)と戦略的パートナーシップ契約を結んだ。説明資料は「国内ユーザー系SIerとして初」の提携だとし、日本製鉄の現場を最初の利用先として使い込んだうえで、製造業から金融、流通・サービス、公共へ広げるとしている。社内の開発業務では、同社のAI「Claude」「Claude Code」の利用が大幅に増えたという。社内の生成AI活用で生み出した時間は全社で月23万5236時間となり、第1四半期の開示時点の12万3900時間から約1.9倍になったという。

外部の企業の取り込みも続く。5月には損害保険会社向けの基幹システムを主力とするB-Prostをグループ会社にし、7月には自動車向けのインテリジェントシステム開発を手がけるiAuto Co., Ltd.と資本業務提携を結んだ。