日本銀行は10月27日午前8時50分、企業向けサービス価格指数の2026年9月速報を公表した。企業どうしで取引されるサービスの価格を示す総平均は115.5(2020年平均=100)で、前年同月比3.7%の上昇だった。前月比では0.3%上がった。
同時に8月分が訂正された。9月28日公表の速報では総平均115.4、前年比3.7%だったが、訂正後は115.2、3.5%になった。国際運輸の5品目を除く参考系列も、8月速報の3.2%から2.9%に下がった。9月の国際運輸を除く参考系列は114.4で前年比2.9%と、訂正後の8月と同じ伸びにとどまっている。
8月分は3.5%に訂正、9月で再び3.7%
日銀の概要説明によると、価格の調査は速報に間に合うよう実施しているが、間に合わなかった価格データはその翌月以降に反映する。月次の指数は、速報公表から3か月後までに利用できるようになった情報を順次反映し、毎月の公表時に訂正している。今回の8月分の訂正はこの仕組みによるものだ。
訂正後の数字で並べると、総平均の前年比は2026年1月と2月が2.7%、3月が3.2%、4月と5月が3.6%、6月が3.4%、7月が3.6%、8月が3.5%で、9月の3.7%は資料に載る2025年8月以降で最も高い。2025年9月は3.1%、2025年の年平均は3.0%だった。
一方、国際運輸を除く参考系列は4月3.2%、5月3.3%、6月3.0%、7月3.1%と推移したあと、8月と9月はいずれも2.9%だった。総平均と参考系列の差は9月で0.8%分あり、8月の0.6%分から開いた。総平均の伸びの拡大は、ほぼ国際運輸の上昇によるものになる。
企業向けサービス価格指数の前年同月比(2026年)(%)
総平均除く国際運輸
数値で見る(単位: %)
| 項目 | 総平均 | 除く国際運輸 |
|---|---|---|
| 2月 | 2.7 | 2.7 |
| 3月 | 3.2 | 2.9 |
| 4月 | 3.6 | 3.2 |
| 5月 | 3.6 | 3.3 |
| 6月 | 3.4 | 3.0 |
| 7月 | 3.6 | 3.1 |
| 8月 | 3.5 | 2.9 |
| 9月 | 3.7 | 2.9 |
外航貨物輸送は2020年の3倍超に
国際運輸に当たるのは、国際航空旅客輸送、外航貨物輸送(除く外航タンカー)、外航タンカー、国際航空貨物輸送、国際郵便の5品目だ。指数全体を1000としたときのウエイトは7.5にすぎない。その国際運輸の指数は271.4で、前年比82.0%の上昇だった。8月(訂正後)の63.8%から伸びがさらに広がった。
中でも外航貨物輸送は315.9と2020年平均の3倍を超え、前年比97.7%の上昇、前月比でも16.0%上がった。8月(訂正後)は272.3で74.6%の上昇だった。ウエイトは5.6と全体の1%に満たないが、ここまで水準が上がると総平均を押し上げる力が大きい。日銀が示した寄与度の前月差では、外航貨物輸送だけで0.20%分、総平均の前年比を押し上げた。国際航空貨物輸送も133.9で33.5%、国際航空旅客輸送は153.0で20.8%の上昇だった。
外航貨物輸送の価格は、契約通貨が外貨建てなら円に換算して集計される(日銀の概要説明)。このため運賃そのものの動きに加え、為替の動きも指数に表れる。
大類別の運輸・郵便は121.8で、前年比8.4%の上昇(8月は6.8%)。総平均の3.7%のうち1.36%分を占め、寄与は大類別で最も大きい。道路貨物輸送は4.6%、道路旅客輸送は7.5%、内航貨物輸送は8.1%の上昇だった。国内航空旅客輸送は前年比7.9%の上昇だが、指数は149.3から136.5へ前月比8.6%下がっている。旅行サービスは4.9%の上昇で、8月の1.4%から伸びた。
宿泊は9.7%上昇、広告は5.2%下落
国際運輸以外で伸びを広げたのは宿泊サービスだ。指数は215.3と2020年平均の2倍を超え、前年比9.7%の上昇。8月の1.6%から大きく伸び、前月比でも3.5%上がった。寄与度の前月差は0.14%分で、外航貨物輸送に次ぐ。
大類別の諸サービスは118.2で2.8%の上昇、寄与は1.06%分と運輸・郵便に次いで大きい。内訳では労働者派遣サービスが3.6%、建物サービスが2.2%、警備が2.9%、給食サービスが4.5%の上昇だった。土木建築サービスは2.0%の上昇で、8月の3.5%から鈍った。
リース・レンタルは125.0で11.7%の上昇。リースは133.7で17.1%上がり、電子計算機・同関連機器リースや自動車リースが挙げられている。情報通信は108.6で2.5%の上昇で、移動電気通信は前月比1.8%下がり、前年比は0.0%と横ばいになった。
下げたのは広告だ。広告は111.1で前年比5.2%の下落となり、8月(訂正後)の0.8%下落から下げ幅が広がった。総平均への寄与は0.23%分のマイナスで、大類別で唯一の押し下げ要因になった。内訳はテレビ・ラジオ広告が11.7%の下落(8月は7.0%の下落)、インターネット・新聞・雑誌・その他の広告が1.0%の下落(同3.0%の上昇)だった。
| 大類別 | ウエイト | 9月の前年比 | 8月の前年比 | 9月の寄与 |
|---|---|---|---|---|
| 運輸・郵便 | 161.7 | 8.4% | 6.8% | 1.36 |
| 諸サービス | 371.7 | 2.8% | 2.5% | 1.06 |
| リース・レンタル | 57.8 | 11.7% | 11.0% | 0.68 |
| 情報通信 | 230.8 | 2.5% | 2.5% | 0.54 |
| 不動産 | 89.9 | 2.2% | 2.1% | 0.19 |
| 金融・保険 | 46.4 | 1.5% | 1.4% | 0.07 |
| 広告 | 41.7 | −5.2% | −0.8% | −0.23 |
出典: 日本銀行「企業向けサービス価格指数(2026年9月速報)」
人件費の重いサービスは2.6%
日銀は参考系列として、人件費の投入比率が高いサービスと低いサービスに分けた指数も作っている。人件費率の高い側(ウエイト538.0)は114.2で前年比2.6%の上昇と、8月(訂正後)の2.7%からわずかに鈍った。低い側(同462.0)は117.1で4.8%の上昇と、8月の4.4%から伸びた。
7〜9月の四半期で見ると、総平均は115.3で前年比3.6%の上昇と、4〜6月と同じ伸びだった。人件費率の高い側は2.7%、低い側は4.7%で、値上げが目立つのは人手よりも輸送や設備の比重が大きい分野の側という構図は8月分の公表時から変わっていない。前月の内訳は企業間のサービス価格、8月は3.7%上昇 押し上げたのは外航貨物輸送の74.2%高 国際運輸を除くと3.2%で7月と変わらずで伝えた(数値は速報時点のもの)。
日銀は9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を賛成7・反対2で決めた。この決定の中身は日銀、政策金利を1.00%から1.25%程度へ引き上げ 賛成7・反対2 借入金利が同じだけ上がると1社平均で年46万円の利息負担増で伝えている。次の決定会合は10月29日と30日に開かれ、30日には「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の基本的見解が公表される予定だ。
企業向けサービス価格指数とは
企業向けサービス価格指数は、国内のサービス提供者と国内企業との間で取引されるサービスの価格を測る統計で、個人向けサービスは対象外になる。2020年基準は総平均、7大類別、26類別、59小類別、146品目で構成され、指数は消費税を含むベースで作る。月次の指数は原則として翌月の第18営業日の午前8時50分に公表される。
消費者が店頭で払う価格を見る消費者物価指数とは対象が違い、企業が別の企業から買う運送や派遣、リース、広告などの価格を見る。企業が仕入れる段階での値上がりを示すため、この先の消費者向け価格や企業収益の動きを見る材料として使われる。
年ごとの総平均の前年比は、2023年が2.2%、2024年が3.2%、2025年が3.0%の上昇だった。日銀によると、次の10月分は11月25日に公表される。
