関西電力は9月17日、家庭向けなどの電気料金のもとになる原価の算定に誤りがあったと発表した。2024年4月1日から適用している「特定小売供給約款」の変更届出で、送配電網の費用を発電する側にも求める「発電側課金」の割引単価の判定を一部誤り、3年間の原価を約1400万円多く計上していた。経済産業省は同じ17日、電気事業法に基づいて事実関係や再発防止策の報告を求めた。

「154kV」を標準電圧と取り違えた

発電側課金は、送電線や変電所といった送配電設備を維持・拡充するのに必要な費用の一部を、電気を送り出す発電事業者にも負担してもらう制度で、2024年4月に導入された。送配電設備を効率よく使うことにつながる場所にある発電所には、負担を軽くする割引が用意されている。

割引の単価は、発電所が電気を受け取るときの電圧の区分によって変わる。関西電力は一部の発電所について、資料に「受電電圧154kV(キロボルト)」と記されていたことから、区分の境目である「標準電圧140kV」を超えると判定した。しかし資料にあった154kVは、電力系統や電気設備を技術的に表すときに使う「公称電圧」で、割引の判定に用いる約款上の「標準電圧」ではなかった。

この取り違えにより、本来当てはめるべき単価より低い単価が使われた。同社が示した例では、割引区分A-2は本来1kWあたり月11円55銭(税込)のところを5円78銭、A-3は5円78銭のところを2円89銭として計算していた。割引額を少なく見積もった結果、発電側課金にかかる原価が実際より高くなり、そこから導かれる規制料金の原価も3年間で約1400万円、1年あたり約500万円ふくらんだ。2024年4月に設定した規制分野の料金への影響は、現時点で1つの契約種別・1か月あたり最大1円と見込んでいる。

11月の託送料金見直しの準備で判明

誤りが見つかったのは、2026年11月1日に予定されている各一般送配電事業者の託送料金の見直しを、規制分野の電気料金に反映する原価算定を進めている最中だった。託送料金は、小売事業者が送配電網を使うために支払う料金で、電気料金の原価に組み込まれている。

経産省は9月11日、北海道電力ネットワークや関西電力送配電など一般送配電事業者8社から、託送供給等約款の変更届出を受理したと公表している。9月4日に承認された収入の見通しを算定の基礎として、各社が託送料金を変更したものだ。この反映作業で過去の算定をたどり直したところ、2024年当時の誤りに行き当たった形になる。

関西電力は「今後、お客さまへの返還方法を検討するとともに、再発防止に取り組んでまいります」としている。

経産省は3項目の報告を要求

経産省が用いたのは、電気事業法106条3項の報告徴収だ。同項は、法律の施行に必要な範囲で、小売電気事業者や一般送配電事業者などに業務や経理の状況を報告させることができると定めている。

求めたのは、①事実関係と経緯②利用者への影響と対応方針・対応状況③発生原因を特定・整理したうえでの実効的な再発防止策——の3点。関西電力は「報告徴収に速やかに対応してまいります」と説明した。

中部電力は500万件・12億円 規模には大きな開き

同じ構図の発表は1週間前にもあった。中部電力は9月10日、中部電力ミライズが2024年2月6日に届け出て2024年4月1日から適用した特定小売供給約款について、発電側課金の導入に伴う3年間の発電原価の変動額を「+501億円」と算定していたが、適切には「+474億円」で、27億円を過大に計上していたと公表した。返還の対象は2026年8月時点で500.9万件、精算の総額は12億円程度で、家庭の平均モデル(従量電灯B・30アンペア、使用量260kWh)では1か月あたり10円、最大では152円になるとしている。経産省はこの日、小売を担う中部電力ミライズに報告徴収を行っており、中部電力は社内で誤りに気づきながら是正していなかった

2社はいずれも2024年2月6日に変更を届け出て、2024年4月1日から新しい料金を適用している。発電側課金という同じ新制度の原価をどう見積もるかでつまずいた点も共通する。ただし関西電力の分は3年間で約1400万円、1年あたり約500万円で、利用者への影響も1か月あたり最大1円にとどまり、500.9万件・12億円程度の返還が生じる中部電力の事案とは規模に大きな開きがある。