住友化学は11月2日、2026年4〜9月期(中間期)の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上収益は1兆1727億8700万円で前年同期比7.1%増、本業のもうけを示すコア営業利益は1445億3100万円で32.9%増、営業利益は1380億5800万円で33.2%増だった。親会社の所有者に帰属する中間利益は828億7500万円で、前年同期の396億9900万円の2.1倍になった。石油化学を担うエッセンシャル&グリーンマテリアルズ部門が、持分法適用会社の業績改善と市況の上昇で黒字に転じたことが利益を押し上げた。同社は5月14日に示した通期の業績予想と配当予想を引き上げた。

持分法の損益が366億円の利益に

同社のコア営業利益は、持分法による投資損益を含む営業損益から、事業構造改善費用や減損損失などの一時的な損益を除いたものだ。中間期の持分法による投資損益は366億9500万円の利益で、前年同期の273億3900万円の損失から大きく改善した。

同社は同じ日、持分法適用会社のラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル(ペトロ・ラービグ)の業績改善などにより、7〜9月期だけで持分法による投資利益244億7900万円を計上したと発表した。決算短信は、ペトロ・ラービグの業績改善を「中東情勢の影響を受け」たものと説明している。

前提となる市況も前年と大きく違った。中間期の平均為替レートは1ドル=159円49銭で、前年同期の146円02銭から円安が進んだ。石油化学製品の原料となるナフサの国内価格は1キロリットル当たり10万7500円で、前年同期の6万4800円を大きく上回った。売上収益のうち海外の比率は68.2%で、前年同期の70.0%から下がった。

1株当たり中間利益は50円08銭で、前年同期の24円26銭から増えた。中間期の親会社所有者帰属持分利益率(ROE)は7.6%で、前年同期の4.3%から上がった。

部門別の明暗

部門別の中間期の実績は次のとおり。

部門 売上収益 前年同期 コア営業利益 前年同期
アグロ&ライフソリューション 2265億円 2130億円 208億円 112億円
ICT&モビリティソリューション 3119億円 2835億円 319億円 331億円
アドバンストメディカルソリューション 215億円 211億円 37億円の損失 14億円の損失
エッセンシャル&グリーンマテリアルズ 3209億円 3291億円 621億円 186億円の損失
住友ファーマ 2655億円 2261億円 436億円 973億円
住友化学の部門別の中間期実績(2026年4〜9月期と前年同期)

出典: 住友化学「2027年3月期 第2四半期(中間期)連結決算概要」

石油化学のエッセンシャル&グリーンマテリアルズ部門は、売上収益が83億円減った。販売価格は原料と製品の市況上昇で上がったものの、ペトロ・ラービグ製品の転売を終えて販売子会社の出荷が減った。一方、コア営業利益は807億円改善した。ペトロ・ラービグの業績改善に加え、合成樹脂などで市況が上がり、在庫の評価で差益が出た。

半導体材料や表示材料のICT&モビリティソリューション部門は増収減益だった。高純度ケミカルやフォトレジストなど半導体プロセス材料の需要が伸びた一方、前の期に大型液晶ディスプレイ用偏光フィルム事業で抜本的な構造改革を実施し、その際の譲渡益がなくなった。

農薬と飼料添加物のアグロ&ライフソリューション部門は、国内の農薬販売が堅調だった。海外の農薬は事業環境の回復が遅れたが、飼料添加物のメチオニンは中東情勢による一時的な供給懸念で交易条件が改善した。

住友ファーマは増収でも利益半減

連結子会社の住友ファーマの部門は、売上収益が394億円増えた。米国で進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」と過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の販売が伸び、前の期にアジア事業の一部持分を譲渡した分の減収を上回った。

ただ、コア営業利益は538億円減って436億円となった。前の期に計上したアジア事業の持分譲渡益がなくなったうえ、米国での販売促進費、がん領域の臨床試験の加速、精神神経領域の推進などで販売費や研究開発費が増えた。

住友ファーマは4〜6月期に公募増資を実施した。これにより住友化学の連結の非支配持分と資本剰余金が増え、9月末の資本合計は3月末より2460億円多い1兆4826億円となった。親会社所有者帰属持分比率は3月末の29.6%から32.1%に上がった。有利子負債は641億円減って1兆874億円となり、D/Eレシオは0.93倍から0.73倍に下がった。

中間期の営業キャッシュ・フローは666億円の収入だった。投資キャッシュ・フローは849億円の支出で、前年同期の167億円から膨らんだ。差し引きのフリー・キャッシュ・フローは183億円の支出となった。

通期予想を引き上げ、純利益900億円に

同社は2027年3月期の通期予想を次のとおり修正した。売上収益は2兆3600億円から2兆4900億円に、コア営業利益は2150億円から2700億円に、営業利益は1770億円から2150億円に、親会社の所有者に帰属する当期利益は700億円から900億円に引き上げた。前期の実績は売上収益2兆3285億円、コア営業利益2083億円、当期利益609億円で、修正後の予想は当期利益で47.7%の増加となる。

修正の理由として同社は3点を挙げた。半導体プロセス材料の出荷が増える見込みであること、エッセンシャル&グリーンマテリアルズ部門は5月の予想で不透明な事業環境を考えてリスクを織り込んでいたが事業が順調に進んでいること、住友ファーマの米国の売上が「ジェムテサ」を中心に好調なことだ。

部門別では、エッセンシャル&グリーンマテリアルズのコア営業利益予想を200億円から750億円に、住友ファーマを940億円から1080億円に、ICT&モビリティソリューションを550億円から600億円に引き上げた。アグロ&ライフソリューションの650億円は据え置いた。全社費用等は220億円の費用から410億円の費用に見直した。

配当は、中間配当を予定どおり1株8円とし、12月2日に支払いを始める。期末配当の予想は8円から9円に引き上げ、年間配当予想は16円から17円になる。前期の年間配当は13円50銭だった。同社は配当予想の修正について、通期の業績予想を上方修正することに伴うものだと説明している。

下期は市況の落ち着きを前提に

修正後の通期予想から中間期の実績を差し引くと、下期(10月〜2027年3月)のコア営業利益は1255億円となり、上期の1445億円を下回る計算になる。部門別に見ると、エッセンシャル&グリーンマテリアルズは通期予想750億円に対し上期だけで621億円を稼いでおり、下期の分は129億円にとどまる。

下期の前提として、同社はナフサ価格を1キロリットル9万円、為替を1ドル=155円と置いている。上期の10万7500円、159円49銭からいずれも下がる想定だ。決算短信によると、上期の合成樹脂などの在庫の評価差益は市況の上昇に伴って生じた。同社はエッセンシャル&グリーンマテリアルズ部門の下期のコア営業利益を、上期の約5分の1の水準と見込んでいることになる。

一方、住友ファーマは通期予想1080億円に対し上期の実績が436億円で、下期に644億円を見込む。米国の新薬の販売がどこまで伸びるかが、通期の予想を達成できるかを左右する。半期報告書は11月10日に提出する予定。