住友商事は11月2日、2027年3月期(2026年4月〜2027年3月)の連結業績予想を修正し、親会社の所有者に帰属する当期利益(純利益)の予想を5月1日公表の6300億円から6.3%多い6700億円に引き上げた。同日発表した4〜9月期(中間期)の純利益は3479億円で前年同期比15.5%増え、期初の通期予想に対して高い進捗となった。下期も各事業が堅調に推移すると見込む。上方修正を受けて年間配当予想を1株40円から44円に増やし、中間配当は22円と決めた。
中間期の純利益は466億円増
決算短信(国際会計基準)によると、4〜9月期の収益は3兆9185億6100万円で前年同期比10.8%増えた。純利益は3478億6500万円で、前年同期の3012億円から466億円増えた。基本的1株当たり中間利益は73円35銭だった。
一方、税引前中間利益は3449億5900万円で7.4%減った。有価証券損益が前年同期の217億円の利益から93億円の損失に転じたためだ。マダガスカルのニッケル事業の売却で損失を計上した。ベルギーの洋上風力発電事業の売却益と、中間持株会社の再編に伴う為替の実現益はあったが、損失を埋めきれなかった。ただ、ニッケル事業の売却に伴う税効果で法人所得税は前年同期の411億円の負担から157億円の利益に変わり、純利益は増益となった。
同社は利益を、事業が毎期生み出す「基礎的収益」と、事業の売却などで一時的に生じる「資産入替関連及び特殊損益」に分けて示している。決算説明資料によると、中間期の基礎的収益は前年同期の2590億円から3340億円に増えた。資産入替関連及び特殊損益は430億円から130億円に減っている。基礎的収益のうち、資源ビジネスは440億円から700億円に、非資源ビジネスは2040億円から2470億円に増えた。
資源と航空機リースが伸び、自動車は減益
部門別の純利益では、資源が前年同期の316億円から544億円に増えた。銅事業で価格が上がり、アルミのマージンが広がった。コモディティ(商品)ビジネスでは貴金属の取引が好調だった。輸送機・建機は403億円から499億円に増えた。航空機リース会社のSumisho Air Leaseを買収し、その利益が加わり始めた。建設機械のレンタル事業も改善した。
デジタル・AIは151億円から236億円に増えた。SCSKへの持ち分比率が上がり、国内のIT投資の需要も堅調だった。同社は4月1日付で、全社組織にあった「DX・ITグループ」を営業部門に移し、「デジタル・AIグループ」に改めた。エネルギートランスフォーメーションは481億円から582億円に増えた。海外の発電事業で複数の資産を入れ替え、増益になった。
減ったのは自動車と都市総合開発だ。自動車は534億円から235億円に半減した。前年同期に米国のタイヤ販売会社の売却に関連する利益があった反動だ。都市総合開発は441億円から320億円に減った。前年同期に大口案件の引き渡しがあった。鉄鋼は341億円から389億円に増えたが、エネルギー鋼管では中東地域向けの出荷が減った。
| 部門 | 前年中間期 | 今中間期 | 通期見通し | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼 | 341 | 389 | 720 | 54% |
| 自動車 | 534 | 235 | 480 | 49% |
| 輸送機・建機 | 403 | 499 | 1,070 | 47% |
| 都市総合開発 | 441 | 320 | 950 | 34% |
| コミュニケーションサービス | 65 | 92 | 150 | 61% |
| デジタル・AI | 151 | 236 | 540 | 44% |
| ライフスタイル | 23 | 41 | 150 | 28% |
| 資源 | 316 | 544 | 1,080 | 50% |
| 化学品・エレクトロニクス・農業 | 148 | 214 | 370 | 58% |
| エネルギートランスフォーメーション | 481 | 582 | 1,330 | 44% |
出典: 住友商事「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」「2026年度第2四半期 決算説明会プレゼンテーション資料」
通期予想は6700億円、予備300億円は据え置き
通期予想の6700億円は、前期実績の6003億円を11.6%上回る。基本的1株当たり当期利益は141円44銭を見込む。内訳では、基礎的収益の見通しを6200億円から6700億円に500億円引き上げた。資産入替関連及び特殊損益は400億円から300億円に下げた。
住友商事は、事業の売却損益が見込みを下回る可能性や、事業環境の変化で期末に評価損が出る可能性に備え、マイナス300億円の「バッファー」を予想に織り込んでいる。今回も据え置いたため、バッファーを除いた見通しは7000億円になる。中間期の純利益3479億円は、6700億円に対して52%にあたる。
説明資料は上方修正の理由として、為替と資源価格、中東情勢による影響が期初の想定より改善したことに加え、基礎的収益が全体として力強く伸びたことを挙げた。自己資本利益率(ROE)は期初の13%程度から14%程度に上がる見通しだ。
部門別の通期見通しでは、自動車について、自動車の流通・販売事業で中東情勢の影響が本格化するとした。下期に収益が集中するのはライフスタイルと都市総合開発で、中間期の進捗はそれぞれ28%、34%にとどまる。
決算短信は世界経済の見通しで、ホルムズ海峡を巡る混乱が続く中、調達先や物流ルートの見直しなど、企業や各国によるサプライチェーンの調整が進んでいると記した。国際商品市場ではエネルギー価格が高止まりしているとした。今後の危険要因には、中東情勢とホルムズ海峡を巡る混乱の長期化や再激化、インフレの長期化、金利の上昇を挙げている。海峡の通航が難しくなった経緯と政府の対応はエネルギー白書2026を閣議決定 ホルムズ通航難を検証、備蓄は7月末に計206日分で伝えた。
年間配当は44円、分割前に直すと176円
住友商事は2026年7月1日付で、普通株式1株を4株に分割した。このため1株当たりの配当金は前期と並べると見かけ上小さくなる。前期の年間配当は分割前の1株150円(中間70円、期末80円)で、分割後の株数に直すと37円50銭になる。今期の年間配当予想44円を分割前の株数に直すと176円で、前期より26円多い。
中間配当は1株22円で、5月の予想から2円増やした。配当金の総額は1039億6200万円で、前期の中間配当の842億2600万円を上回る。12月1日に支払いを始める。年間44円との差である期末配当も22円となる。
同社は2024年度から始めた「中期経営計画2026」で、株主還元の方針を2つ掲げている。配当と自社株買いを合わせた還元額を純利益の40%以上にすること(総還元性向40%以上)と、1株当たりの年間配当を前期より減らさない「累進配当」だ。今回の増配は、利益予想の引き上げに合わせて配当を増やしたものだ。
5月1日に決めた800億円を上限とする自社株買いは、9月3日に買い付けを終えた。説明資料によると、800億円のうち700億円が今期分の還元にあたる。配当と合わせた今期の総還元性向の見通しは41.5%としている。
航空機リース買収で借り入れ増、資産入替を急ぐ
中間期末の資産合計は13兆3331億円で、3月末から3052億円減った。円高と営業資産の減少による。一方、借入金などから現預金を差し引いたネット有利子負債は3兆1472億円から3兆8556億円に7084億円増えた。Sumisho Air Leaseの買収とSCSK株式の追加取得が理由で、説明資料によるとSumisho Air Leaseの買収額は約3300億円だった。
ネット有利子負債を株主資本で割った比率(ネットDER)は0.68倍から0.81倍に上がった。営業活動によるキャッシュ・フローは1305億円の収入、投資活動は4491億円の支出で、両者を合わせたフリー・キャッシュ・フローは3186億円の支出超過だった。
同社は事業の売却で資金を回収する「資産入替」を進めている。説明資料によると、中間期までの累計は0.7兆円で、2026〜2028年度の合計で約1.2兆円の資金回収を見込む。マダガスカルのニッケル事業「アンバトビー」の譲渡のほか、ティーガイア、北米のメロン事業なども入れ替えの対象とした。航空機リースのような大型の投資と、既存事業の売却を並行して進める形になっている。
