環境省は10月22日、北海道石狩市の石狩湾新港で9月から確認が続いている要緊急対処特定外来生物のアカカミアリ(学名Solenopsis geminata)について、10月18日に実施した防除作業の最中に幼虫2個体が新たに見つかったと発表した。北海道、石狩市、石狩湾新港管理組合との同時発表。当初から確認されていたのは働きアリだけだった。

これまでの累計は働きアリ約1440個体と幼虫2個体。環境省は引き続き北海道や石狩市、石狩湾新港管理組合などと協力して発見場所の調査と防除を進め、定着を防ぐとしている。

9月9日に約700個体、その後の防除でも見つかり続ける

発表資料には、最初の確認から今回の幼虫の発見までが日付順に記されている。

最初の確認は9月9日だった。環境省が実施している全国港湾調査の石狩湾新港での調査中に、請負事業者がコンテナヤードで、アカカミアリと疑わしいアリ約700個体が舗装の継ぎ目から出入りしているのを見つけた。その場で周辺に殺虫餌(ベイト剤)を置き、回収したアリの同定を環境省が専門家に依頼した。環境省も現地を確認している。翌10日、専門家がアカカミアリと確認した。

その後は請負事業者が、ほぼ1週間おきに確認場所の周辺を調べ、防除を続けてきた。見つかった働きアリは、9月17日が約400個体、27日が約50個体、10月4日が約60個体、11日が約150個体、18日が約80個体だった。18日には、この働きアリに加えて幼虫2個体が見つかった。

石狩湾新港で確認されたアカカミアリの働きアリ(個体数)(個体)

02004006008007009/94009/17509/276010/415010/118010/18
9月9日の約700個体のあと、防除のたびに50〜400個体が見つかっている出典: 環境省「石狩湾新港におけるアカカミアリの確認について」(2026年10月22日)
数値で見る(単位: 個体)
項目個体
9/9700
9/17400
9/2750
10/460
10/11150
10/1880

個体数はいずれも「約」の概数で、6回を合わせると発表の累計約1440個体と一致する。2回目以降は1回あたり50〜150個体の範囲で推移しており、6週間の防除を経ても確認がゼロになった日はない。

働きアリだけの確認に幼虫が加わった

今回の発表の新しい点は、幼虫が見つかったことにある。発表は「当初確認されたのは働きアリのみでしたが」と前置きしたうえで、幼虫2個体の発見を知らせる形をとっている。発表資料には働きアリと幼虫の写真も載っている。

一方で、幼虫が見つかったことが現地での繁殖を意味するのかどうかについて、発表は評価を示していない。女王アリや羽アリの確認についての記載もない。

環境省がヒアリ類の対策の指針として公表している「ヒアリの防除に関する基本的考え方」は、「定着」を、総合的に見て同じ由来の集団の発達を抑えられなくなった状態と定義している。例として、発達した集団が確認され、さらに複数年にわたってそれに由来する次世代の集団が形成される場合などを挙げる。巣の有無そのものは定着の判断材料にしないとしている。今回の発表も「定着防止の取組を進めます」と書いており、定着したとは判断していない。

環境省が4月に公表した令和7年度の取りまとめも、見つかったヒアリ類はすべて速やかに調査と防除を行い、現時点で定着は確認されていないとしている。確認事例一覧を見ると、発見後の防除の途中で幼虫などが見つかった例はほかにもある。2025年度の大阪港では、9月10日に確認した地点の防除・調査中の9月25日に、働きアリのほか有翅女王1個体と幼虫・サナギ約30個体が確認された。同年度の名古屋港飛島ふ頭でも、9月28日に確認した地点で10月22日に有翅女王1個体が見つかっている。

北海道では苫小牧港に続く確認、全国の事例は前年度を上回る

北海道でアカカミアリが見つかったのは、今回が初めてではない。環境省が4月に公表した令和7年度(2025年度)の取りまとめは、苫小牧港と川崎港で同年度にアカカミアリが初めて確認されたと記している。環境省の確認事例一覧によると、苫小牧の事例は2025年6月26日、苫小牧国際コンテナターミナルのコンテナヤードの地面で約20個体が見つかったものだ。2017年以降の一覧で北海道の地名が出てくるのは、苫小牧とこの石狩湾新港の2件だけとなっている。

両港は調査の頻度も異なる。環境省の2025年度の港湾調査は、ヒアリが分布する国・地域と定期コンテナ航路を持つ全国65港湾を対象とし、そのうち侵入の可能性が特に高い15港湾では春から秋にかけて月1回程度調べた。苫小牧は15港湾に入っており、6月の調査で確認した後、7月以降はヒアリ類の確認なしだった。石狩湾新港は残り50港湾の側で、2025年度は7月8日と9月17日の2回調べ、いずれもヒアリ類は確認されていなかった。

全国で見ると、令和7年度のアカカミアリの確認は24事例だった。確認事例一覧では2026年度分の通し番号が193番から218番まで並び、10月9日の東京港大井ふ頭の事例までで26件と、すでに前年度の件数を上回っている。東京港や横浜港、名古屋港、神戸港など大きなコンテナ港での確認が多い。9月には神戸港で神戸港でコガネヒアリを国内初確認 働きアリ約2万個体、女王アリも約20個体 環境省が集中防除で定着阻止へが発表されている。

「要緊急対処」の指定で港の事業者にも義務、見つけたら密閉して連絡

アカカミアリは、ヒアリ(S. invicta)などとともに外来生物法の「ヒアリ類」(4種群23種とその種間交雑個体)に含まれる。ヒアリ類は2023年4月から要緊急対処特定外来生物に指定された。特定外来生物のうち、まん延すれば生態系などに著しく重大な被害が生じ、国民生活の安定に著しい支障を及ぼすおそれがあるため、見つけたときに検査や防除を緊急に行う必要があるものとして政令で定める区分だ。同年6月には、ヒアリ類が付着・混入するおそれのある物品を輸入、輸送、保管する事業者がとるべき措置を定めた対処指針が施行された。

この対処指針を踏まえ、環境省北海道環境局は今回、北海道、石狩市、石狩湾新港管理組合などの関係機関に対し、改めて4点を依頼した。発見場所とその周辺を適宜点検すること、ヒアリ類と疑わしいアリをコンテナや積荷で見つけたら密閉して逃げ出さないようにし、速やかに環境省へ連絡すること、ヒアリ類の疑いがあればコンテナや積荷に移動制限や移動禁止の命令が、同定後には消毒や廃棄の命令が出される場合があることに留意すること、環境省などの調査に協力すること、である。

環境省は事業者に対し、コンテナの開封時などにヒアリ類と疑わしいアリを見つけた場合、まず刺激を避けながら、どこにどの程度の生きたアリがいるかを確かめるよう求めている。少数で、密閉されたコンテナや積荷の中から逃げ出すおそれがなければ、市販のスプレー式殺虫剤などでその場で駆除したうえで、地方環境局などに連絡する。多数の集団がいる場合は扉を閉めて静置し、可能なら布ガムテープなどで目張りをしてから連絡する。コンテナの外で見つけた場合も同じように連絡する。

一般の人向けには「ヒアリ相談ダイヤル」(0570-046-110)を設けている。受付は12月29日から1月3日を除く毎日午前9時から午後5時で、疑わしいアリを見つけたときの連絡や、刺されたときなど健康被害の相談を受け付ける。チャットボットによる情報提供と相談の受け付けは24時間行っている。