日本銀行は10月22日、10月20日現在の営業毎旬報告を公表した。資産の合計は624兆9779億9381万5000円で、前年同期の695兆1942億470万5000円より70兆2162億1089万円、10.1%少ない。負債および純資産の合計も同額である。

資産で最も大きい国債は504兆37億3075万4000円だった。前年同期の556兆6927億3303万3000円より52兆6890億227万9000円、9.5%減っている。内訳はすべて長期国債で、国庫短期証券の残高はゼロだった。前年同期には国庫短期証券が1兆7033億2708万5000円あった。

営業毎旬報告とは何か

営業毎旬報告は、日銀が自らの貸借対照表を10日ごとに公表する資料である。毎月10日、20日、月末の現在高を、おおむね2営業日後に出す。10月20日現在の分は10月22日の公表だった。資産側には金地金・現金・国債・社債・金銭の信託・貸付金・外国為替などが並び、負債および純資産の側には発行銀行券・当座預金・政府預金・売現先勘定・引当金勘定・資本金・準備金が並ぶ。

毎月の統計として知られるマネタリーベースとは、見ている範囲が違う。マネタリーベースは日銀が供給する通貨、すなわち現金と日銀当座預金の合計で、月中の平均残高が主に使われる。これに対し営業毎旬報告は、特定の日の日銀のバランスシートそのものを資産側と負債側の両方から示す。マネタリーベース、9月は532兆8464億円で前年同月より15.2%減 2024年4月のピークから157兆円縮み2020年5月以来の低い水準 国債の買い入れは10〜12月に月2兆3000億円で伝えた月次の縮小は、営業毎旬報告では負債側の当座預金と発行銀行券の動きとして表れる。

なお9月30日現在の報告の注記は、3月31日現在と9月30日現在の計数について「決算処理後に公表される財務諸表等の計数とは一部相違する」と記している。半期末の数値は後から確定する点に注意が要る。

総資産は625兆円、1年で70兆円減った

10月20日現在の資産合計624兆9779億9381万5000円は、10月10日現在の624兆6327億719万円から3452億8662万5000円増えた。9月30日現在は625兆253億3175万円で、この3つの時点を並べると、総資産は625兆円前後でほぼ横ばいに動いている。1年単位で見ると70兆円の減少だが、10日単位ではほとんど変わらない。

半期末にあたる9月30日現在の報告には、日銀自身による前年比の解説が付いている。そこでは「本年9月末の総資産残高は、625.0兆円と昨年9月末(695.2兆円)に比べて70.2兆円減少した(前年比-10.1%)」とし、主要項目の内訳として、資産側は国債が52.7兆円(9.5%)減、貸付金が15.4兆円(18.4%)減、負債側は当座預金が85.5兆円(17.0%)減、売現先勘定が16.8兆円(154.9%)増と示している。

減少の理由についても日銀は明記している。国債は「長期国債の買入減額により、前年比減少」、貸付金は「『貸出支援基金』による貸付けの減少等により、前年比減少」、当座預金は「長期国債の買入減額や『貸出支援基金』による貸付けの減少等により、前年比減少」と説明している。売現先勘定の増加は「政府に対する国債売現先残高の増加により、前年比増加」とした。

国債504兆円、国庫短期証券はゼロに

国債の残高は、9月30日現在が504兆79億8921万2000円、10月10日現在が503兆6349億9886万2000円、10月20日現在が504兆37億3075万4000円である。9月末から10月20日までの変化は42億5845万8000円の減少にとどまり、10月10日からは3687億3189万2000円増えた。買い入れた額と満期を迎えて返ってきた額がどちらも月内に偏って立つため、旬ごとの残高は増減を繰り返す。減額が進んだかどうかは10日単位では見えにくく、年単位で初めて52兆円規模の差になる。

内訳が長期国債だけになったのも、1年を通した変化である。前年同期には国庫短期証券が1兆7033億2708万5000円計上されていたが、10月20日現在はゼロで、9月30日現在と10月10日現在もゼロだった。

国債以外の資産も縮んでいる。社債は9980億8685万7000円で、前年同期の3兆4621億144万1000円から2兆4640億1458万4000円、71.2%減った。前年同期の報告にあったコマーシャル・ペーパー等は、10月20日現在の報告では項目そのものが載っていない。前年同期の残高は3825億2117万1000円だった。指数連動型上場投資信託(ETF)を信託財産とする金銭の信託は36兆9421億3850万5000円で、前年同期より2440億3977万1000円少ない。不動産投資信託(J-REIT)を信託財産とする分は6503億1930万9000円である。

貸付金は68兆4168億円で、前年同期の83兆8095億円から15兆3927億円、18.4%減った。このうち貸出支援基金は35兆6645億円で、前年同期の59兆4520億2604万円から23兆7875億2604万円減っている。前年同期は貸出支援基金の内訳に「成長基盤強化を支援するための資金供給」が1兆8745億2604万円あったが、10月20日現在は「貸出増加を支援するための資金供給」だけになった。共通担保資金供給オペレーションなどによる貸付金は32兆7522億円だった。

残高の持ち手がどう入れ替わったかは、日銀の国債保有割合、41.16%に低下 2023年12月末の47.90%から 買い入れ減額の受け皿は銀行と家計で示したとおりである。日銀の保有が減るぶんは、銀行や家計が引き受ける形になっている。

買入減額の計画、2027年4月以降は月2兆円

国債残高が減り続けている直接の原因は、日銀が決めた買い入れ計画である。日銀は2026年6月16日の金融政策決定会合で「長期国債の買入れ計画について」を決定した。月間の買入予定額を2027年1〜3月までは原則として毎四半期2000億円程度ずつ減額し、2027年4月以降は月間2兆円程度の買い入れを行う内容で、賛成7、反対1で決まった。植田総裁は欠席し、田村委員が反対した。田村委員は長期金利の形成を市場に委ねるべきだとして、2028年1〜3月まで毎四半期2000億円程度ずつ減額を続ける議案を提出したが、反対多数で否決された。

同日の別紙によると、月間の買入予定額は2026年4〜6月が2兆7000億円程度、7〜9月が2兆5000億円程度、10〜12月が2兆3000億円程度、2027年1〜3月が2兆1000億円程度で、2027年4月以降が2兆円程度である。決定文は、長期金利が急激に上昇する場合には「毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する」とした。計画の中間評価は今後実施しないが、「国債買入れの基本的な考え方や国債市場の動向等を踏まえ、必要な場合には、金融政策決定会合において、買入れのペースを見直すこともありうる」としている。

決定文の参考資料には、月2兆円程度の買い入れを維持した場合の保有残高の試算が載っている。

時点 国債保有残高 2024年6月末比
2027年3月末 480兆円程度 17%程度減
2028年3月末 430〜440兆円程度 24〜25%程度減
2029年3月末 390〜400兆円程度 31〜32%程度減
2030年3月末 350〜370兆円程度 36〜39%程度減
日銀が示した国債保有残高の試算(月2兆円程度の買い入れを維持した場合)出典: 日本銀行「長期国債の買入れ計画について」(2026年6月16日)

この試算は額面ベースの数値で、残存期間別の買い入れ額の構成比率が現状と概ね同程度になると仮定したものである。営業毎旬報告の「国債」は帳簿上の価額であるため、504兆円という足元の残高と480兆円程度という試算値を単純に引き算して残りの減少幅を出すことはできない。方向と規模の目安として読む数値にあたる。

当座預金は78兆円減、売現先勘定は88%増

負債側の最大項目である当座預金は418兆3483億5026万円だった。前年同期の496兆5692億3255万1000円より78兆2208億8229万1000円、15.8%少ない。金融機関が日銀に置いている資金が、1年で78兆2208億円減ったことになる。国債を買えば代金が当座預金に入り、買う量を減らして償還が上回れば当座預金から資金が抜ける。当座預金の減少は、国債買い入れの減額が負債側に現れた姿である。

ただし旬単位の動きは、政府の資金の出入りに左右される。10月10日現在の当座預金は408兆1617億2122万7000円で、10月20日現在はそこから10兆1866億2903万3000円増えた。同じ10日間に政府預金は12兆7312億3068万8000円から4兆2569億5425万5000円へ8兆4742億7643万3000円減っている。政府が国庫から支払いを行えば、その資金は受け取った先の金融機関の当座預金に移る。

発行銀行券は113兆9329億443万5000円で、前年同期の116兆6397億5893万9000円より2兆7068億5450万4000円、2.3%少ない。売現先勘定は30兆8575億1031万2000円で、前年同期の16兆4059億4660万3000円から14兆4515億6370万9000円、88.1%増えた。日銀が保有する国債を政府に売り戻す取引の残高が増えたことによる。外国中央銀行等の預金である「その他預金」は41兆5175億2133万2000円だった。

日銀の主要項目残高(兆円)

26年10月20日25年10月20日

国債504.0556.7当座預金418.3496.6銀行券113.9116.6貸付金68.483.8売現先30.916.4
出典: 日本銀行「営業毎旬報告」(2026年10月20日現在・2025年10月20日現在)
数値で見る(単位: 兆円)
項目26年10月20日25年10月20日
国債504.0556.7
当座預金418.3496.6
銀行券113.9116.6
貸付金68.483.8
売現先30.916.4

純資産の側では、引当金勘定が10兆9566億3338万8000円、準備金が3兆8722億4331万円、資本金が1億円である。前年同期と比べると引当金勘定は3701億9054万5000円、準備金は963億1931万1000円増えている。

金利の側も同時に動いている。日銀は2026年9月18日の決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決めた。賛成7、反対2である。量を絞る局面と金利を上げる局面が重なっており、営業毎旬報告はそのうち量の側がどこまで進んだかを10日ごとに示す資料である。