総務省統計局は9月24日午前8時半、サービス産業動態統計調査の2026年(令和8年)7月分の速報を公表した。サービス産業の月間売上高は38兆3553億円で、前年同月比5.0%の増加となった。増加は57か月続いている。一方、サービス産業で働く人の数は3022万人で0.6%の増加にとどまり、業種によっては売上高が伸びながら人が減っている。
9産業すべてで売上高が増加 水運業は21.6%増
産業大分類でみると、9産業すべてで売上高が前年同月を上回った。金額が最も大きいのは運輸業・郵便業の6兆6121億円で、8.3%の増加。この産業の増加は64か月続いている。次が情報通信業の6兆5282億円で6.4%増(52か月連続の増加)、医療・福祉が5兆9414億円で5.2%増(23か月連続の増加)だった。伸びが最も小さかったのは学術研究・専門技術サービス業の3兆822億円で、0.6%の増加。
産業をさらに細かく分けた中分類では、水運業が7023億円で21.6%の増加と最も伸びた。バス・タクシーなどの道路旅客運送業が3009億円で10.9%増、インターネット附随サービス業が9523億円で10.5%増、情報サービス業が2兆9452億円で8.2%増と続く。反対に、映像・音声・文字情報制作業は5073億円で2.9%の減少、技術サービス業は1兆2086億円で1.7%の減少だった。
サービス産業計の前年同月比は、6月の4.5%から7月は5.0%に上がった。ただしこの調査が集めているのは「事業所・企業等の月間売上(収入)金額」で、物価の変動を除いた実質の数字ではない。同じ7月の全国の消費者物価指数(総合)は前年同月比1.9%の上昇で、売上高の5.0%増をすべて値上げで説明できる水準ではない。
売上は伸びても人が増えない業種
働く人の数(事業従事者数)は伸びが鈍い。増えたのは7産業で、情報通信業が224万人(3.0%増)、不動産業・物品賃貸業が174万人(1.9%増)と多い。減ったのは2産業で、宿泊業・飲食サービス業が483万人(0.8%減)、生活関連サービス業・娯楽業が212万人(0.4%減)だった。
中分類でみると、売上高が増えているのに人は減っている業種が並ぶ。飲食店は売上高1兆7392億円(5.9%増)に対し、従事者数は361万6千人で0.9%の減少。持ち帰り・配達飲食サービス業は売上高2.5%増に対し従事者数1.9%減、娯楽業は売上高3.7%増に対し従事者数1.5%減だった。運輸業でも、道路貨物運送業が売上高2兆4806億円(6.7%増)に対して従事者数184万3千人で1.6%の減少、倉庫業が売上高4.7%増に対して従事者数0.6%減となっている。
少ない人数で売上を伸ばしている状態は、ほかの政府統計にも表れている。観光庁が令和8年7月に公表した令和8年版観光白書の概要版では、調査に答えた宿泊施設522件のうち72.2%が「人手不足の状況にある」と回答した。厚生労働省の令和7年版労働経済の分析によると、医療・運輸・接客などを含む「社会インフラ関連職」の欠員率はおおむね5%前後で高止まりしており、それ以外の職種が2024年に1.7%まで改善したのと対照的だ。欠員率は、働く人に対して埋まっていない求人がどれだけあるかを示す割合である。財務省と内閣府の法人企業景気予測調査(令和8年7〜9月期)では、人手不足が経営に与える影響として大企業の62.8%が「業務負担・勤務時間の増加」を挙げ、全産業で最も多い回答になっている。
GDP速報の精度を上げるための基幹統計
この調査は2025年1月に始まった比較的新しい統計だ。それまで別に実施されていた一般統計調査のサービス産業動向調査と、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査を統合し、国の重要な統計である基幹統計調査として創設された。目的は、サービス産業の事業活動の動きを把握し、GDP(国内総生産)の四半期別速報(QE)をはじめとする各種経済指標の精度を上げることにある。製造業と比べて動きをつかみにくいサービス産業の月次データを整えることで、四半期ごとの景気判断の土台を固める狙いだ。
調査の対象は、2021年の経済センサス‐活動調査の時点で存在した事業所・企業等の中から統計的な手法で選んだ約3万8000(事業所約2万5000、企業等約1万3000)。固定電気通信業、移動電気通信業、公共放送業、鉄道業、航空運輸業、郵便業を主な事業とする企業等と、資本金などが1億円以上の会社企業は毎月すべて調査する。ほかは抽出した標本を調べ、抽出率の逆数を掛けて全体を推計するため、結果には標本誤差が含まれる。速報は調査月の翌々月下旬まで、確報は5か月後の下旬までに公表する決まりで、統計局は同じ24日に2026年4月分の確報も公表した。
統計局は、2025年1月に母集団の情報の変更と標本事業所の入れ替えを行っているため、時系列の比較には注意が必要だと付記している。8月分の速報は10月23日午前8時半に公表される予定だ。
