立憲民主党の水岡俊一代表は10月19日、国会内で定例の記者会見を開き、政府が経済対策を裏付ける補正予算を編成する場合について「編成自体を頭から否定するものではない」と述べた。物価高対策としては速やかな給付の必要性を訴え、熊本地震や豪雨災害からの復旧・復興、ガソリン補助金などの歳出は補正予算を組んで国会で議論することが望ましいと強調した。会見では参議院予算委員会の質疑、辞任した簗和生前農林水産相の説明責任、ロシアによる日本人記者の拘束など7項目に言及した。本記事の発言内容は、党が公表した会見記事に基づく。

災害復旧やガソリン補助金「補正を組んで国会で議論を」

水岡氏は補正予算の編成について、高市早苗首相が補正予算依存からの脱却を掲げてきた経緯に触れたうえで、仮に経済対策を含む補正予算を編成するのであれば、編成自体を頭から否定するものではないと理解を示した。高市首相は10月5日の第222回国会の所信表明演説で「補正予算依存から脱却し、恒常的な施策は当初予算に計上します」と表明していた。政府はこれまでの物価高対策として、ガソリン・軽油の暫定税率廃止、中東情勢を受けた燃料油補助や電気・ガス料金支援を挙げており、今年の年末調整では所得税の負担軽減を行うとしている。

そのうえで水岡氏は、立憲民主党として物価高対策には速やかな給付が必要だと訴えた。具体的には、令和8年(2026年)熊本地震や豪雨災害からの復旧・復興、ガソリン補助金などの歳出を挙げ、これらは補正予算を組んで国会で議論することが望ましいと強調した。

補正予算を巡っては、与野党の立場表明が続いている。政府側の発言は片山財務相、バンコクのG20に「ほぼ全員が本人出席、意味あった」 第2次補正は「予断持てず」で伝えている。

参院予算委の政府答弁「白紙委任を求めるようなもの」

水岡氏は参議院予算委員会の審議について、消費税減税や支援金法案に関して政府から明確な答弁がなかったと批判した。給付の具体像が明らかにされていない現状を挙げ、「誰にどの程度の給付を行うのかを明らかにしないまま法案を通そうとすることは、国民に白紙委任を求めるようなものだ。あまりにも傲慢ではないか」と述べた。

「消費税・支援金法案」は、高市首相が所信表明演説で準備を表明した物価高対策の法案で、首相は「暮らしに最も近い飲食料品の税負担を軽くし、あわせて、所得に応じた支援金を措置し、家計に少しでも『ゆとり』を生み出したい。そのための法案です」と説明していた。財源については「特例公債に頼らずに確保することとしており、御心配には及びません」と述べるにとどめており、支援金を誰にどの程度配るのかの具体像は、演説では示されていない。水岡氏の批判はこの点に向けられた形だ。

参院予算委では10月16日に高市首相と全閣僚が出席する基本的質疑が開かれ、立憲民主党からは5人が質問に立った。質疑の内容は参院予算委で基本的質疑 立憲・辻元氏、陸自情報隊の個人情報収集やG7欠席ただすで詳しく伝えている。

簗前農水相「辞任で説明責任を免れない」 参考人招致を要望

辞任した簗前農林水産相の問題を巡っては、公職選挙法違反の疑いもあるとして、辞任によって説明責任を免れるものではないと指摘した。政治の信頼確保の観点から、与党においても参考人招致を前向きに検討してもらいたいと述べた。

簗氏は在任29日で農林水産相を辞任し、後任には武部新氏が就いた。経緯は農水相の後任は武部新氏 簗和生氏が在任29日で辞任、首相「任命責任を重く受け止める」で伝えている。

邦人記者の拘束に「極めて遺憾」 即時解放を要求

ロシア連邦保安庁(FSB)が北海道新聞の記者である日本人男性をスパイ容疑で拘束したと発表した問題では、拘束の理由について明確な説明がないまま、領事条約に基づく領事面会ができなかったことを「極めて遺憾である」と述べた。ロシア側への強い抗議と即時解放を求めるとともに、政府に対しては「記者解放に最優先で取り組みつつ、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、粘り強く交渉に当たってもらいたい」と注文を付けた。

また、高市政権の発足から1年を迎えるにあたり、首相の情報発信の姿勢にも言及した。「SNS等での発信が多いということを耳にするが、国会の場で国民にしっかりと直接説明をすることが大事ではないか。総理としての責任ではないか」と述べ、「ご心配には及びません」といった首相の答弁姿勢についても「しっかりと議論をしていただきたい」と求めた。この表現は、所信表明演説でも法案の財源確保を巡って「御心配には及びません」という形で使われていた。

女性質疑者の登用を強調、野党結集は「仲間の声を聞きながら」

16日の参院予算委員会で同党の多くの女性議員が質疑に立ったことについては、「私たちの党は参院においてジェンダーの観点で約5対5の状況(38名中17名が女性)。政党として胸を張れるところではないか」と強調した。「苦しんでおられる方々にどういう手を差し伸べるかということを申し上げる、そういった予算委員会が注目されている。女性の視点で予算委員会に臨む姿勢を前に出していきたい」とも述べた。

野党結集に向けた動きでは、体制刷新を進める公明党について「しっかりと立って前に進もうとなさっていることに、私たちも学ぶところは学んでいくべきだ」と言及した。立憲民主党の組織再編は「国会内での会派の動き、とりわけ衆院において状況が動いていくかということも念頭に置きながら、党として考えていきたい」と述べた。民主改革の会との合流時期については「一つの大きな山は春の統一地方選が終わった後、来年の夏までの間にしっかりと方向を定めたいということは申し上げてきた。しかしながらいろいろと国会政治情勢は動いているので、情報を入れながら、あるいは仲間の声を聞きながら進めていきたい」と語った。

定例会見は党代表が記者の質問に答える場で、党の国会対応や政策の優先順位がまとまって示される。臨時国会では参院予算委員会の質疑が続いており、補正予算の扱いと物価高対策の給付設計が引き続き与野党の論点になる。