日本が国連総会第一委員会に提出した核兵器廃絶決議案「核兵器のない世界に向けた共通の取組」が、米ニューヨークで10月27日(日本時間28日)、賛成150か国、反対7か国、棄権25か国で採択された。茂木敏充外相が28日に談話を出して明らかにした。賛成は2023年から3年続いた145か国を5か国上回った。決議案は12月上旬の国連総会本会議で採決され、可決されれば正式な国連総会決議となる。

賛成150、反対7、棄権25

外務省の談話によると、決議案は核兵器国と非核兵器国の双方を含む国々から支持を得た。談話は、国際的な安全保障環境が厳しく複雑になり、核軍縮をめぐって国際社会の分断が深まるなかで幅広い支持を得たことに「極めて重要な意義がある」とし、「唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』の実現に向け、この決議案を含め国際社会における核軍縮の取組を粘り強く着実に進めてまいります」と結んだ。

談話には反対国の名前は載っていない。国連が公表した第一委員会の会合記録によると、反対したのはブルンジ、中国、北朝鮮、イラン、イスラエル、ロシア、南アフリカの7か国だった。核兵器不拡散条約(NPT)上の核兵器国のうち、中国とロシアが反対に回った。棄権25か国の内訳は、この記録には書かれていない。

会合記録によると、決議案は全体の採決の前に、個別の段落について15回の採決にかけられた。

題名を改め、再検討会議の不調を受けた内容に

決議案の英文の題名は「Common steps towards a world without nuclear weapons」。外務省の決議の一覧と過去の談話によると、2022年から2025年までは「核兵器のない世界に向けた共通のロードマップ構築のための取組」、2020年と2021年は「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」の題名で出していた。今回、「ロードマップ構築」の語を外した。決議案の最後の段落は、来年の第82回総会の議題にも「共通の取組」の題名で項目を設けるよう定めている。

決議案の前文は、2026年4月27日から5月22日まで開かれたNPT運用検討会議(再検討会議)が「実質的な最終文書について合意に至らなかった」と記した。そのうえで、会議で交わされた議論を土台に、2031年の次の再検討会議に向けて核軍縮・不拡散・原子力の平和利用を現実的に進める重要性を強調した。談話も、本年に運用検討会議が開かれたことを踏まえ、NPT体制の重要性を改めて確認するために提出したと説明している。前文は、広島・長崎への原爆投下から81年がたったことにも触れた。

決議案は10月9日付で国連文書(A/C.1/81/L.18)として配布され、26日に技術的な理由で再発行された。表紙には提出国として日本を含む18か国の名前が並ぶ。オーストラリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、スペイン、ポルトガル、トルコなどだ。

核兵器国に透明性と対話を求める

本文は16の段落からなる。第1段落で「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」ことを再確認し、第2段落で全ての国、とりわけ核兵器国に、核兵器が二度と使われないようあらゆる努力を尽くすよう促した。

第3段落は、一部の核兵器国による核戦力の「急速で不透明な量的拡大」と質的な改良に懸念を示し、核軍拡競争を避ける重要性を強調した。第4段落はNPT第6条が定める核軍縮の義務について、最近の進展が無いことを「深く遺憾に思う」とした。第5段落は核兵器国に、多国間の戦略的安定に関する対話を含む取り組みを呼びかけた。

核リスクの低減を扱う第6段落は、危機の予防と緊張緩和、軍同士の対話、新興技術の危険と利点の議論、弾道ミサイルと宇宙ロケット打ち上げの事前通報の仕組みなどを具体例に挙げた。第7段落は、核兵器国に、核戦力と能力の具体的な情報とデータを盛り込んだ共通様式で国別報告を出すよう求めた。

このほか、兵器用の核分裂性物質の生産停止(第8段落)、署名開放から30年となる包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効(第9段落)を求めた。第10段落は核兵器国に、非核兵器国へ核兵器を使わないとする既存の約束を守るよう求め、その例としてウクライナのNPT加盟に伴う1994年の安全保障に関する覚書を挙げた。第14段落は北朝鮮について、国連安全保障理事会の決議にあるとおり核兵器国とは認められないと確認した。第15段落は、被爆者との交流や指導者・若者の被爆地訪問を通じて、核兵器使用の実相への理解を広げるよう各国に求めた。

前文は核兵器禁止条約(TPNW)について、2017年7月7日に採択され、2021年1月22日に発効したことに触れている。条約をめぐる国内の動きは「公明・谷合氏「核禁条約、世界が批准を」 被団協の署名提出に合わせた集会で 11月の再検討会議に議員派遣へ」で伝えた。

賛成国数の推移

外務省が公表してきた談話で、第一委員会での採決結果を年ごとにみると次のとおりとなる。

年 賛成 反対 棄権
2020年 139 5 33
2021年 152 4 30
2022年 139 6 31
2023年 145 7 29
2024年 145 6 29
2025年 145 5 28
2026年 150 7 25
日本の核兵器廃絶決議案に対する国連総会第一委員会の採決結果(か国)

出典: 外務省「日本の核兵器廃絶決議案の国連総会第一委員会における採択について(外務大臣談話)」各年版

賛成の150か国は、2021年の152か国に次ぐ水準で、棄権の25か国は2020年以降で最も少ない。2021年と2020年の談話は反対国の名前を記しており、2021年は中国、北朝鮮、ロシア、シリアの4か国、2020年はこれにジンバブエを加えた5か国だった。

第一委員会で採択された決議案は、例年12月上旬の本会議でも採決される。2025年は本会議で賛成147、反対5、棄権26、2024年は賛成152、反対6、棄権28で採択された。

同じ日に採決された他の核関連決議

国連の会合記録によると、第一委員会は同じ会合で核軍縮に関する決議案をまとめて採決した。核兵器禁止条約に関する決議案は賛成123、反対46、棄権13で採択された。CTBTに関する決議案は賛成177、反対1、棄権4で、反対は米国だった。第12回NPT再検討会議とその準備委員会に関する決議案は賛成178、反対0、棄権4で採択された。

「核兵器使用禁止条約」と題する決議案(賛成122、反対51、棄権10)では、日本は棄権した国の一つとして記録されている。

日本の決議案は、12月上旬の本会議で改めて採決にかけられる。