公明党核廃絶推進委員会の谷合正明委員長(参院会長代行)は10月8日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)などが核兵器禁止条約への日本の参加を求める署名を政府に提出したのに合わせ、東京・永田町の衆院第2議員会館前で開かれた集会に参加した。谷合氏は同条約について「初めて国際的に『核兵器は違法である』ということを規範として定めた条約だ。わが国のみならず、世界が条約を批准していくことが重要だ」と述べた。公明党が10月9日に公式サイトで公表した。

谷合氏は、党としてこれまで同条約の締約国会議に国会議員を派遣してきたことに触れ、11月に米ニューヨークで開かれる第1回再検討会議にも議員を派遣する考えを報告した。「皆さまと連帯して『核兵器のない世界』を築いていきたい」とも訴えた。

署名は首相あて 平木氏「非核三原則を変えていいはずがない」

署名の提出は、被団協の呼びかけで行われた「署名共同提出のつどい」の第3次にあたる。呼びかけ団体の一つ、日本原水協(原水爆禁止日本協議会)が公式サイトに載せた告知によると、つどいは8日午後3時半から東京都千代田区永田町の星陵会館ホールで、議員会館前集会は同日午後6時から開かれた。署名の提出先は日本政府(内閣総理大臣)で、原水協は事前の告知で累計署名数を「370万人分を超えました」としていた。

公明党の発表によると、この日に提出された署名は14万7463人分で、累計は382万715人分となった。なお、被団協自身による提出数の発表は確認できていない。

つどいには、同委員会の平木大作委員長代理(参院幹事長)が出席した。平木氏は核廃絶を巡る世界情勢について「核兵器がいつ使われてもおかしくない、歴史の岐路に立っている」との認識を示した。その上で、非核三原則の堅持を明言しない日本政府の姿勢を批判し、「この大事なタイミングで、非核三原則を変えていいはずがない」と述べた。「被爆の記憶の風化」や、核兵器を容認するような「諦めの心」といった流れにあらがって声を上げ続ける必要性も強調し、「(核禁条約に)日本が一日も早く署名・批准に至れるよう頑張っていく」と語った。

核兵器禁止条約とは 署名96か国、締約75か国

核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の開発、実験、生産、取得、保有、貯蔵、使用、使用の威嚇を禁じ、自国領域への配備も禁止する条約だ。核兵器の使用や実験の被害者への援助、汚染地域の環境回復も締約国に義務づけている。国連軍縮部によると、2017年7月7日に国連の会議で賛成122か国、反対1か国、棄権1か国で採択され、同年9月20日に署名が始まった。2020年10月24日に50か国目の批准書が寄託され、2021年1月22日に発効した。

国連条約集によると、署名国は96か国、締約国は75か国に上る。締約・署名国の一覧に、米国、ロシア、中国の名前はなく、日本も署名していない。

締約国会議は発効後の2022年6月にウィーンで初めて開かれ、2023年11〜12月と2025年3月にはニューヨークの国連本部で第2回、第3回が開かれた。第3回締約国会議では、2026年に開く第1回再検討会議の議長に南アフリカを選んだ。国連軍縮部によると、第1回再検討会議は2026年11月30日から12月4日まで、ニューヨークの国連本部で開かれる予定だ。発効後の条約の運用状況を締約国が点検する初めての場となる。

政府はオブザーバー参加も見送り 安保3文書の改定控え

日本政府は条約に加わっておらず、締約国会議へのオブザーバー参加も見送ってきた。第3回締約国会議を前にした2025年2月18日の記者会見で、岩屋毅外相(当時)は、オブザーバー参加の是非を検討した結果、「核兵器禁止条約の第3回締約国会合に、我が国がオブザーバー参加することは、適当とはいえないとの結論に至った」と表明した。

岩屋氏は理由として、オブザーバー参加した北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部が、締約国会議で核抑止への支持を強調し、条約は自国の安全保障政策と根本的に相いれないとの趣旨の発言をしていることを挙げた。さらに「核兵器を包括的に禁止する核兵器禁止条約は、この核抑止とは相容れず、現状におきましては、核兵器国がこれを締結する見込みはありません」と指摘。「核兵器国を交えずに、核軍縮を進めることは難しく」、核拡散防止条約(NPT)の下で進めることがより望ましいとし、日本がオブザーバー参加すれば、核兵器国と非核兵器国の双方の参加を得て進めてきたNPTでの取り組みに幅広い支持を得ることが困難になる恐れがあると説明した。

一方、公明党は、政府が年内に「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定する方針を示していることを受け、非核三原則の堅持を求めている。10月3日に開いた第18回全国大会で、公明党の新代表に選ばれた岡本三成氏はあいさつで、3文書の改定の中で非核三原則を見直すのではないかとの懸念が指摘されているとし、「見直しは核廃絶を訴えてきた戦後日本の歩みに反するものであり、看過できません」と述べた。今回の集会での平木氏の発言は、この党の立場を被爆者団体の前で改めて示したものとなる。

第1回再検討会議まで2か月を切る中、日本政府がオブザーバー参加を含めてどう対応するかが焦点となる。