米ソフトウエア大手のパランティア・テクノロジーズ(ナスダック上場、ティッカーPLTR)は11月2日(米国時間)、2026年7〜9月期決算を発表した。売上高は前年同期比96%増の23億1300万ドルで、四半期の売上高が20億ドルを超えたのは初めて。米国の民間企業向け(米国商業部門)の売上高は148%増の9億8400万ドルとなり、米政府向けの9億5300万ドルを同社の歴史で初めて上回った。12月までの通期の売上高見通しは、8月に示した81億5000万〜81億5800万ドルから85億3000万〜85億3400万ドルに引き上げた。
売上高は1年で2倍に、純利益は11億ドル
米証券取引委員会(SEC)に提出した決算発表によると、7〜9月期の売上高は23億1341万ドルで、前年同期の11億8109万ドルから約2倍になった。直前の4〜6月期(19億3500万ドル)と比べても20%増えた。
利益も大きく伸びた。米国会計基準(GAAP)の営業利益は10億8485万ドルで、前年同期の3億9326万ドルから約2.8倍。売上高に対する営業利益の比率は47%だった。株主に帰属する純利益は11億2801万ドルで、前年同期の4億7560万ドルから約2.4倍になった。希薄化後の1株当たり利益は0.44ドルで、前年同期の0.18ドルから増えた。
同社が重視する「調整後営業利益」は14億2684万ドルで、売上高に対する比率は62%。調整後営業利益は、従業員への株式報酬とそれに伴う雇用主負担の給与税を除いた利益で、同社は現金の支出を伴わない費用を除いた方が事業の実力を示せると説明している。
本業で稼いだ現金を示す営業キャッシュフローは12億457万ドル、調整後フリーキャッシュフローは12億1608万ドルだった。9月末時点の現金・現金同等物と米国債の合計は104億ドルある。
| 項目 | 2026年7〜9月期 | 2025年7〜9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億1341万ドル | 11億8109万ドル |
| 営業利益(GAAP) | 10億8485万ドル | 3億9326万ドル |
| 純利益(株主帰属) | 11億2801万ドル | 4億7560万ドル |
| 1株当たり利益(希薄化後) | 0.44ドル | 0.18ドル |
米国の企業向けが政府向けを初めて逆転
パランティアの米国での売上高は、4〜6月期までは政府向けが民間企業向けを上回っていた。今回の決算で、その順位が入れ替わった。
7〜9月期の米国での売上高は前年同期比119%増の19億3700万ドルで、全体の8割強を占めた。内訳は、民間企業向けが148%増の9億8400万ドル、政府向けが96%増の9億5300万ドル。民間企業向けは4〜6月期の7億6400万ドルから29%増え、政府向けの4〜6月期の8億900万ドルからの伸び(18%)を上回った。4〜6月期に政府向けが4500万ドル多かった差は、7〜9月期には民間企業向けが3100万ドル多い形に変わった。
パランティアの米国売上高(部門別)(百万ドル)
民間企業政府
数値で見る(単位: 百万ドル)
| 項目 | 民間企業 | 政府 |
|---|---|---|
| 4〜6月 | 764 | 809 |
| 7〜9月 | 984 | 953 |
アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は発表の中で「米国の商業部門の売上高が、当社の歴史で初めて米国の政府部門の売上高を上回った」と述べた。カープ氏は8月の決算発表で、顧客が自らの業務やデータ、意思決定の管理を手放さずにAIを使おうとする需要を「AIの主権(ソブリンAI)」と表現していた。今回は「ソブリンAIの局面は、パランティアのためにあつらえたものだ」と述べ、同社の「Foundry」や「AIP」などの製品が、顧客の業務と最適なAIモデルを結び付けると説明した。
大型契約は212件、受注残は前年の1.8倍
新規の契約も積み上がっている。7〜9月期に結んだ100万ドル以上の契約は212件で、このうち500万ドル以上が107件、1000万ドル以上が64件だった。
期中に結んだ契約の総額(TCV)は29億1800万ドルで前年同期比6%増。このうち米国の民間企業向けは14億6300万ドルで11%増だった。TCVは、契約の期間全体を通じて見込める金額の合計を指す。
米国の民間企業向けの契約のうち、まだ売上高として計上していない残り(RDV)は9月末で65億1700万ドルとなり、前年同期から79%増えた。ただ、同社は決算発表の中で、契約の多くは顧客の都合で解約できる条項を含み、オプションの行使も保証されないと注記している。RDVは、契約が解約されずにオプションもすべて行使されることを前提にした数字だ。
同社が成長性と収益性を合わせて示す「ルール・オブ・40」の値は158%だった。同社の定義では、売上高の前年同期比の伸び率(96%)と調整後営業利益率(62%)を足した値で、4〜6月期の155%から上がった。
通期見通しを8月に続き引き上げ
パランティアは、2026年12月期の通期見通しを引き上げた。8月3日の4〜6月期決算の時点に続く上方修正となる。
| 項目 | 8月時点の見通し | 今回の見通し |
|---|---|---|
| 売上高 | 81億5000万〜81億5800万ドル | 85億3000万〜85億3400万ドル |
| 米国の民間企業向け売上高 | 34億2400万ドル超(134%以上の増加) | 35億5900万ドル超(143%以上の増加) |
| 調整後営業利益 | 48億8900万〜48億9700万ドル | 52億4500万〜52億4900万ドル |
| 調整後フリーキャッシュフロー | 45億〜47億ドル | 48億〜50億ドル |
通期の売上高は前期比91%増を見込む。8月時点では82%増だった。10〜12月期の売上高は26億4900万〜26億5300万ドル、調整後営業利益は16億4000万〜16億4400万ドルを見込む。あわせて、今年はすべての四半期でGAAPの営業利益と純利益を確保する見通しも変えていない。
1〜9月の売上高は58億8146万ドルで、前年同期の30億6864万ドルの1.9倍。通期見通しの下限(85億3000万ドル)までの残りは約26億4900万ドルで、同社が示した10〜12月期の売上高見通しの下限とほぼ一致する。
伸びの中心が政府から民間へ
パランティアは決算発表と同じ11月2日の午後5時(米東部時間、日本時間3日午前7時)から、決算説明会をインターネットで中継した。カープ氏の株主向けの書簡も同社のサイトで公開している。
今回の数字で目を引くのは、売上高の伸びが続いたうえで、伸びの中心が政府から民間に移った点だ。米国の民間企業向けは前年同期比148%増で、4〜6月期の149%増とほぼ同じ高い伸びを保った。一方で、期中に結んだ契約総額(TCV)の伸びは6%増にとどまり、売上高の伸び(96%増)とは開きがある。売上高として計上される前の契約残高(RDV)が前年同期比79%増の水準にあることと合わせ、今後の売上高がどこまで続くかを測るには、新規契約の動きも見る必要がある。
国内の半導体関連企業の決算は「アドバンテスト、通期予想を再び上方修正 売上高1兆8630億円に 中間期は過去最高」で伝えた。パランティアの決算は、半導体のような「AIを動かす設備」ではなく、AIを業務に使うソフトウエアの側で売り上げがどこまで伸びるかを測る材料になる。次の10〜12月期決算では、通期見通しに届くかと、民間企業向けの伸びが続くかが焦点となる。
