情報処理推進機構(IPA)は10月8日、国家試験である情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験の令和8年度前期試験で、10月6日に始まった申込受付システムに障害が発生し、一部の受験申込みが正しく処理されていなかったと発表した。申込完了と画面に表示されたのに試験会場の座席が確保されていなかった人が約2300人、クレジットカード決済が重複した件数が約2600件にのぼる。IPAは「多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、深くお詫びいたします」としている。
障害は10月6日の10時から12時 3種類の不具合が出た
障害が起きたのは、申込受付の開始時刻である10月6日10時から12時までの2時間で、同日12時に復旧した。対象のシステムは、令和8年度の応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験の申込受付システムである。
IPAが挙げた事象は3つある。1つはクレジットカード決済の重複処理で約2600件。2つめはコンビニと銀行ATM(Pay-easy)での支払い手続きの不具合で約230件。支払画面に「この注文は既に取り消されています」と表示され、手続きが進まない状態だった。3つめが、申込完了と表示されたにもかかわらず試験会場の座席が確保されていなかった不具合で、約2300人が該当する。
原因については「アクセス集中によるシステム負荷の影響」と説明し、サイバー攻撃によるものではないと明記した。IPAは10月6日の時点でも新着情報として「お詫び」を出し、申込ページにつながりにくい状況が起きていることを認めていたが、この段階では混雑の告知にとどまっていた。申込みが正しく処理されていない事実が判明したため、2日後にプレス発表へ切り替えた形である。
重複決済は返金済み、支払期限は10月12日まで延長
対応状況もあわせて公表された。重複してクレジットカード決済がなされた人には取消(返金)処理を実施済みで、10月7日に通知メールを送った。コンビニ・銀行ATMでの支払いができなかった人には、受験者マイページから支払いができるよう復旧させた上で、支払期限を10月12日まで延長した。これも10月7日にメールで知らせている。
座席が確保されていなかった約2300人には、10月8日午前9時までに「令和8年度前期試験における試験日時等の調整について」という件名のメールを送付したという。IPAは「受験者の皆様に不利益が生じることのないよう、万全の対応を講じてまいります」とし、詳しい情報が判明次第、試験情報ページに掲載するとしている。
今年度からCBT方式へ 申込みと同時に会場と日時を予約する仕組みに変わった
今回の障害は、試験の実施方式が切り替わった年に起きた。応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験の10区分は、これまで春期(4月)と秋期(10月)の年2回、紙と鉛筆で解くペーパー方式で実施されてきた。IPAは受験者の負担軽減と利便性向上を理由にこれを見直し、令和8年度(2026年度)に実施する試験からCBT方式へ移した。CBT方式は試験会場のパソコンで問題を読み、キーボードとマウスで解答する試験のやり方である。
方式が変わったことで、試験が特定の1日に全国一斉ではなく、一定期間内の複数日に分散した。受験者は会場ごとに設定された予約枠から日時を自由に選べるようになったが、その裏返しとして、申込みの時点で科目A群と科目B群の予約を同時に取る必要がある。座席という有限の資源を申込みと同時に押さえる設計のため、受付開始の瞬間にアクセスが集中しやすい。申込みは1区分1回のみで複数回は認められておらず、受付開始直後に手続きを済ませたい動機も働く。なお、従来の「午前試験」は「科目A試験」、「午後試験」は「科目B試験」へと科目名も変わっており、問う知識・技能の範囲や出題形式、出題数、試験時間には変更がない。
この移行は試験制度そのものの見直しの入り口にあたる。情報処理技術者試験、2027年度春から新制度 知識の出題分類は23から30へ 基本情報と情報セキュリティマネジメントのシラバス案を公開 応用情報と高度8区分は3試験に再編のとおり、2027年度には試験区分の体系と出題範囲が大きく組み替わる予定で、現行制度は2026年度の実施をもって終わる。今回の前期試験は、新制度へ移る前の現行区分で受けられる機会としても注目されていた。
前期の申込みは11月7日まで 後期は2027年1月27日から
令和8年度前期試験の申込受付期間は、応用情報技術者試験が10月6日10時から11月7日17時まで。高度試験のうちITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、ネットワークスペシャリスト試験、ITサービスマネージャ試験の4区分と、情報処理安全確保支援士試験は10月24日17時までで、応用情報より2週間早く締め切られる。受験手数料は一律7500円(情報処理技術者試験は消費税込み、情報処理安全確保支援士試験は非課税)で、官報公示は令和8年6月12日付の第1725号。支払い方法はクレジットカード、コンビニ・銀行ATM(Pay-easy)、バウチャーチケットの3つから選ぶ。
試験の実施期間は、応用情報技術者試験が科目A試験が10月28日から11月10日まで、科目B試験が11月24日から12月6日まで。高度4区分と情報処理安全確保支援士試験は科目A-1・A-2試験が10月17日から10月27日まで、科目B(B-1・B-2)試験が11月11日から11月23日までとなる。前期試験の合格発表は2027年2月頃を予定している。
前期に実施されない残りの高度4区分、すなわちプロジェクトマネージャ試験、データベーススペシャリスト試験、エンベデッドシステムスペシャリスト試験、システム監査技術者試験は後期試験に回る。後期試験の申込受付は2027年1月27日からで、応用情報技術者試験が2月16日まで、高度4区分と情報処理安全確保支援士試験が2月27日まで。合格発表は2027年6月頃の予定である。後期も同じ仕組みで受付開始時にアクセスが集中しうるため、今回の障害を踏まえた負荷対策が問われることになる。
なお、申込受付に関する業務はシー・ビー・ティ・ソリューションズに委託されている。身体の不自由などでCBT方式で受験できない人には、ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験を含めてペーパー方式の特別措置試験が用意されており、こちらは申込受付ページが別になっている。
