ホテルや旅館、簡易宿所など旅館業法の許可を受けた施設は、2025年度末(2026年3月末)で10万4846施設となり、前年度末から6508施設(6.6%)増えた。厚生労働省が10月27日に公表した令和7年度衛生行政報告例で分かった。前年度末は9万8338施設で、1年で10万施設を上回った。一方、理容所は10万6083施設で前年度末から1912施設(1.8%)減り、入浴料金を都道府県が統制する一般公衆浴場は2614施設と116施設(4.2%)減った。宿泊施設が増える一方、理容所や一般公衆浴場、クリーニング業の施設は減少が続いている。

旅館業は1年で6508施設増える

旅館業法は「旅館業」を、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つと定める。営業するには都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)の許可が要る。

2025年度末の内訳は、旅館・ホテル営業が5万6773施設で前年度末から3827施設(7.2%)、簡易宿所営業が4万7603施設で2702施設(6.0%)それぞれ増えた。1か月以上を単位に泊める下宿営業は470施設で、21施設(4.3%)減った。

旅館業の施設は2020年度末に8万9159施設で、前年度末から176施設の増加にとどまった。その後の増加数は2021年度末556施設、2022年度末990施設、2023年度末2770施設、2024年度末4863施設(5.2%)、2025年度末6508施設(6.6%)と、5年続けて前年度を上回った。

衛生行政報告例は、衛生関係の法律の施行状況を把握し、衛生行政を運営する基礎資料を得ることを目的とした統計だ。都道府県、指定都市、中核市が厚労省に報告し、厚労省が集計する。生活衛生のほか、精神保健福祉、栄養、食品衛生、医療、薬事などを扱う。

同じ報告例では、精神障害者保健福祉手帳の所持者数も公表された(精神障害者保健福祉手帳の所持者164万人 2025年度末、4年で1.3倍 3級が最も伸びる)。

生活衛生関係の施設数は、都道府県別に加え、指定都市と中核市の別にも統計表で公表されている。住んでいる地域に旅館業や理容所、公衆浴場がいくつあるかは、この統計表で確かめられる。

この報告例は施設の数を数えた統計で、増えた理由や客室数、稼働の状況は示していない。

旅館業と理容所の施設数(各年度末)(施設)

旅館業理容所

80,00090,000100,000110,000120,000130,00085,617104,846119,053106,08320182020202220242025
出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」
数値で見る(単位: 施設)
項目旅館業理容所
201885,617119,053
201988,983117,266
202089,159115,456
202189,715114,403
202290,705112,468
202393,475110,297
202498,338107,995
2025104,846106,083

簡易宿所は9年で1.6倍 東京・沖縄・長野に多い

簡易宿所営業は、旅館業法で「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」で人を泊める営業とされる。厚労省の用語の定義は、山小屋、ユースホステル、カプセルホテルなどを例に挙げている。

簡易宿所は2016年度末に2万9559施設で、2025年度末の4万7603施設はその約1.6倍にあたる。旅館業全体に占める割合は45.4%になった。

都道府県別に旅館業の施設数をみると、東京都が9555施設で最も多く、沖縄県8089施設、長野県7228施設、北海道6348施設、京都府4910施設、静岡県4680施設と続いた。東京都は旅館・ホテル営業が8196施設を占める。簡易宿所に限ると長野県が4279施設で最も多く、京都府3890施設、沖縄県3777施設、北海道3360施設、山梨県2278施設の順だった。

なお、2018年6月15日施行の旅館業法改正で「ホテル営業」と「旅館営業」が「旅館・ホテル営業」に統合された。報告例は、それ以前の年度について両者を合計した数を示している。

理容所は減り、美容所は増える

理容所は2016年度末の12万2539施設から9年で1万6456施設(13.4%)減った。2025年度末の10万6083施設は、旅館業の10万4846施設との差が1237施設まで縮んだ。2016年度末には理容所が旅館業を4万2697施設上回っていた。

美容所は2025年度末に28万1687施設で、前年度末から3935施設(1.4%)増えた。2016年度末の24万3360施設からは3万8327施設(15.7%)増え、理容所の約2.66倍になった。2016年度末は約1.99倍だった。理容所と美容所を同じ場所で開く「重複開設」は420施設で、2020年度末の167施設から2.5倍になった。

従業する理容師は19万964人、美容師は59万6942人だった。1施設あたりにすると理容所は約1.8人、美容所は約2.1人になる。都道府県別では、理容所は東京都の7249施設、美容所も東京都の2万9410施設が最も多かった。

理容所を開くには、理容師法に基づき位置や構造設備、従業者の氏名などを事前に都道府県知事に届け出て、構造設備の検査を受ける必要がある。

一般公衆浴場とクリーニングは減少が続く

公衆浴場は2万3627施設で、前年度末から41施設(0.2%)減った。このうち一般公衆浴場は2614施設で、116施設(4.2%)減った。厚労省の定義では、一般公衆浴場は入浴料金が省令に基づく都道府県知事の統制を受け、配置が都道府県の条例で規制される浴場を指す。2016年度末の3900施設から9年で1286施設減り、約3分の2になった。料金の統制を受けない「その他」の公衆浴場は2万1013施設で、75施設(0.4%)増えた。

一般公衆浴場を都道府県別にみると、東京都が416施設、大阪府が335施設、青森県が255施設、鹿児島県が238施設、北海道が181施設だった。公衆浴場の経営には公衆浴場法に基づく都道府県知事の許可が要る。

クリーニング業は6万6688施設で、前年度末から2611施設(3.8%)減った。内訳は洗濯をするクリーニング所が1万8683施設、受け付けだけをする取次所が4万5622施設。2016年度末の9万9709施設から3万3021施設(33.1%)減った。クリーニング所を開くには、クリーニング業法に基づき都道府県知事への届け出が要る。店舗を持たない「無店舗取次店」の営業者は2383で、80増えた。

映画や演劇、スポーツなどを見せる常設の興行場は4820施設で、6施設減った。このうち映画館は1457施設だった。

種類 2016年度末 2025年度末 増減
旅館業 7万9842 10万4846 2万5004増
うち簡易宿所 2万9559 4万7603 1万8044増
理容所 12万2539 10万6083 1万6456減
美容所 24万3360 28万1687 3万8327増
一般公衆浴場 3900 2614 1286減
クリーニング業 9万9709 6万6688 3万3021減
生活衛生関係施設数の比較(単位:施設)出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」(令和2年度・令和7年度の結果の概要)