日本、コロンビア、南アフリカの3か国が国連総会第一委員会(軍縮・国際安全保障)に提出した「小型武器・軽兵器のあらゆる側面における非合法取引」決議案が10月29日(日本時間30日)、ニューヨークで採択された。国連の会合記録によると、採決は賛成178、反対1、棄権0で、反対したのは米国だけだった。外務省は30日、決議案が76か国の共同提案国を得て178か国の支持で採択されたと発表した。決議案は今後、国連総会本会議で採択に向けて審議される。

賛成178、反対は米国だけ

国連が公表した第一委員会の会合記録(GA/DIS/3781)によると、委員会はこの日の午後、宇宙と通常兵器の分野の決議案などをまとめて採決した。小型武器の決議案(文書番号A/C.1/81/L.47)は記録投票となり、賛成178、反対は米国の1か国で、棄権は無かった。

外務省の発表は、共同提案国が76か国、支持が178か国だったと記したが、反対票や米国には触れていない。国連の会合記録にも、米国が反対した理由は載っていない。米国の反対理由は、確認できていない。

決議案は、小型武器の非合法な取引を根絶するため、各国が「国連小型武器行動計画(PoA)」を履行することの重要性を強調し、効果的に履行するための取り組みを各国に求める内容だ。外務省によると、日本は2001年以来、コロンビア、南アフリカと協力して毎年この決議案を提出している。外務省は、日本が国際貢献の一環として、小型武器の非合法取引の撲滅を目指す国際的なルールづくりに積極的に関わってきたと説明している。

第一委員会はこの日、宇宙の分野で決議案3本と決定案1本、通常兵器の分野で決議案8本と決定案2本を承認し、総会に送った。ここで承認された決議案は、総会本会議で改めて採決される。

小型武器とは何か 日本が国連で提起

外務省の解説によると、1997年の国連小型武器政府専門家パネルの報告書は、小型武器を3種類に分けた。1人で持ち運んで使える「小型武器」、数人で運んで使う「軽兵器」、そして弾薬・爆発物だ。外務省は、小型武器が紛争を長引かせ激しくするだけでなく、紛争が終わった後も人道援助や復興を妨げ、紛争の再発を招く原因になっていると説明している。

日本は1995年6月、他国に先駆けてこの問題への取り組みを提唱した。同じ年、国連総会に政府専門家パネルの設置を求める決議案を提案し、以後ほぼ毎年、小型武器の決議案を出してきた。1997年の専門家パネルでは、堂之脇外務省参与が議長を務め、小型武器の定義や24の勧告を含む報告書をまとめた。

2001年7月の国連小型武器会議で採択されたのが、決議案の柱となる行動計画だ。政治文書で、①非合法取引を規制する法制度の整備②法執行機関などによる情報共有③武器の流出経路をたどる「トレーシング」のための措置④武器の回収・破壊を含む武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)⑤被害国の能力構築に向けた国際協力――などを並べている。2003年7月の第1回中間会合では、猪口邦子軍縮代表部大使(当時)が議長を務めた。2019年3月には、国連事務総長が立ち上げた小型武器対策の基金に、日本が2.2億円(200万ドル)を拠出した。

決議案の中身 3Dプリンター銃への対処も

国連の文書によると、決議案は前文と37項目の本文から成る。小型武器が無秩序に広がり、多くの地域で人道と社会経済に幅広い影響を及ぼし、平和や安定、持続可能な開発を脅かしていると指摘する。そのうえで、非合法な取引や、武装集団・テロリストなど許可のない受け手への横流しを防ぐため、国内の管理を保ち強めることが急務だとしている。

技術の変化への対処も盛り込んだ。2024年6月の行動計画第4回履行検討会議で設置が決まった「オープン・エンド技術専門家グループ」の初会合が、2026年6月の第9回隔年会合の週に開かれたことを歓迎した。議長にはシエラレオネのマイケル・イムラン・カヌ氏が選ばれた。このグループを2028年の第10回隔年会合の日程の中で2〜3日開き、樹脂製の銃や部品を組み替えられる銃、3Dプリンターで作る銃への対処について、合意による勧告をまとめるとしている。

日程も示した。2028年にニューヨークで1週間の隔年会合を開き、2030年には2週間の第5回履行検討会議を開く。検討会議の前には、2030年初めに5日以内の準備委員会を置く。

途上国の人材育成では、2022年の決議で設けたフェローシップ(研修)制度に触れた。4地域で各15人が参加する仕組みで、第1期を2025年に、第2期を2026年に対面研修の期間を3週間に縮めて実施したことを記した。国連事務総長には、第82回総会に実施状況を報告するよう求めている。

続いてきた無投票の採択

外務省の過去の発表によると、この決議案は2022年から2025年まで、毎年コンセンサス(投票なしの合意)で採択されてきた。2025年は12月1日(日本時間2日)に総会本会議で採択され、決議80/38となった。今回の決議案も前文で、この決議を引いている。

年 段階 採択の方法 共同提案国
2022年 総会本会議 コンセンサス 87か国
2023年 総会本会議 コンセンサス 86か国
2024年 第一委員会 コンセンサス 83か国
2024年 総会本会議 コンセンサス 83か国
2025年 総会本会議 コンセンサス 78か国
2026年 第一委員会 記録投票(賛成178、反対1) 76か国
小型武器非合法取引決議案の採択の方法と共同提案国の数出典: 外務省報道発表(2022〜2026年)、国連会合記録(GA/DIS/3781)

共同提案国は2022年の87か国から減り続け、今回は76か国だった。決議案の文書(10月13日付)には、提出時点で日本、コロンビア、南アフリカのほか、オーストラリア、英国、フランス、ドイツ、韓国など計52か国が名を連ねている。米国は入っていない。

同じ会合で米国は通常兵器の6本に反対

この日の会合で、米国は小型武器の決議案のほかにも、通常兵器の分野で反対票を投じた。国連の会合記録は、通常兵器に関する決議案のうち米国が6本に反対したと記している。

米国だけが反対したのは4本だった。小型武器のほか、即席爆発装置(IED)の脅威への対処(賛成176、反対1、棄権2)、クラスター弾に関する条約の履行(賛成138、反対1、棄権38)、武器貿易条約(賛成151、反対1、棄権25)だ。対人地雷禁止条約の履行に関する決議案(賛成158、棄権20)では、米国とロシアが反対した。自律型致死兵器システムに関する決議案は賛成163、反対5、棄権9で採択され、反対は米国、ロシア、北朝鮮、イスラエル、ベラルーシだった。

一方、小型武器の非合法な取引の抑制と回収で各国を支援する別の決議案(L.28)は、投票なしで採択された。弾薬を製造から廃棄まで管理する枠組みに関する決定案は、賛成175、反対0、棄権4だった。

日本が主導する決議では、核兵器廃絶決議案も同じ第一委員会で採決された(日本の核廃絶決議案、国連第一委で150か国の賛成で採択 中ロなど7か国が反対)。小型武器の決議案は、総会本会議でもう一度採決される。昨年まで投票なしで採択されてきた決議案に今年は反対票が出たため、本会議の採択がどの形になるかが次の焦点となる。