総務省消防庁は11月3日、同日付で発令された2026年秋の叙勲のうち、消防関係の受章者が624人になったと発表した。勲章別では瑞宝単光章が520人で最も多く、瑞宝双光章62人、瑞宝小綬章35人、旭日双光章6人、旭日単光章1人と続く。消防庁が公表した受章者名簿を集計すると、624人のうち572人が市町村の消防団で団長や分団長などを務めた人だった。伝達式は11月18日に東京都港区虎ノ門のニッショーホールで開かれる。

瑞宝単光章が520人、春より7人少ない

消防庁によると、受章者は「永年にわたり国民の生命、身体及び財産を火災等の災害から防御するとともに消防力の強化、充実に尽力され、消防の発展に貢献し、社会公共の福祉の増進に寄与された方々」だという。

勲章は大きく2系統に分かれる。総務省の受章者名簿の注記によると、旭日章は「功労の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者」に、瑞宝章は「公務等に長年にわたり従事し、成績を挙げた者」に授与される。今回の消防関係は624人のうち617人が瑞宝章で、長年の勤務や団活動が評価の中心になっている。

受章者の総数は、2026年春の叙勲(4月29日付)の631人から7人減り、2025年秋(11月3日付)の618人からは6人増えた。勲章別に見ると、瑞宝双光章は春の97人から62人に減り、瑞宝単光章は492人から520人に増えた。前の2回には瑞宝中綬章の受章者が1人ずついたが、今回はいない。一方、旭日単光章が1人加わった。

勲章 2025年秋 2026年春 2026年秋
瑞宝中綬章 1 1 0
瑞宝小綬章 33 35 35
旭日双光章 4 6 6
旭日単光章 0 0 1
瑞宝双光章 45 97 62
瑞宝単光章 535 492 520
計 618 631 624
春秋叙勲(消防関係)の勲章別受章者数(人)

出典: 総務省消防庁「令和8年秋の叙勲(消防関係)」「令和8年春の叙勲(消防関係)」「令和7年秋の叙勲(消防関係)」

572人が消防団、消防本部の元幹部は48人

受章者名簿の「主要経歴」欄を集計すると、受章者の顔ぶれは勲章によってはっきり分かれる。

最も多い瑞宝単光章の520人は、全員が消防団の元団長、副団長、分団長、副分団長などだった。瑞宝双光章の62人では48人が消防団の元団長らで、残る14人のうち13人は消防本部で消防正監や消防司監の階級にあった元幹部、1人は消防庁の元特殊災害室長だった。瑞宝小綬章の35人は全員が、市の消防局や広域の消防組合で消防正監・消防司監を務めた元幹部だった。

旭日双光章の6人の内訳は、茨城、長崎、熊本の各県の消防団の元団長・副団長が3人、徳島県と千葉県の消防設備協会の会長が2人、石川県女性防火クラブ連絡協議会の会長が1人だった。旭日単光章の1人は青森県おいらせ町の消防団の元分団長だった。

合わせると、消防団の出身者は624人中572人で、9割を超える。消防団員は、消防本部に勤める常勤の消防職員とは異なり、非常勤で活動する。消防庁の調査では、2026年4月1日時点の消防団員は71万8697人で、前年から1万3526人(1.8%)減った。1年間の入団者3万7496人に対し、退団者は5万1022人だった。30代以下の団員は31.9%にとどまる。調査結果の詳細は消防団員は71万8697人、1年で1万3526人減 女性・学生・機能別は増加 報酬が基準に届く市区町村は95.1%で伝えている。

受章者624人のうち女性は1人で、石川県女性防火クラブ連絡協議会の会長(79)が旭日双光章を受ける。同じ調査で女性の消防団員は3万379人いるが、今回の名簿で女性の消防団員の受章者はいなかった。

47都道府県から、北海道48人が最多 年齢は62〜87歳

受章者名簿は都道府県ごとに並んでおり、47都道府県のすべてから受章者が出た。最も多いのは北海道の48人で、東京都31人、宮城県28人、岩手県27人と続く。秋田県、福島県、広島県が各24人、福岡県が22人だった。

東北地方の各県が上位に並ぶ一方、福井県と沖縄県は各1人、鳥取県と徳島県は各2人だった。瑞宝小綬章の35人は、宮城県から大分県までの21都府県にまたがり、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府が各3人だった。

名簿に載る経歴には、北海道の「留萌消防組合小平消防団」や「釧路東部消防組合厚岸消防団」のように、複数の市町村でつくる消防組合の下に置かれた消防団の名前も多い。名古屋市の「高針消防団」や北九州市の「門司消防団」など、政令指定都市の地区ごとの団から選ばれた人もいる。

名簿に記された年齢は62歳から87歳までだった。最も多いのは70歳の109人で、71歳54人、72歳47人と続く。年代別では60代が166人、70代が424人、80代が34人だった。平均は約71.7歳になる。

最年少の62歳は、東京都府中市、長野県須坂市と木曽町、奈良県王寺町の消防団の元幹部4人で、いずれも瑞宝単光章を受ける。最高齢の87歳は、滋賀県長浜市、愛媛県新居浜市、鹿児島県いちき串木野市の消防団の元分団長3人だった。

勲章によって年齢の幅は異なる。瑞宝小綬章の35人は33人が70歳、2人が71歳で、ほぼそろっている。瑞宝単光章を受ける消防団の出身者には60代前半から80代後半までが含まれる。

名簿は10月23日の閣議で勲章の授与が決まった人を載せたもので、消防庁は「発令日までの間に、名簿の記載事項に異動が生じることもあります」と注記している。

春秋叙勲は年2回、危険業務従事者叙勲とは別枠

内閣府賞勲局によると、春秋叙勲は毎年2回、春は4月29日付、秋は11月3日付で授与される。候補者は「春秋叙勲候補者推薦要綱」に基づいて各省庁の長が推薦し、賞勲局の審査を経て閣議で決まる。中綬章以下の勲章は各府省の大臣らから伝達され、受章者は勲章を着けて配偶者とともに天皇陛下に拝謁する。消防関係の伝達式は11月18日午前10時から30分間の予定だ。

消防の分野では、春秋叙勲とは別に「危険業務従事者叙勲」がある。警察官や自衛官など危険性の高い業務に精励した人を対象に2003年11月に始まった制度で、同じく4月29日付と11月3日付で授与される。秋の第47回の消防関係については第47回危険業務従事者叙勲、消防関係は1人死亡で640人に 11月3日発令 東京60人が最多で伝えている。

同じ11月3日付では秋の褒章も発令された。消防関係の受章者は秋の褒章、消防関係は110人 人命救助の紅綬褒章に千葉の64歳女性 11月3日発令で伝えている。叙勲、危険業務従事者叙勲、褒章を合わせると、この秋に消防の分野で栄典を受ける人は1300人を超える。