総務省消防庁は8月31日、全国の市区町村を対象にした「消防団の組織概要等に関する調査(令和8年度)」の結果を公表した。2026年4月1日現在の消防団員は71万8697人で、前年の73万2223人から1万3526人(1.8%)減った。市町村が条例で定めた定数84万8324人に対して、実員は12万9627人少ない。
消防団は市町村が設置する消防機関のひとつで、団員は別に本業を持ちながら火災や災害のときに現場へ出る。常備の消防本部とは別に、その地域に住む住民自身が担い手になる仕組みで、消防署から遠い山間部や離島では、現場に最初に着くのが消防団という地域も少なくない。地震火災の過半数は電気が原因 揺れを感知して電気を止める「感震ブレーカー」、首都圏の設置は約2割にとどまるのように、地震のあとの火災を初期に抑える役割も担う。
入った人より辞めた人が1万3526人多い
1年間に新しく入団したのは3万7496人、退団したのは5万1022人で、差し引き1万3526人が減った。消防庁は退団者数について「3年連続の減少」としている。辞める人の数自体は減っているが、それを上回って入る人が少ない状態が続いている。
長い目で見ると減り方はさらに大きい。同じ調査の推移によると、団員数は1954年(昭和29年)に194万4233人あり、翌1955年に200万人を割り込んだ。1990年(平成2年)には99万6743人と100万人を下回り、2026年の71万8697人は1990年の72%にあたる。
年齢の構成も変わった。30代以下の団員は全体の31.9%にとどまり、65歳以上が4.9%を占める。消防庁は年齢階層別の入団者について、20歳代・30歳代はおおむね横ばいで推移する一方、41歳以上は緩やかに増えているとしている。新しく入る人のうち中高年の比率が上がっており、若い担い手の補充が細っている形だ。
女性3万379人、学生7772人、機能別4万2547人はいずれも増加
消防庁が重点的に増やそうとしてきた3つの区分は、いずれも前年より増えた。女性団員は3万379人で901人(3.1%)増、学生団員は7772人で204人(2.7%)増、機能別団員は4万2547人で2352人(5.9%)増だった。女性団員がいる消防団は1808団、学生団員がいる消防団は820団ある。
機能別団員は、すべての災害に出動するのではなく、大規模災害時の出動や特定の活動だけを受け持つ団員を指す。仕事や家庭の事情ですべての訓練・出動には応じられない人でも参加できるようにする仕組みで、840市区町村が導入済みだ。ただし3つの区分は重なって数えられているため単純に足し合わせることはできず、合わせても全体の減少を埋めるには至っていない。
女性の参画という点では、地域の役職全般に共通する課題もある。自治会長の女性は7.8% 23万9459人中1万8629人 政府の「10%」目標は2度先送りされ2030年度に 大阪19.8%、群馬1.3%で15倍の差で示したように、地域の担い手の構成は男性に大きく偏っている。消防団の女性団員3万379人も、全体71万8697人の4.2%にとどまる。
人口10万人あたりは山形1951人、大阪と沖縄は111人
地域差は大きい。人口10万人あたりの団員数は全国平均で581人。最も多いのは山形の1951人で、佐賀1950人、島根1575人、熊本1562人、山梨1556人と続く。少ないのは大阪と沖縄の111人、東京151人、埼玉174人、神奈川189人で、山形と大阪では17倍以上の開きがある。人口が集中し常備消防が手厚い都市部ほど、人口に対する団員は少ない。
実数の減り幅が最も大きかったのは新潟の1106人減で、福島778人減、熊本633人減、茨城632人減が続いた。47都道府県すべてで前年より減っており、増えた県はない。
報酬が基準に届く市区町村は95.1%、佐賀は50.0%
消防庁は2021年4月13日付の消防庁長官通知「消防団員の報酬等の基準の策定等について」で、報酬を年額報酬と出動報酬の2種類に整理し、団員階級の年額報酬は3万6500円、災害に関する出動報酬は1日あたり8000円を標準額とした。あわせて、報酬は団や分団にまとめて渡すのではなく、活動記録などに基づいて市町村から団員個人へ直接支給するよう求め、2022年4月1日から適用するとしていた。
2026年4月1日現在、年額報酬が3万6500円以上の市区町村は1720団体のうち1635団体(95.1%)、災害出動の出動報酬が8000円以上は1636団体(95.1%)だった。年額報酬を団員個人に直接支給しているのは1645団体(95.6%)、出動報酬は1633団体(94.9%)。前年はそれぞれ93.1%、92.8%、93.8%、93.3%で、2年前は90.5%、90.3%、91.7%、90.9%だった。
県ごとの差はなお残る。年額報酬が標準額に届いている市区町村の割合は、佐賀が20団体中10団体の50.0%、岡山が27団体中18団体の66.7%、兵庫が41団体中28団体の68.3%と低い。出動報酬では奈良が39団体中25団体の64.1%、岡山が27団体中19団体の70.4%。年額報酬の直接支給では、徳島が24団体中14団体の58.3%にとどまる。
消防庁は今回の結果を踏まえ、団員確保に向けて広報の充実と処遇改善をさらに進めるとともに、女性団員が活動しやすい環境づくりや各地域の優良事例の横展開に取り組むとしている。調査は全国の市区町村を対象とし、消防団の事務を行っている消防本部や一部事務組合を含む。
