金融庁は9月24日、三菱UFJ銀行の子会社であるMUデジタルバンク設立準備株式会社に対し、銀行法第4条第1項の規定に基づく銀行業の免許を付与したと発表した。同社は同じ24日付で「三菱UFJエムット銀行株式会社」へ商号を変更している。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱UFJ銀行も同日、この銀行がサービス名称を「エムットバンク」とし、2027年1〜3月頃に利用者へのサービス開始を予定していると公表した。

資本金474億5000万円、三菱UFJ銀行が100%を出資

金融庁の発表によると、新しい銀行の本店所在地は東京都品川区西五反田8丁目4番13号で、代表者は代表取締役CEOの山下邦裕氏。資本金は474億5000万円で、株主は三菱UFJ銀行が100%を持つ。MUFGと三菱UFJ銀行の発表では、事業内容は銀行業、商号変更日は2026年9月24日となっている。三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員は大澤正和氏、MUFGの代表執行役社長は半沢淳一氏。

金融庁が24日現在に更新した「銀行免許一覧」では、都市銀行4行、信託銀行13行、その他19行の計36行が掲載されており、三菱UFJエムット銀行は「その他」の区分に加わった。同じ区分には、ソニー銀行や楽天銀行、PayPay銀行、auじぶん銀行、みんなの銀行といったインターネット中心の銀行のほか、セブン銀行やイオン銀行、ゆうちょ銀行などが並ぶ。

銀行免許は何を審査するのか

銀行業を営むには、銀行法に基づく免許が必要になる。同法第4条第1項は「銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない」と定めており、実際の審査と免許の付与は金融庁が担っている。ここでいう銀行業とは、同法第2条第2項で、預金または定期積金の受け入れと資金の貸し付け(または手形の割引)とをあわせて行うこと、もしくは為替取引を行うこと、と定義されている。お金を預かって貸す、あるいは送金や振り込みを扱う業務には、この免許が要るということだ。

審査の基準も法律に書かれている。同条第2項は、申請者が銀行業務を健全かつ効率的に遂行するだけの財産的基礎を持ち、その業務に係る収支の見込みが良好であること、さらに人的構成などに照らして業務を的確・公正・効率的に遂行できる知識と経験を持ち、十分な社会的信用があることを審査すると定める。資本金474億5000万円という規模は、この「財産的基礎」を満たすための備えという位置づけになる。

銀行免許の有無は、金融機関が扱える業務の範囲を大きく左右する。金融庁の金融審議会でも9月16日、成長企業への資金供給の在り方を議論する作業部会の初会合が開かれており、事業者向け融資の貸金業規制、緩和へ検討開始 金融審議会が初会合 日本で銀行免許のない外国銀行の協調融資参加が焦点といった論点も動いている。

「ネット専業ではない」 店舗との併用を掲げる

MUFGは2025年5月27日に公表したリテール戦略の資料で、2026年度後半の開業をめざして「全く新しいコンセプトのデジタルバンク」を立ち上げると説明していた。今回示された2027年1〜3月頃という開始時期は、2026年度の最後の3か月にあたる。

同資料は、この銀行について「いわゆるネット専業銀行ではなく、三菱UFJ銀行の店舗網や金融のプロによるアドバイスもご利用いただける、デジタルとリアルの『いいとこ取り』」と位置づけている。基盤にはGoogle Cloudのクラウド技術を活用し、それによって手数料や金利の水準を有利にするとしていた。また、ウェルスナビと共同開発を進める総合アドバイザリー・プラットフォーム「MAP(Money Advisory Platform)」を中核機能の一つとして実装する予定で、グループ約6000万人の顧客データとAIを使い、利用者一人ひとりに合わせた提案を行うとしている。

同じ資料によると、MUFGの個人預金は2025年3月期時点で約93兆円、個人預金口座数は約3400万、住宅ローン残高は約14兆円。国内約420店舗に営業員約1万7000人を配置し、「三菱UFJアプリ」の利用者は1000万人を超えるとしている。既存の口座基盤と店舗網を持つ大手行が、別会社としてデジタル専業に近い銀行を新たに構えることになる。エムットは2025年6月に始まったMUFGの個人向け金融サービスブランドで、今回の銀行はその一部として位置づけられている。