政府は11月2日朝の繰上げ閣議で、同日発足した防災庁の政務三役の人事を決めた。細野豪志国務大臣に防災大臣を命じ、日本維新の会の金子道仁参院議員を防災副大臣兼内閣府副大臣に、自民党の大西洋平衆院議員を防災大臣政務官兼内閣府大臣政務官に任命した。あわせて、復興副大臣と内閣府副大臣を兼ねていた西田昭二氏について、内閣府副大臣の兼官を免じた。金子氏は同日午後、宮中で認証式に臨み、首相官邸で3人に辞令が交付された。

首相官邸で並んで写真に納まる高市首相と防災庁の政務三役ら
防災庁の大臣・副大臣・政務官への辞令交付の後、記念撮影に臨む高市首相(中央)ら=11月2日、首相官邸(首相官邸ホームページから)首相官邸の写真を本紙が横幅1600pxに縮小出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202611/02daijin_nimei.html)利用条件: PDL1.0

繰上げ閣議で決定、午後に認証式と辞令交付

人事は木原稔官房長官が2日午前の記者会見の冒頭で発表した。官房長官は「本日、防災庁設置法が施行され、防災庁が発足しました」と述べたうえで、細野氏ら3人の起用と西田氏の兼官を免じることを説明した。会見では、防災副大臣の宮中での認証式を午後2時から、防災大臣と防災大臣政務官への辞令交付を午後3時50分から行う予定だと明らかにしていた。

首相官邸の公表によると、高市早苗首相は認証式の後に官邸へ戻り、細野、金子、大西の3氏に辞令を交付し、記念撮影をした。首相はこれに先立ち防災庁の看板掛けをし、発足式で訓示した。訓示では「細野大臣、金子副大臣、大西大臣政務官をはじめ、お集まりの皆様と共に新たな一歩を踏み出せることを、心強く存じます」と述べ、3人の名を挙げた。

官邸が公表している第2次高市改造内閣の副大臣名簿と大臣政務官名簿は、同日付で更新された。名簿には「防災副大臣 兼内閣府副大臣」として金子氏が、「防災大臣政務官 兼内閣府大臣政務官」として大西氏が載っている。閣僚等名簿では、細野氏の肩書は防災大臣、復興大臣、福島原子力発電所事故再生総括担当、国土強靱化担当、国際防災協力担当となった。

役職 氏名 衆参 主な兼務
防災大臣 細野豪志 衆院 復興大臣、国土強靱化担当など
防災副大臣 金子道仁 参院 内閣府副大臣
防災大臣政務官 大西洋平 衆院 内閣府大臣政務官
防災庁の政務三役(11月2日任命)

出典: 首相官邸「第2次高市改造内閣 閣僚等名簿・副大臣名簿・大臣政務官名簿」

金子副大臣、外務省出身の維新参院議員

防災副大臣に就いた金子氏は、日本維新の会に所属する参院議員だ。参議院の議員情報によると、2022年(令和4年)7月の参院選で、比例代表に維新の公認で立ち、初当選した。当選1回で、任期は2028年7月25日に満了する。

経歴も同じ議員情報に載っている。1970年2月20日に横浜市で生まれ、東京大学法学部を卒業して外務省に入った。在スペイン日本国大使館、中南米局、条約局法規課に勤めた後に退官し、教会の牧師、社会福祉法人の理事長、高校の校長などを務めた。参院では外交防衛委員会の委員や予算委員会の理事のほか、災害対策特別委員会の委員も務めた。2025年12月時点の紹介では、維新の参議院政策審議会長、政務調査会長代理、兵庫維新の会代表などを務めていた。

閣議案件の表題は「金子道仁を防災副大臣兼内閣府副大臣に任命し、復興副大臣兼内閣府副大臣西田昭二の兼官を免ずることについて」だ。防災副大臣の任命と西田氏の兼官を免じることを、一つの案件として決めている。

大西政務官と細野大臣、内閣府の防災担当から移る

防災大臣政務官の大西氏は、衆議院の議員一覧によると、自民党の衆院議員で、東京16区選出の当選2回だ。

3人のうち細野氏と西田氏は、防災庁の発足前から内閣府で防災を受け持ってきた。内閣府の「大臣・副大臣・大臣政務官」のページでは、細野氏の担当に「内閣府特命担当大臣(防災)」と「防災庁設置準備担当」が、西田氏の担当に「内閣府副大臣(防災)」が記されている。防災の事務が内閣府から新しい庁に移ったことで、細野氏は防災庁の大臣となり、西田氏は内閣府副大臣を外れて復興副大臣の職に残った。内閣府の防災担当副大臣だった西田氏の後に、防災庁の副大臣として金子氏が入った形だ。

金子氏と大西氏は、防災庁の役職と内閣府の役職を兼ねる。官房長官会見と閣議案件は、兼務の理由には触れていない。

防災庁の発足時の組織と事務次官以下の人事は、防災庁が発足、初代次官に長橋和久氏 統括官4人の4グループ体制 防災技術の海外展開も掲げるで伝えた。

設置法が定める大臣・副大臣・政務官

防災庁の政務三役は、防災庁設置法の第8条から第10条に定めがある。

第8条は防災庁に防災大臣を置き、国務大臣を充てると定める。防災大臣は内閣総理大臣を助け、庁の事務を統括する。防災庁の長は首相で、防災大臣は首相の下で庁を実際に動かす立場にあたる。同じ条文は、防災大臣が関係行政機関の長に資料の提出や説明を求め、特に必要があれば勧告できるとしている。

第9条は副大臣を1人置くと定め、そのほかにデジタル庁や他の省の副大臣を充てる副大臣も置けるとする。副大臣は防災大臣の命を受けて政策と企画をつかさどり、政務を処理する。任免は首相の申し出により内閣が行い、天皇が認証する。金子氏が宮中で認証式に臨んだのはこの規定による。内閣総辞職の際には、首相と国務大臣がすべて地位を失うのと同時に副大臣も地位を失う。

第10条は大臣政務官を1人置くと定め、副大臣と同じく他の省庁の政務官を充てる政務官も置けるとしている。政務官は防災大臣を助け、特定の政策と企画に参画し、政務を処理する。

首相「強い司令塔として各府省庁を動かして」

高市首相は発足式の訓示で、防災庁に求める役割を述べた。事前防災から発災時の初動対応、避難所の設置・物資供給、復旧・復興までを「一気通貫で行う『災害対応の司令塔』」として担うよう求め、「地域ごとのリスクや府省庁の縦割り、そして、対策の漏れを見逃さずに、『強い司令塔』として、各府省庁を動かして下さい」と呼びかけた。

首相は「災害対応では、1分、1秒の遅れが、国民の皆様の命を左右します」とも述べ、被災地には「ワンストップ窓口として、復旧・復興まで、被災地に伴走して下さい」と求めた。

防災庁は発足の当日、国民と自治体、府省庁に向けて事前防災の徹底を求める要請を出した。内容は防災庁、発足日に「緊急要請」 家庭に「最低3日、できれば1週間分」の備蓄求める 省庁には勧告もで伝えた。