製薬会社の協和キリン(東証プライム)は11月2日、2026年1〜9月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上収益は3849億4700万円(前年同期比10.2%増)、本業のもうけを示すコア営業利益は969億5200万円(同46.8%増)、四半期利益は516億7300万円(同58.5%増)だった。低リン血症などの治療薬「クリースビータ」(海外名Crysvita)が北米などで伸びたほか、他社との提携に伴う技術収入が増えた。国内の売上収益は薬価の引き下げなどで減った。12月期通期の業績予想は5月7日に公表した値を据え置いた。

1〜9月期はコア営業利益47%増、為替も増収要因に

決算短信によると、売上収益は前年同期の3494億5100万円から355億円増えた。コア営業利益は660億6200万円から309億円増え、税引前四半期利益は479億2400万円から647億2800万円(35.1%増)になった。1株当たり四半期利益は62円28銭から98円70銭に増えた。

項目 2026年1〜9月 前年同期 増減率
売上収益 3849億4700万円 3494億5100万円 10.2%増
コア営業利益 969億5200万円 660億6200万円 46.8%増
税引前四半期利益 647億2800万円 479億2400万円 35.1%増
四半期利益 516億7300万円 325億9900万円 58.5%増
コア四半期利益 773億9800万円 449億3600万円 72.2%増
協和キリンの2026年1〜9月期連結決算(国際会計基準)

出典: 協和キリン「2026年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」

コア営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費(無形資産償却費を除く)と研究開発費を差し引き、会社が非経常的と判断した損益を除いて算出する。同社は2026年12月期からこの指標の定義を変え、無形資産償却費や持分法による投資損益を対象から外した。前年同期の数値も新しい定義で計算し直している。

円安も売上を押し上げた。期中の平均為替レートは1ドル=149円から159円に、1ポンド=195円から213円に、1ユーロ=165円から185円になった。同社によると、為替による増収額は198億円、コア営業利益の増益額は85億円だった。

費用の面では、研究開発費が768億円から677億円へ12%減った。販売費及び一般管理費は1165億円から1237億円に増えた。四半期利益の段階では、契約損失と減損損失を計上したため、その他の費用が147億円から309億円に膨らんだが、コア営業利益の増加分がこれを上回った。

主力のクリースビータは1715億円、北米が14%増収

同社は売上収益を地域を統括する会社ごとに分けて開示している。北米は1299億円から1485億円(14.3%増)に、技術収入などを含む「その他」は675億円から900億円(33.3%増)に増えた。EMEA(欧州・中東・アフリカなど)は624億円から628億円とほぼ横ばいで、日本は897億円から837億円(6.7%減)に減った。顧客の所在地で見た海外売上比率は77%で、前年同期の73%から上がった。

協和キリンの地域別売上収益(1〜9月)(億円)

2025年2026年

北米1,2991,485その他675900日本897837EMEA624628
出典: 協和キリン「2026年12月期 第3四半期決算短信」
数値で見る(単位: 億円)
項目2025年2026年
北米1,2991,485
その他675900
日本897837
EMEA624628

製品別では、X染色体連鎖性低リン血症などの治療薬クリースビータが1467億円から1715億円(16.9%増)に伸び、売上収益の4割強を占めた。抗がん剤「ポテリジオ」(海外名Poteligeo)は337億円から388億円(15.2%増)、遺伝子治療の「Libmeldy/Lenmeldy」は44億円から73億円になった。

北米では、急性骨髄性白血病(AML)の治療薬「KOMZIFTI」(一般名ziftomenib)の販売を2025年11月に始めた。米食品医薬品局(FDA)の承認を受けたもので、提携先のクラ・オンコロジーと米国での損益を半分ずつ分け合う。分け合った後の損益がプラスなら売上収益に、マイナスなら販売費及び一般管理費に計上する決まりで、1〜9月期はマイナスだったため売上収益には入っていない。

EMEAは、2026年2月に長期収載品などの事業の残りの資産をグリュネンタールに譲渡し、売上に応じたロイヤルティが減った。前年同期には、ある医薬品ブランドの権利を合弁会社に譲渡して61億円の売上収益を計上しており、その反動もあった。

同じ日には、住友化学も医薬品子会社の住友ファーマを含む中間決算を発表した(住友化学中間期、純利益2.1倍の828億円 通期予想を上げ年17円に増配)。

国内は薬価引き下げとジーラスタの減少で6.7%減

国内では、クリースビータや腎性貧血治療薬「ダーブロック」(109億円→128億円)、高リン血症治療薬「フォゼベル」(59億円→71億円)が伸びた。一方で、発熱性好中球減少症の発症を抑える「ジーラスタ」は137億円から105億円(22.8%減)に、「ロミプレート」は115億円から90億円(22.1%減)に減った。

決算短信は、国内の減収要因として、ジーラスタの売上減少、「デパケン」などの長期収載品の製造販売承認を他社へ引き継いでいる影響、2025年4月と2026年4月の薬価基準の引き下げを挙げた。ジーラスタについては、バイオ後続品(バイオシミラー)の影響と薬価引き下げで売上収益が減ったとしている。

製品 2026年1〜9月 前年同期 増減率
クリースビータ 1715億円 1467億円 16.9%増
ポテリジオ 388億円 337億円 15.2%増
ダーブロック 128億円 109億円 17.3%増
ジーラスタ 105億円 137億円 22.8%減
ロミプレート 90億円 115億円 22.1%減
協和キリンの主な製品の売上収益(1〜9月)

出典: 協和キリン「2026年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」

技術収入は556億円、アムジェンとの提携終了で一括計上

第三者に開発品や技術の使用を認めるライセンス契約から得る技術収入は、前年同期の394億円から556億円に増えた。アストラゼネカから受け取るベンラリズマブの売上ロイヤルティが254億円から316億円に増えたことに加え、抗体「ロカチンリマブ」(開発番号KHK4083/AMG 451)についてアムジェンとの提携契約を終えたためだ。契約に伴って受け取っていた対価のうち、まだ収益にしていなかった残高(契約負債)を全額、収益として計上した。

開発品では、ziftomenibの国内での第2相試験を2026年4月に始め、8月に国の希少疾病用医薬品の指定を受けた。経口薬infigratinibは軟骨無形成症を対象に国内で第3相試験を進めている。点眼薬として開発中のtivozanib(開発番号KHK4951)は、9月に新生血管型加齢黄斑変性を対象とした第2相試験の主要な結果を開示した。遺伝子治療OTL-200は国内での承認申請を終えた。1〜9月期の研究開発費の総額は677億円だった。

通期予想は据え置き、コア営業利益の進捗率75%

2026年12月期の業績予想は、売上収益5200億円(前期比4.7%増)、コア営業利益1300億円(同18.4%増)、当期利益750億円(同11.9%増)で、5月7日の公表値から変えていない。補足資料によると、9月末までに売上収益で74%、コア営業利益で75%、当期利益で69%に達した。前期の実績は売上収益4968億円、コア営業利益1098億円だった。

地域別の通期予想は、北米2110億円、日本1115億円、EMEA785億円、その他1190億円。製品別ではクリースビータを2354億円、技術収入を749億円と見込む。

配当は、中間配当を前期より5円多い1株35円とした。期末も35円を予定し、年間配当は前期の62円から70円に増える見込みで、予想は変えていない。9月末の資産合計は1兆883億8000万円、親会社所有者帰属持分比率は前期末の80.6%から83.5%に上がった。現金及び現金同等物の残高は2411億円だった。