国民民主党の榛葉賀津也幹事長は10月16日の定例会見で、飲食料品の消費税率を2年間、地方消費税と合わせて1%に下げる政府の法案について、参議院では「必ず重要広範議案にしなければならない」と述べた。首相が審議に加わるとともに、農林水産相、経済産業相、「財政金融大臣」だけでなく、関連する大臣も議論に入れる枠組みをつくるよう求めた。党が公式サイトに掲載した会見の冒頭発言概要で明らかにした。
「総理の肝入り」なら首相も審議に 衆院はまだ付託前
榛葉氏は会見の冒頭で、参議院予算委員会の審議が週明けの月曜日にまたがって続き、それが終わると「いよいよ20日から」食料品の消費税減税に関する法案の審議が始まるとの見通しを示した。
そのうえで、この法案は「総理の肝入りだと悲願だというわけですから、当然重要広範議案、総理も入ってやって欲しい」と述べた。衆議院での扱いについては「重要広範議案並み」という言葉が付いていると聞いているとし、「ちょっと私は信じられない」と不満を示した。参議院では「必ず重要広範議案にしなければならない」と強調した。
求める理由として、榛葉氏は「7%も消費税を下げることは過去にはない」と述べた。首相の出席に加え、農林水産大臣、経済産業大臣、財政金融大臣にとどまらず、関連する大臣も議論に加われるような審議の枠組みをつくってほしいと訴えた。
会見ではこのほか、同日午後3時過ぎから参議院予算委員会で党の浜口誠政務調査会長が質問に立つと紹介した。会見録として公表されているのは冒頭発言の概要で、記者との質疑の内容は掲載されていない。
衆議院の議案審議経過情報によると、法案は10月9日に衆議院が受理し、参議院も同じ日に予備審査のため受理した。この記事の執筆時点で、衆議院の付託委員会の欄は空欄のままで、まだどの委員会で審議するかは記載されていない。
榛葉氏が会見で述べた「20日から」の審議入りや、衆議院での「重要広範議案並み」の扱いについて、衆参両院の公式資料ではまだ確認できていない。参議院での扱いは、衆議院での審議を経て法案が参議院に送られた後に焦点になる。
法案の中身 飲食料品は0.78%、地方と合わせ1%に
対象の法案は、政府が10月9日に国会へ提出した「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」だ(経緯は食料品消費税1%と支援金の法案、国会に提出 支援金の額と所得の線引きは政令に委ねる)。
内閣官房と財務省がまとめた概要によると、2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間、飲食料品にかかる消費税率を0.78%とし、地方消費税と合わせて1%にする。地方消費税が減る分は、国の地方特例交付金で埋める。施行日は2027年4月1日だ。
国税庁によると、いまの消費税率は標準税率が10%、飲食料品などにかかる軽減税率が8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)。外食やケータリングは軽減税率の対象に含まれない。法案が成立すれば、飲食料品の税率は8%から1%に下がる。榛葉氏の言う「7%」は、この下げ幅を指している。
| 区分 | いまの税率 | 引き下げ期間(2027年4月〜2029年3月) |
|---|---|---|
| 飲食料品(軽減税率の対象) | 8% | 1% |
| 標準税率の品目(外食を含む) | 10% | 10%(法案の概要に変更の記載は無い) |
出典: 国税庁「No.6102 消費税の軽減税率制度」、内閣官房・財務省の法案概要
法案には、税率の引き下げと合わせて「就業者負担軽減支援金」を毎年1回支給する仕組みも入っている。概要によると、勤労所得が一定額を超え、合計所得が一定額以下の人などが対象で、所得の線引きと支給額はいずれも「政令で定める」とされた。費用は国が3分の2以上を負担し、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ持つ。
玉木代表「2年後の中間層増税法案」
国民民主党は、減税そのものには反対していない。玉木雄一郎代表は10月13日の定例会見で「我々も負担軽減、減税に反対するものではない」と述べた。一方で、複数税率の幅が大きくなることに伴う農業者や外食への影響を「クリアしていかなければいけない」課題として挙げた(代表質問で取り上げた論点は玉木代表、財政の持続性で「ドーマー条件」を追及)。
玉木氏が「何より問題」としたのは支援金の中身だ。支援金は減税と入れ替わる形で2029年4月から導入されると説明したうえで、誰にいくら支給されるのかが分かっていないと指摘した。その結果、この法案は「来年4月からの減税法案であると同時に2年後の中間層増税法案になっている」と述べ、負担が増える所得層が審議の前に示されないのは「租税民主主義の観点から」問題だとした。
そのうえで、2年後の中間層の負担増につながる法案は「このまま認めるわけにはいけない」と述べ、2年後に負担が増える人への対応を中心に議論を深める考えを示した。玉木氏はまた、支援金の対象者について衆院予算委員会で問われた片山さつき財務相(消費税・支援金法案担当)が、まだ何も決まっていないと答えたことも「大問題」だと指摘した。
農水相交代にも言及「辞めれば終わりではない」
榛葉氏は会見の冒頭で、10月14日に辞意を表明した簗和生前農林水産相の問題にも触れた。後任の武部新農林水産相に「信頼回復」を求める一方、簗氏については「やめれば終わりではない」と述べ、説明責任を果たすよう求めた(経緯は農水相の後任は武部新氏 簗和生氏が在任29日で辞任)。
高市早苗首相は14日の会見で、簗氏の申し出を受け入れた理由として、国会審議や農林水産行政に集中できない状況を看過できず、今後「消費税・支援金法案」などの課題に答えを出していく必要があると説明していた。首相官邸の閣僚名簿では、農林水産大臣は武部氏になっている。
飲食料品の税率引き下げでは、農業者や食品関連の事業者への影響が論点の一つになっている。玉木氏は13日の会見で、消費税の減税で「最もマイナスデメリットの負担を被るのは農業者の皆さん」だと述べ、担当する農水相の役割は「ものすごく大きい」としていた。玉木氏は同じ会見で、農業者への支援措置として2000億円程度が検討されていると「伝え聞く」と述べ、それでも負担が十分に減るのかが分からないと指摘した。
