政府は10月30日、首相官邸のウェブサイトに「個人情報流出の被害に遭われた方・ご心配のある方」と題するページを設け、流出の被害や、漏れた情報を悪用される二次被害に不安を持つ人向けの相談窓口8つを一覧にした。官邸のトップページの「注目記事」欄に載っている。最初の相談先として消費者ホットライン「188」を挙げ、犯罪被害の心配は警察相談専用電話「#9110」、金融機関やクレジットカードの情報流出は金融庁と日本クレジット協会の窓口へ、と被害の種類ごとに連絡先を示した。

官邸が窓口を1ページにまとめる

ページは冒頭で「我が国の企業などに対する相次ぐサイバー攻撃によって、大規模な『個人情報流出被害』などが多数生じており、漏えいした情報を悪用した二次被害への不安が高まるなど深刻な事態となっています」と述べ、被害に遭った人や心配のある人に相談を呼びかけている。

本紙もこの秋、官公庁や企業への不正アクセスを相次いで報じてきた(外務省に不正アクセス、氏名やメールアドレス約3600件漏えいの可能性 7月に検知)。流出を知らせる通知を受け取っても、どこに何を尋ねればよいかは分かりにくい。官邸のページは、所管の異なる国の機関や業界団体の窓口を、相談したい中身ごとに並べ直したものだ。新しい窓口を設けたわけではなく、既存の8窓口の連絡先を集めている。

相談したいこと 窓口 連絡先
まず相談したい 消費生活センター(消費者ホットライン) 電話188
犯罪被害の心配、パトロール、運転免許証の再発行 警察相談専用電話 電話#9110
取引のある金融機関からの流出 金融庁 金融サービス利用者相談室 電話0570-016811(IP電話は03-5251-6811)
クレジットカード情報の流出 日本クレジット協会 クレジットに関する消費者相談窓口 電話03-5645-3361
パソコンやスマホへの不正アクセス・ウイルス感染 IPA 情報セキュリティ安心相談窓口 電話03-5978-7509、メール
ネット上に流出した個人情報の削除申し出 違法・有害情報相談センター(総務省委託) ウェブのみ
流出を起こした電気通信事業者の対応窓口 総務省 電気通信消費者相談センター 電話03-5253-5900、メール
企業などの個人情報の取り扱い 個人情報保護委員会 個人情報保護法相談ダイヤル 電話03-6457-9849、質問チャット
官邸ページが示した個人情報流出の相談窓口出典: 首相官邸「個人情報流出の被害に遭われた方・ご心配のある方」

まずは188、犯罪の心配は#9110

官邸のページが最初に挙げる188は、消費者庁の「消費者ホットライン」だ。郵便番号などを入力すると、住んでいる地域の市区町村や都道府県の消費生活センターにつながる。消費者庁によると、相談は無料だが、窓口につながった時点から通話料がかかる。ナビダイヤルを経由するため携帯電話の定額通話の対象外で、携帯電話からは30秒ごとに22円(税込み)。回線が話し中のときは、国民生活センターの「バックアップ相談」(03-3446-0999、平日10時〜16時)も使える。土日祝日も、地元のセンターが開いていない場合は国民生活センターが相談を補い、施設点検日と年末年始を除いて原則毎日受け付けるという。

ウェブの窓口として官邸が示したのは、国民生活センターが9月に開いた「消費者トラブル解決ナビ」だ(国民生活センターが「消費者トラブル解決ナビ」開設 FAQで自主解決を支援、窓口へWebフォーム申し込みも 2025年度の消費生活相談は100.6万件)。

犯罪被害の心配があるときや、パトロール、運転免許証の再発行について相談したいときは#9110に電話する。警察庁によると、#9110は発信した場所を管轄する都道府県警察本部などの総合窓口に直接つながる全国共通の短縮ダイヤルで、携帯電話からもかけられる。土日祝日と夜間は、当直か音声案内などで対応する。ダイヤル回線と一部のIP電話からはつながらないため、警察庁が都道府県警察ごとの相談窓口の電話番号を一覧にしている。警察庁はウェブサイトのトップにも「情報流出による被害の相談は『#9110』番へ」と掲げている。

金融機関・クレジットカードの流出

取引のある金融機関から情報が流出した心配があるときの窓口は、金融庁の「金融サービス利用者相談室」だ。電話(0570-016811)の受付は平日の10時〜17時で、金融庁は10時〜11時は混み合うと案内している。音声案内で、預金・融資、投資商品、保険、貸金・資金移動、暗号資産などの番号を選ぶ。ウェブサイトからは24時間受け付ける。ウェブで相談した場合、平日の10時〜17時に相談員から電話がかかってくることがあるため、氏名と電話番号を書くよう求めている。

クレジットカード情報の流出は、日本クレジット協会の消費者相談室(03-5645-3361)が窓口になる。官邸のページは「Mail」として協会の相談・苦情申出書のページを示しているが、協会はこの申出書にメールでは返信せず、平日の10時〜12時と13時〜16時に電話で内容を確かめるとしている。一方で協会は、クレジットに関わる個人情報の保護についての相談は受付方法が異なるとして、同じ協会の「個人情報保護推進センター」(03-5645-3360)に問い合わせるよう案内している。カード情報の流出で個人情報の扱いそのものを尋ねたい場合は、こちらの番号になる。

端末への不正アクセスとネット上の拡散

パソコンやスマートフォンへの不正アクセスやウイルス感染が心配なときは、情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ安心相談窓口」に相談できる。主にウイルスや不正アクセスについて、技術的な助言をする窓口だ。電話(03-5978-7509)は平日の10時〜17時で、メールでも受け付ける。夜間や休日は、よくある相談の対処法を案内するチャットボットを使える。ただし文字を入力して質問する形ではなく、表示された選択肢から選ぶ方式だ。

IPAによると、この窓口が対応した相談は2023年に1万923件と、公表している2017年以降で初めて1万件を超え、2024年は1万2787件、2025年は1万1956件だった。

IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」の相談対応件数(2020〜25年)(件)

05,00010,00015,0009,69820206,40320219,401202210,923202312,787202411,9562025
2023年に2017年以降で初めて1万件を超え、2024年は1万2787件出典: 情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティに関する技術的なご相談」
数値で見る(単位: 件)
項目件
20209,698
20216,403
20229,401
202310,923
202412,787
202511,956

ネット上に流出した個人情報を削除してもらうための申し出方法を知りたいときは、総務省が委託する「違法・有害情報相談センター」がウェブで相談を受ける。ただ同センターは、予防的な措置として相談の受け付けに使う「相談マイページ」へのアクセスを止め、10月22日12時20分からシステムの保守作業をしている。作業は11月5日12時に終わる予定で、それまでは利用・相談の登録や相談員の回答の確認ができない。センターは、この件による不正アクセスや情報漏えいは起きていないとしている。

通信事業者と企業の取り扱い

流出を起こしたのが電気通信事業者の場合、その事業者の対応窓口を知りたいときは、総務省の「電気通信消費者相談センター」(03-5253-5900)に電話かメールで問い合わせる。

企業などが個人情報をどう扱っているかについての相談は、個人情報保護委員会の「個人情報保護法相談ダイヤル」(03-6457-9849)が受ける。受付は平日の9時30分〜17時30分。事業者や行政機関による個人情報の扱いへの苦情と、個人情報保護法や制度についての質問に、ガイドラインやQ&Aに基づいて助言や回答をする。ガイドラインなどに記載が無い相談や、法律に照らして適法か違法かの判断を求める相談には応じていない。法律の基本的な質問には、24時間対応するチャットボットもある。

同委員会は、企業に求める安全管理の措置の見直しも進めている(個人情報保護委、安全管理の「手法の例示」に多要素認証など追加へ 意見募集を開始)。

8つの窓口のうち、公式ページで電話の受付時間を確かめられた金融庁、日本クレジット協会、IPA、個人情報保護委員会の4窓口は、いずれも平日の日中に限られる。夜間や休日には、#9110の当直や音声案内、188を補う国民生活センターの相談、金融庁のウェブ受付、IPAと個人情報保護委員会のチャットボットがある。総務省の電気通信消費者相談センターの受付時間は、本紙が確かめた範囲では確認できていない。