総務省統計局は10月23日、サービス産業動態統計調査の2026年(令和8年)8月分の速報を公表した。サービス産業の月間売上高は37兆4012億円で、前年同月比3.6%の増加となった。増加は58か月続いているが、伸び率は7月の5.0%から下がった。サービス産業で働く人の数は3020万人で0.4%の増加にとどまり、宿泊業・飲食サービス業など2産業では減った。

伸び率は5月と並んで直近13か月で最も低く

報道資料には、2025年8月から2026年8月までの13か月の前年同月比が並んでいる。2025年9月の8.3%を最高に、その後は4〜7%台で推移してきた。2026年に入ってからは、1月5.6%、2月4.6%、3月5.7%、4月4.8%、5月3.6%、6月4.5%、7月5.0%と、上がり下がりを繰り返している。8月の3.6%は5月と並び、この13か月で最も低い。

サービス産業の月間売上高の前年同月比(2026年)(%)

34565.65.73.63.61月3月5月7月8月
8月の伸びは3.6%で、5月と並んで2026年で最も低い出典: 総務省統計局「サービス産業動態統計調査」2026年8月分(速報)報道資料
数値で見る(単位: %)
項目%
1月5.6
2月4.6
3月5.7
4月4.8
5月3.6
6月4.5
7月5.0
8月3.6

伸び率は下がったものの、売上高が前年同月を下回ったわけではない。58か月連続の増加は、統計局が報道資料に添えた参考資料で示している。前年同月比のプラスに最も大きく寄与したのは運輸業・郵便業で、寄与度は1.11だった。医療・福祉が0.77、情報通信業が0.57で続く。この3産業だけで、サービス産業全体の3.6%増のうち半分以上を占める。

この調査は事業所や企業の月間売上(収入)金額を調べている。金額で集計しているため、提供したサービスの量が同じでも、料金が上がれば売上高は増える。統計局は増減を前年同月比で示している。8月の売上高37兆4012億円は7月の38兆3553億円を下回るが、前年同月と比べれば3.6%の増加である。

9産業のうち8産業で増加 学術研究・専門サービスは減少

産業大分類の9産業のうち、増加は8産業、減少は1産業だった。7月はすべての産業が増えていた。

伸び率が最も大きかったのは運輸業・郵便業で、売上高6兆2454億円、前年同月比6.9%の増加。統計局によると65か月続けて増えている。中分類で見ると、水運業が16.8%増、道路旅客運送業が11.4%増と2桁の伸びとなった。道路貨物運送業は2兆2146億円で6.6%増、鉄道業は3.6%増だった。

医療・福祉は5兆7074億円で5.1%増と、24か月続けて増えた。医療業が5.6%増、介護事業を含む社会保険・社会福祉・介護事業が4.2%増だった。情報通信業は6兆4018億円で3.3%増と53か月連続の増加。ソフトウェアや情報処理を含む情報サービス業が3.5%増、インターネット附随サービス業が7.1%増だった。7月に6.4%増だった情報通信業は、伸びが半分ほどに縮んだ。

唯一減ったのは学術研究、専門・技術サービス業で、2兆8094億円、0.7%の減少だった。中分類では、技術サービス業(他に分類されないもの)が5.1%減と落ち込んだ。7月も1.7%減で、2か月続けて減っている。このほか、中分類では映像・音声・文字情報制作業が4.8%減、放送業が1.6%減、不動産取引業が1.2%減、学習塾、教養・技能教授業が1.9%減だった。

宿泊業の伸びは8.0%から2.3%に

8月は、宿泊業と飲食店の伸びがそろって縮んだ。宿泊業・飲食サービス業全体の売上高は2兆7842億円で3.3%増。7月の6.1%増から下がった。

中分類で見ると、宿泊業は7189億円で2.3%増だった。7月は8.0%増で、伸び率は3分の1以下になった。飲食店は1兆8332億円で3.7%増と、7月の5.9%増から下がった。持ち帰り・配達飲食サービス業は2.9%増だった。

娯楽業は2兆9712億円で4.1%増と、7月の3.7%増より伸びた。生活関連サービス業・娯楽業全体では3.1%増だった。一方、洗濯・理容・美容・浴場業は0.5%増にとどまった。

働く人の数で見ると、宿泊業の事業従事者数は67万8000人で0.1%増と、7月(0.2%増)に続いて前年をわずかに上回った。飲食店は362万9000人で1.4%減と、7月の0.9%減より減り方が大きい。同じ宿泊業・飲食サービス業の中でも、売上と人の動きは業種で異なる。

宿泊業の伸びが縮んだ理由について、統計局の資料は説明していない。この統計は売上金額を集めたもので、宿泊者数や客室単価は調べていない。

売上が増えても働く人が減る業種

8月のサービス産業の事業従事者数は3020万人で、前年同月比0.4%の増加だった。7月の3022万人(0.6%増)とほぼ同じ水準で、売上高3.6%増と比べて伸びは小さい。事業従事者は、その事業所や企業で実際に働いている人を指す。他社へ送り出している人は含まず、派遣などで受け入れている人を含む。

産業別では、宿泊業・飲食サービス業が485万人で1.2%減、生活関連サービス業・娯楽業が212万人で0.1%減と、2産業で減った。増えたのは情報通信業(223万人、2.9%増)、不動産業・物品賃貸業(173万人、1.6%増)など7産業だった。

中分類では、売上高が増えたのに働く人が減った業種が目立つ。

業種(中分類) 売上高の前年同月比 事業従事者数 事業従事者数の前年同月比
飲食店 3.7%増 362万9000人 1.4%減
持ち帰り・配達飲食サービス業 2.9%増 54万1000人 1.7%減
娯楽業 4.1%増 78万3000人 1.5%減
道路貨物運送業 6.6%増 183万人 0.4%減
倉庫業 4.5%増 21万5000人 1.4%減
自動車整備業 1.5%増 21万人 1.4%減
2026年8月に売上高が増え、事業従事者数が減った主な業種出典: 総務省統計局「サービス産業動態統計調査」2026年8月分(速報)表3

飲食店は7月も売上高5.9%増に対し従事者数0.9%減で、8月は減り方が大きくなった。道路貨物運送業は7月の従事者数1.6%減から0.4%減へと減り方が縮んだが、売上高が7月、8月と6%台の伸びを続ける中で人の数は前年を下回ったままだ。こうした業種では、前年より少ない人数でより多くの売上を上げていることになる。7月分の同じ傾向はサービス業の7月の売上高38.4兆円、57か月連続で増加 飲食店は売上5.9%増でも働く人は0.9%減 道路貨物運送も6.7%増で1.6%減で伝えた。

働き手の確保が難しい職種の広がりは、求人倍率の統計にも表れている(人手不足の全体像 求人倍率1.18倍の裏で、建設躯体8.25倍・一般事務0.29倍)。サービス産業動態統計は人手の過不足そのものを測る統計ではないが、売上と従事者数を同じ月・同じ業種で並べて見られる点に特徴がある。

GDP速報の材料となる基幹統計

サービス産業動態統計調査は、サービス産業の事業活動の動きを毎月把握する統計で、国内総生産(GDP)の四半期別速報(QE)をはじめとする経済指標の精度を上げることを目的にしている。2025年1月に創設された基幹統計調査である。

対象は、情報通信業、運輸業・郵便業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、サービス業(他に分類されないもの)の9産業。2021年の経済センサス‐活動調査の名簿から選んだ約3万8000の事業所・企業等(事業所約2万5000、企業等約1万3000)に、月間の売上(収入)金額と月末の従業者数を尋ねている。鉄道業や航空運輸業、郵便業、資本金1億円以上の会社などは全数を調べ、それ以外は産業と規模で層に分けて抽出する。標本として選んだ事業所は、原則として2年間続けて調べる。

この調査は2025年1月、一般統計調査だったサービス産業動向調査と特定サービス産業動態統計調査を統合して始まった。統合の際に母集団の名簿を変え、標本の事業所も入れ替えたため、統計局は時系列の比較に注意を求めている。2025年の前年同月比は、こうした変更による変動を調整した前年同月の値を使って計算している。

売上高は事業活動ごとに産業を分けて集計し、事業従事者数は事業所・企業の主な事業活動で産業を分けて集計している。このため、同じ業種名でも売上高と従事者数で集計の単位が異なる。今回公表されたのは8月分の速報である。