国土交通省は9月25日、建設現場の人手の足り具合を調べた建設労働需給調査の令和8年8月分と、資材の値動きを調べた主要建設資材需給・価格動向調査の9月1〜5日現在の結果を、同じ日に公表した。型わく工や鉄筋工など全国8職種の過不足率は1.3%の不足で、7月の1.2%の不足、前年同月の0.9%の不足から不足幅が広がった。一方の資材は7資材13品目のすべてで価格が「横ばい」だった。

資材高が一服するなかで、人手だけが足りない。今年に入ってからの月ごとの数字を並べると、1月は0.0%でちょうど均衡、2月0.3%、3月は0.1%の過剰、4月0.6%、5月1.2%、6月1.0%、7月1.2%と推移してきた。8月の1.3%は今年で最も大きい。令和7年の年平均が0.7%の不足だったので、その約2倍の水準にある。

「過不足率1.3%」は何を測った数字か

過不足率は、調査に協力する建設業者が抱えている現場で「確保したかったが確保できなかった労働者数」から「確保したが過剰になった労働者数」を引き、「確保している労働者数」と「確保できなかった労働者数」の合計で割って算出する。つまり、現場が必要とした人数のうち何%が埋まらなかったかを示す。プラスが不足、マイナスが過剰だ。

調査は昭和54年7月に始まり、毎月10日から20日までのうち日曜と休日を除く1日を対象にしている。対象は建設業法上の許可を受けた資本金300万円以上の法人で、調査対象職種の労働者を直接雇っている約3000社。今回は1052店社から有効な回答があり、手持ち現場6815か所で働く一般工1万2622人が集計に入った。職種の内訳は、とび工2519人、配管工2599人、電工2203人、左官1381人、型わく工(建築)1233人、鉄筋工(建築)1132人、型わく工(土木)985人、鉄筋工(土木)570人となっている。

1.3%という数字だけを見れば小さく感じるが、これは全国・全職種を平均した値だ。実際の足りなさは職種と地域で大きく振れる。

型わく工(建築)だけが過剰 鉄筋工(建築)は1年で過剰から不足へ

8職種のうち過剰になったのは型わく工(建築)の1つだけで、0.5%の過剰だった。前年同月は1.5%の不足だったので、1年で立場が入れ替わった。

不足が大きいのは型わく工(土木)の2.3%と配管工の2.2%。次いで鉄筋工(土木)1.9%、とび工1.6%、左官1.3%、電工0.8%、鉄筋工(建築)0.6%と続く。

最も大きく動いたのは鉄筋工(建築)だ。前年同月は9.0%の過剰で、8職種のなかで唯一、人が余っている職種だった。それが今年8月は0.6%の不足に転じている。逆に前年同月に3.0%と不足が目立っていたとび工は1.6%まで落ち着いた。建築と土木で求められる職種が入れ替わるため、同じ「鉄筋工」でも建築と土木で数字の向きが逆になることがある点は、この統計を読むときの注意点だ。

新しく人を募る場面では、不足はもっとはっきり出る。最近1か月以内に確保できた人数と確保できなかった人数から計算する新規募集の過不足率は、8職種計で6.0%の不足だった。鉄筋工(土木)は10.1%で、前年同月の2.2%から大きく悪化している。

10地域すべてが不足 関東は0.0%から1.9%へ

地域別に見ると、北海道から沖縄までの10地域すべてで不足となった。不足幅が大きいのは北海道2.7%、関東1.9%、中部1.6%。以下、九州1.1%、北陸0.9%、中国0.8%、沖縄0.6%、近畿と四国が0.3%、東北0.1%と続く。

前年同月と比べて動きが大きいのは関東と九州だ。関東は前年同月がちょうど0.0%の均衡だったのが1.9%の不足へ転じ、全国で最も悪化した。反対に九州は4.1%の不足から1.1%へ改善し、最も緩んだ。北海道も4.2%から2.7%へ不足幅が縮んでいる。関東で需要が立ち上がり、九州で一段落した形だ。

残業・休日作業の現場は2.8%から4.0%へ 理由は「前工程の遅れ」

人が足りない現場は、残った人で時間を延ばして埋めることになる。残業や休日作業を実施している現場(調査では「強化現場」と呼ぶ)は、手持ち現場全体の4.0%だった。前月は2.8%、前年同月は3.4%で、いずれよりも増えている。

強化の理由には変化が表れている。「その他」の30.4%を除くと、最も多いのは「前工程の工事遅延」の29.0%で、前年同月の18.3%から増えた。「昼間時間帯時間の制約」が26.1%(前年同月25.4%)、「天候不順」が10.1%(同12.7%)と続く。目を引くのは「無理な受注」で、前年同月の14.1%から4.3%へ大きく減った。

受注の段階で無理をするケースは減ったのに、前の工程の遅れを後ろの工程が背負って残業になる、という構図に移ってきている。工程のどこかで人が足りなければ、その遅れは連鎖する。製造業でも技能の引き継ぎが進まず、「うまくいっている」と答えた企業は1.9%にとどまっている。

先行きの見通しも楽ではない。翌々月にあたる10月について労働者の確保が「困難」または「やや困難」と答えた割合は合わせて27.4%で、前年同月の26.9%から増えた。内訳は「困難」12.9%(前年同月10.7%)、「やや困難」14.5%(同16.2%)で、より強い「困難」の側が増えている。11月については「困難」が24.0%(同23.7%)だった。国交省は8職種全体の見通しを「普通」とまとめている。

資材は13品目すべて横ばい ただし3か月先は値上がり予想が急増

同時に公表された資材の調査では、セメント(バラ物)、生コンクリート(21ニュートン)、骨材(砂、砂利、砕石、再生砕石)、アスファルト合材(新材・再生材の密粒度アスコン)、異形棒鋼(D16)、H形鋼(200×100)、木材(製材、型枠用合板)、石油(軽油1・2号)の7資材13品目すべてで、価格動向が前月に比べて「横ばい」、需給動向が「均衡」、在庫状況が「普通」となった。在庫は骨材、異形棒鋼、H形鋼、木材のみを対象に調べている。

ただし、この調査は3か月先の予想も同時に集めており、そこでは絵が変わる。各都道府県の回答を平均して「やや上昇」に分類された都道府県の数は、現在と3か月先で次のように増える。

  • H形鋼: 17都道府県 → 29都道府県
  • アスファルト合材(新材): 10都道府県 → 29都道府県
  • アスファルト合材(再生材): 9都道府県 → 28都道府県
  • 異形棒鋼D16: 9都道府県 → 24都道府県
  • 砂: 7都道府県 → 24都道府県
  • 軽油: 4都道府県 → 21都道府県
  • 型枠用合板: 11都道府県 → 21都道府県
  • 生コンクリート: 3都道府県 → 19都道府県
  • セメント: 2都道府県 → 16都道府県

13品目すべてで、値上がりを見込む都道府県が現在より増えている。いま横ばいなのは値上がりが終わったからではなく、次の上げを待っている状態だと現場が見ていることになる。

人手が足りず残業で埋め、そこへ資材の値上がりが重なれば、工事の原価は両側から押される。企業の景況感の調査でも、人手不足による「業務負担・勤務時間の増加」を挙げた企業は62.8%に上っていた。

建設労働需給調査の令和8年9月分は10月27日、10月分は11月25日に公表される予定だ。