高市首相は10月26日、首相官邸で開かれた政府与党連絡会議に出席した。9月17日に第2次高市改造内閣が発足してから初めての開催で、首相は冒頭のあいさつで、臨時国会に出している「消費税・支援金法案」と「原油調達多角化に関する法案」を挙げ、「各種『法案』の早期成立に向けてのお力添えをお願いいたします」と与党に協力を求めた。11月2日に発足する防災庁については、災害対応の「司令塔」としての体制を確立すると述べた。
官邸のホームページ「総理の一日」に載る前回の会議は7月13日で、約3か月半ぶりとなる。
改造後初の会議、維新からの入閣に言及
首相はあいさつの冒頭、「今回の改造では、日本維新の会から中司宏大臣に入閣をいただき、またそれぞれ副大臣、政務官も御活躍をいただき、両党の関係は名実共に、より強固なものとなっております」と述べた。
官邸の閣僚名簿によると、中司氏は衆院議員で、内閣府特命担当相(こども政策、少子化対策、若者活躍、規制改革、共生・共助)、行政改革担当、国家公務員制度担当を務める。改造内閣は9月17日に発足し、翌18日の閣議で副大臣と大臣政務官が決まった。
前回7月13日の会議で首相は、高市内閣で初めて策定する「骨太の方針」「日本成長戦略」「地域未来戦略」の閣議決定に向けた与党内の審議と、当時の国会に出していた全ての政府提出法案の会期内成立への協力を求めていた。議員立法の副首都法案についても「与党が一体となって会期中の成立を目指してまいりましょう」と呼びかけていた。
今回は、7月以降に相次いだ自然災害に触れ、「令和8年熊本地震」や集中豪雨などの犠牲者に哀悼の意を表した。
臨時国会の2法案、いずれも衆院で審議中
首相が成立を急ぐとした2法案は、衆議院の議案情報で内閣提出法案(閣法)の1番と11番にあたる。10月27日時点の審議状況はいずれも「衆議院で審議中」となっている。
| 首相の呼び方 | 正式な法案名(要旨) | 国会の状況 |
|---|---|---|
| 消費税・支援金法案 | 飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案(閣法1) | 10月9日に衆院が受理、20日に財務金融委員会へ付託 |
| 原油調達多角化に関する法案 | 原油等の安定的な輸送の確保のための指定水路の利用の合理化に関する法律案(閣法11) | 衆院で審議中 |
出典: 衆議院「第222回国会 議案の一覧」、閣法1の審議経過情報
消費税・支援金法案は、法案の条文によると、飲食料品の消費税率を「臨時的に二年間に限り」引き下げる。対象は2027年4月1日から2029年3月31日までの飲食料品の譲渡で、税率は8%から1%になる。あわせて、税と社会保険料の負担から社会保障の現金給付を差し引いた額の収入に対する割合を「純負担率」と定め、これを踏まえて中低所得の就業者に「就業者負担軽減支援金」を支給する。法案の提出時の中身は食料品消費税1%と支援金の法案、国会に提出 支援金の額と所得の線引きは政令に委ねるで詳しく伝えた。
原油関連の法案は、代わりの航路を取りにくい狭い水路を政令で「指定水路」と定め、そこを通る原油の輸送が「著しく困難」になった場合に石油製品の供給への影響を減らすことを目的とする。原油精製業者などが指定水路の利用を減らす計画を作り、経済産業相の認定を受けると、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から取り組みの費用に充てる交付金を受け取れる。交付金の財源は、同機構が原油精製業者などから毎年度徴収する納付金でまかなう。
法案でいう「原油等」は原油と、輸入するガソリン(揮発油)、灯油、軽油などの石油製品を指す。経産相は取り組みの進め方を示す「実施指針」を定め、原油精製業者などには、指定水路を通る輸送が難しくなった場合の供給への影響を考えて適切な措置を講じるよう努める責務を課す。附則には、施行後5年をめどに国際情勢やエネルギー事情の変化を踏まえて見直しを検討する規定を置いた。法案に至る経緯は原油調達多角化の法案、高市首相が所信表明で制度整備を表明 原油輸入の中東依存は94.7%にまとめている。
防災庁は11月2日に発足
首相は「来週、11月2日に発足する防災庁では、平時の備えから、発災後の対応までを「一気通貫」で担う災害対応の「司令塔」としての体制を確立して、「切れ目のない防災行政」を実現してまいります」と述べた。さらに「前総理の石破総理が情熱を注がれた防災庁のプランでございますので、確実なものとしてスタートを切りたい」と、前政権からの構想であることにも触れた。
内閣官房が公表した政令案の要綱では、防災庁設置法(令和8年法律第61号)の施行期日を11月2日と定めている。同時に示された防災庁組織令の要綱によると、庁内には、庁の事務を分担する統括官4人、統括官の職務のうち重要事項を助ける審議官2人、統括官を補佐する参事官15人を置く。公文書の管理や情報公開を担う公文書監理官1人も置き、他の職にある者が兼ねる。組織令も設置法と同じ11月2日から施行する。発足日を決めた政令の内容は防災庁、11月2日に発足 施行期日の政令を閣議決定 統括官4人・参事官15人を置く 地方機関「防災局」の施行日は決まらずで伝えた。
国連訪問と来年度予算にも触れる
外交では、9月24日の米ニューヨーク訪問を振り返り、米国、ウクライナ、トルコの首脳や国連事務総長との会談で「連携強化」を確認したと報告した。国連総会の一般討論演説では「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持・発展と、多国間主義への日本の関与を発信したと述べた。
編成中の2027年度(令和9年度)予算については、高市内閣が進める「予算編成改革」を概算要求の段階から反映した「初めての予算」になると位置づけた。「責任ある積極財政」の下で「日本成長戦略」と「地域未来戦略」を両輪に国内投資を引き出すとともに、「日本版DOGE」の取り組みを強めて歳出と歳入の全般を見直し、「強い経済」と「財政の持続可能性」の両立を図るとした。与党には、予算と税制の取りまとめへの協力を重ねて求めた。
臨時国会では10月5日に首相が衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。首相が連絡会議で名前を挙げた2法案は、いずれも衆院での審議が続いている。
