政府は9月25日の閣議で、防災庁設置法(令和8年法律第61号)の施行期日を令和8年11月2日と定める政令を決定した。7月17日の公布から2か月余りで発足日が固まり、災害対応の司令塔を担う新しい役所が11月2日に動き出す。同じ閣議で防災庁組織令と、関係する政令をまとめて整える政令も決めている。
内閣の直属に置き、中央防災会議も移す
防災庁は、これまで内閣府の一部局が担ってきた防災担当を改組し、内閣の直属に置く組織だ。法律は、庁の長と主任の大臣を内閣総理大臣とし、その下に庁の事務を統括する防災大臣を置くと定めている。防災大臣には関係行政機関の長に対する勧告権が与えられ、勧告を受けた側には尊重する義務が課される。省庁の縦割りを越えて対策を促すための仕組みで、「防災庁」今国会で成立の見通し 災害対応の司令塔、11月にも発足へで伝えた法案段階からの骨格がそのまま残った。
受け持つ仕事は二つに分かれる。内閣を助ける事務として、防災施策の基本方針や計画づくり、大規模災害への対処の企画立案と総合調整を担う。自ら実施する事務としては、中央防災会議や災害対策本部の設置・運営、国や自治体、民間が計画に基づいて進める事前防災の後押し、被災者と被災自治体の支援、千島海溝地震・日本海溝地震・首都直下地震・南海トラフ地震などへの対策が並ぶ。内閣府に置かれていた中央防災会議は、防災庁へ移る。研修と研究を行う文教研修施設として「防災大学校」(仮称)を置くことも可能とされた。
事前防災に重点を置くのは、被害の大きさが発災前の備えで決まるためだ。南海トラフ地震、全員が10分で避難を始めれば津波の死者は約21万5000人から約7万3000人に 令和8年版防災白書 家具の固定は35.9%、感震ブレーカーは8.5%のとおり、政府の試算では避難行動や耐震化といった個々の取り組みで被害が大きく減る。
統括官4人、参事官15人 事務次官も置く
同じ日に決定した防災庁組織令が、庁内の骨組みを定めた。防災庁には統括官4人を置き、命を受けて庁の事務を分け持たせる。その下に審議官2人(他の職との兼任者を除く)を置き、統括官が担う職務のうち重要事項を助ける。公文書の管理や情報公開、個人情報保護を受け持つ公文書監理官1人は、関係する他の職に就く者を充てる形とした。実務の中核となる参事官は15人(兼任者を除く)を置く。
法律の側では、副大臣と大臣政務官1人に加えて、庁務を整理し各部局の事務を監督する事務次官1人を置くと定めている。組織令は防災庁設置法の施行日と同じ11月2日から施行する。関係政令を整える政令は32条にわたって既存の政令を書き換えるもので、こちらも11月2日施行で、経過措置が設けられた。
地方機関「防災局」の施行日は未定
今回の政令で決まったのは、法律の本体部分の施行日だけである。政令は防災庁設置法附則第1条本文に基づいて制定されており、地方機関として置く「防災局」に関する規定は対象に入っていない。内閣官房が公布時に示した法律の概要によると、防災局の規定は公布の日である7月17日から2年を超えない範囲内で、別に政令で定める日から施行することになっている。全国に出先機関を構える時期は、現時点で示されていない。
法律の施行に合わせて災害対策基本法も改められる。科学的なリスク評価に基づく事前防災と、被災者の良好な生活環境の確保が災害対策の基本理念に加わり、災害からの復旧・復興を進めるための本部を設ける規定が新たに入る。日本海溝・千島海溝地震法と南海トラフ地震法には、リスク評価の結果や人口の動き、技術の進展に応じて基本計画を見直す義務が新設される。
令和9年度の要求額は211億円
8月26日に内閣官房防災庁設置準備室が公表した令和9年度の予算概算要求では、防災庁所管の要求額を211億8719万6000円とした。歳出概算要求書が前年度予算額として示す206億5067万7000円に対し、5億3651万9000円の増となる。内訳は防災基本政策の企画立案などに124億8149万5000円、庁の一般行政に62億1127万2000円、事前防災対策の総合的な推進に17億円などとなっている。
このほか、人件費のうち増員要求と定員の振り替えにかかる分、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく施策の経費は、金額を示さずに項目だけを立てる「事項要求」とし、年末の予算編成の過程で詰める。発足時に何人の職員を抱える組織になるかは、この編成作業を待つことになる。
