愛知県は10月30日、9月8日からの大雨で住宅に多数の被害が出た名古屋市に、被災者生活再建支援法を適用したと発表した。県の公示によると、市内で住宅に被害を受けた世帯は半壊が230世帯以上、床上浸水が210世帯以上に上る。住宅が全壊、大規模半壊、中規模半壊するなどした世帯は、申請すれば被害の程度と再建の方法に応じて最大300万円の支援金を受け取れる。内閣府政策統括官(防災担当)も同じ日に適用を公表した。
半壊230世帯以上・床上浸水210世帯以上で適用
県が10月30日付で出した公示は、9月8日に名古屋市の区域で発生した大雨による災害を、支援法の対象となる自然災害とすると定めた。適用の基準は支援法施行令第1条第1号で、「災害救助法施行令第1条第1項第1号又は第2号」に当たる被害が出た市町村を対象とする規定である。
災害救助法施行令第1条第1項第1号は、市町村の人口に応じて決めた数以上の世帯の住宅が「滅失」したことを基準とする。人口30万人以上の市町村では150世帯である。数えるときは、半壊した世帯は2世帯で1世帯分、床上浸水で一時的に住めなくなった世帯は3世帯で1世帯分とみなす(同条第2項)。県の公示の数字をこの換算に当てはめると、半壊230世帯で115世帯分、床上浸水210世帯で70世帯分、合わせて185世帯分となり、150世帯を上回る。
名古屋市には、9月8日の時点で災害救助法がすでに適用されている。内閣府が9月9日に出した資料によると、根拠は同法施行令第1条第1項第4号で、「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じている」ことを理由とした。第4号は住宅被害の数を基準にしない。これに対し支援金の支給を決める支援法施行令第1条第1号は、住宅被害の数を基準とする。今回の公示は、住宅被害の世帯数を並べて、この基準に達したことを示した形になっている。
名古屋で1時間104.5ミリ、市内の住家被害は715件
内閣府が9月11日午前8時時点でまとめた被害状況によると、8日は西日本から東日本に停滞した前線の活動が活発になり、愛知県と岐阜県で線状降水帯が発生した。愛知県では24時間雨量が9月の平年1か月分に当たる200ミリを超え、8日夕方には名古屋で観測史上1位となる1時間104.5ミリの雨を観測した。愛知・岐阜両県を流れる庄内川には、8日午後6時20分から9日午前0時40分までレベル5の氾濫特別警報が出た。この大雨の経過と、名古屋市への普通交付税の前倒しは普通交付税の「繰上げ交付」とは 災害時に11月定例交付分の30%を前倒し 2026年度は台風第25号で千葉県42団体に142億5500万円、台風第24号で名古屋市に1億6100万円で伝えた。
名古屋市は8日午後3時34分に災害対策本部を置いた。市のまとめでは、避難所への避難者の総数は3547人で、避難所は9月10日にすべて閉じた。人的被害(10月15日現在)は軽傷14人で、死者・行方不明者・重傷者はいない。
住宅の被害(10月29日現在)は、全壊0、半壊231、一部損壊31、床上浸水214、床下浸水239の計715件である。市は、浸水被害のうち一定程度以上のものを半壊、それ以外を床上・床下浸水として数えている。区別では昭和区が164件(うち半壊63件)で最も多く、守山区115件(同53件)、千種区88件(同35件)が続く。
被害の程度を確かめる建物被害認定調査は9月16日に始まった。10月29日現在、申請は899件、調査済みは867件、証明書の発行済みは719件である(住宅の罹災証明書と、住宅以外の被災証明書の合算)。
支援金は最大300万円、中規模半壊は再建方法に応じた分だけ
支援金は、住宅の被害の程度に応じた「基礎支援金」と、再建の方法に応じた「加算支援金」を合わせた額となる(支援法第3条)。複数の人が暮らす世帯の場合、次の通りである。
| 被害の程度 | 基礎支援金 | 建設・購入 | 補修 | 賃借 |
|---|---|---|---|---|
| 全壊・解体・長期避難 | 100万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
| 大規模半壊 | 50万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
| 中規模半壊 | なし | 100万円 | 50万円 | 25万円 |
出典: 被災者生活再建支援法第3条、名古屋市「被災者生活再建支援金の支給について」
全壊した世帯が住宅を建て直すか買えば、基礎支援金100万円と加算支援金200万円の計300万円となる。大規模半壊なら最大250万円、中規模半壊なら最大100万円である。一人暮らしの世帯は、それぞれの額の4分の3になる(同条第7項)。加算支援金は公営住宅を借りる場合は対象にならず、補修と建て直しのように二つ以上に当たるときは、最も高い額だけが支払われる。
注意が要るのは、支援金の対象が「半壊」のすべてではない点である。支援法第2条は、半壊した住宅のうち大規模な補修か、居室の壁・床・天井の過半に及ぶ相当規模の補修をしなければ住めないもの(大規模半壊・中規模半壊)を対象とし、それより軽い半壊は、やむを得ず住宅を解体した場合に限っている。名古屋市が公表している半壊231件のうち、大規模半壊や中規模半壊がどれだけあるかの内訳は、市の資料には載っていない。
支援金は都道府県が出し合った基金から、公益財団法人都道府県センターを通じて支払われる。国はその2分の1を補助する。
申請は区役所総務課、基礎支援金は2027年10月7日まで
申請の期限は支援法施行令第4条が定める。基礎支援金は災害が起きた日から13か月、加算支援金は37か月である。名古屋市は期限を、基礎支援金が2027年10月7日、加算支援金が2029年10月5日と示している。都道府県は、やむを得ない事情があれば期限を延ばせる。
申請先は、被災した世帯が住む区の区役所総務課である。市によると、申請書に罹災証明書、被災時の世帯構成が分かる世帯全員の住民票の写し、預金通帳の写し、運転免許証などの本人確認書類を添える。住宅を解体した世帯は解体証明書か滅失登記簿謄本、加算支援金を求める場合は建て直しや補修、賃貸の契約書などの写しも要る。世帯主以外の家族が受け取るときは委任状を出す。市の支援金のページには、16区それぞれの総務課の電話番号が載っている。申請書は「名古屋市被災者生活再建支援金支給申請書」という名前で、同じページから入手できる。
市は9月16日から建物被害認定調査を進めており、罹災証明書に書かれる被害の区分が、そのまま支給額を決める。中規模半壊と、それに届かない半壊とでは、受け取れる額が最大100万円と0円に分かれる。
9月以降の適用は6県、千葉は県全域
防災庁のサイトには9月18日以降、支援法の適用の公表が並んでいる。いずれも内閣府政策統括官(防災担当)名の1枚の資料で、都道府県からの報告を受けて国が公表する。
| 公表日 | 県 | 適用区域 | 災害 | 施行令の基準 |
|---|---|---|---|---|
| 9月18日 | 石川 | 羽咋市 | 8月27日からの大雨 | 第1条第1号 |
| 9月18日 | 富山 | 氷見市 | 8月27日からの大雨 | 第1条第1号 |
| 10月2日 | 鹿児島 | 徳之島町・天城町・伊仙町 | 台風第18号 | 第1条第2号・第4号 |
| 10月9日 | 神奈川 | 三浦市 | 台風第25号 | 第1条第2号 |
| 10月23日 | 千葉 | 千葉県 | 8月千葉豪雨から台風第25号までの一連の災害 | 第1条第3号 |
| 10月30日 | 愛知 | 名古屋市 | 9月8日からの大雨 | 第1条第1号 |
出典: 内閣府政策統括官(防災担当)の各公表資料
基準の号は被害の規模を示す。第2号は市町村で10世帯以上の住宅が全壊した場合、第3号は都道府県で100世帯以上が全壊した場合で、千葉県は第3号に当たったため県全域が対象になった。第4号は、第1号か第2号の被害が出た都道府県の中で、人口10万人未満の市町村に5世帯以上の全壊が出た場合に適用される。
名古屋市の公表資料は10月30日付で、内閣府政策統括官(防災担当)の名で出た。支援法と施行令は、11月2日施行の「防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」で改められ、施行令の手続きの規定は「防災庁令」を引くようになった。防災庁の発足と組織は防災庁が発足、初代次官に長橋和久氏 統括官4人の4グループ体制 防災技術の海外展開も掲げるで伝えた。
