警察庁は10月19日、令和8年(2026年)9月末時点の交通事故統計月報を公表した。今年に入ってからの交通事故の死者は1752人で、前年同期の1778人より26人(1.5%)少ない。8月末の時点では前年と同じ1549人で並んでいたが、9月の1か月間に前年同月を26人下回ったため、累計が前年割れに転じた。減った26人はすべて9月分の差であり、1〜8月の合計は前年と変わっていない。

9月の1か月で事故も死者も減った

9月末までの交通事故件数は20万6057件で、前年同期より1324件(0.6%)少なかった。死亡事故の件数は1717件で30件(1.7%)減、負傷者は24万3311人で1680人(0.7%)減った。いずれも前年をわずかに下回る水準で、累計の減り方は1%前後にとどまる。

一方、9月の1か月だけを取ると減り方が大きい。事故件数は2万2394件で前年同月より1109件(4.7%)減、死亡事故は198件で29件(12.8%)減、死者は203人で26人(11.4%)減、負傷者は2万6428人で1347人(4.8%)減だった。累計のわずかな減少は、ほぼこの1か月でできた差である。

項目 9月末までの累計 前年同期比 9月の1か月 前年同月比
交通事故件数 20万6057件 1324件減 2万2394件 1109件減
死亡事故件数 1717件 30件減 198件 29件減
死者数 1752人 26人減 203人 26人減
負傷者数 24万3311人 1680人減 2万6428人 1347人減
令和8年9月末時点の交通事故発生状況出典: 警察庁「交通事故統計月報(令和8年9月末)」表1-1

月ごとの死者数を並べると、振れの大きさがわかる。1月は196人で前年同月より38人少なかったが、3月は207人で16人増、5月は191人で19人増、7月は220人で35人増と、増える月が続いた。8月は167人で36人減、9月は203人で26人減となり、夏以降の2か月で前年を62人下回った。1〜9月を通した1日あたりの死者は6.4人である。交通事故の死者、8月末で1549人 前年と1人も変わらず 65歳以上が31人減った分、65歳未満が31人増えたの時点では前年と同数だったが、9月を加えて差が開いた。

長い目で見れば死者数は大きく減っている。10年前の平成28年(2016年)9月末時点は2758人で、今年はその約64%の水準にあたる。ただし減り方は年々小さくなっており、前年同期比1.5%減という今年の幅は、この10年のうちでも小さいほうだ。

65歳以上が46人減り、65歳未満は20人増えた

年齢層ごとに見ると、減ったのは高齢層に偏っている。65歳以上の死者は935人で、前年同期の981人から46人(4.7%)減った。逆に65歳未満は817人で、797人から20人(2.5%)増えている。死者全体に占める65歳以上の割合は53.4%だった。

65歳以上のなかでは、65〜69歳が111人で21人(15.9%)減、70〜74歳が139人で25人(15.2%)減、80〜84歳が195人で24人(11.0%)減と、三つの層で大きく減った。一方、75〜79歳は230人で19人(9.0%)増え、85歳以上も260人で5人(2.0%)増えている。前期高齢者で減り、75歳以上の一部で増える形になった。

65歳未満では、20〜24歳が103人で23人(28.8%)増、30〜34歳が48人で15人(45.5%)増と増え方が目立つ。5〜9歳は5人から15人へ10人増、10〜14歳は1人から6人へ5人増えた。いずれも人数そのものは少なく、年ごとの振れが大きい層だが、子どもと20代・30代前半がそろって増えている。減ったのは25〜29歳の13人減、60〜64歳の9人減などだった。

この傾向は短い期間の集計にも出ている。秋の全国交通安全運動の10日間、交通事故の死者77人 前年の80人から3人減 75歳以上が34人で44.2% 夜の歩行中は19人で6人増えたでは、9月21日から30日までの16〜24歳の死者が4人から9人へ増え、30〜34歳も28人から44人へ増えていた。

自動車乗車中が増え、原付と自転車が減った

亡くなったときの状態別では、自動車に乗っていた人が639人で前年同期より16人(2.6%)増えた。死者全体の36.5%を占め、10年前の35.7%より高い。歩行中は576人で1人減の32.9%、自転車乗用中は200人で15人(7.0%)減の11.4%だった。

二輪車は減り方が大きい。二輪車乗車中の合計は332人で29人(8.0%)減り、うち一般原動機付自転車(原付)に乗っていた人は78人で27人(25.7%)減った。自動二輪車は254人で2人減とほぼ横ばいである。最高速度が時速20キロに制限される特定小型原付(電動キックボードなど)の死者は3人で、前年の1人から2人増えた。

75〜79歳で死者が19人増えた中身を見ると、自動車乗車中が91人で20人(28.2%)増、歩行中が93人で16人(20.8%)増だった。同じ層の自転車乗用中は28人で12人減っており、増えたのは車に乗っていた人と歩いていた人である。85歳以上では歩行中が143人で4人増え、同層の死者260人の55.0%を占めた。65歳以上全体では、原付乗車中が41人で8人(16.3%)減っている。

免許10万人当たりの死亡事故、16〜19歳が7.87件

死亡事故を起こした側の年齢も統計に出ている。原付以上の運転者が最初の当事者(第1当事者)となった死亡事故を免許保有者10万人当たりで見ると、全年齢の平均は1.92件で、前年同期の1.93件とほぼ変わらない。

層ごとの差は大きい。最も高いのは16〜19歳の7.87件で、前年同期の6.51件から1.36件(20.8%)上がった。85歳以上の7.49件を上回り、全年齢層のうち最も高い。20〜24歳も2.92件で、前年の2.19件から0.72件(33.0%)上がった。16〜24歳をまとめると3.65件で、前年の2.82件から0.83件(29.4%)上がっている。

免許保有者10万人当たり死亡事故件数(令和8年9月末)(件)

16-197.8785以上7.4980-843.9420-242.9275-792.65全年齢1.92
16〜19歳の7.87件が全年齢層で最も高く、85歳以上の7.49件を上回った出典: 警察庁「交通事故統計月報(令和8年9月末)」表3-3
数値で見る(単位: 件)
項目件
16-197.87
85以上7.49
80-843.94
20-242.92
75-792.65
全年齢1.92

16〜19歳の免許保有者は76万2731人で、保有者全体8151万369人の0.9%にすぎない。85歳以上の98万7713人(1.2%)と合わせても2%余りで、この二つの層が事故を起こす割合の高さは、人数の多さではなく層ごとの事故の起こりやすさを示している。

高齢層は全体としては改善した。65歳以上は2.59件で前年の2.68件から0.09件(3.3%)下がり、70〜74歳は1.87件で0.36件下がった。ただし80〜84歳は3.94件で0.35件(9.8%)上がり、75歳以上をまとめた3.58件も0.15件(4.4%)上がっている。最も低いのは30〜34歳と35〜39歳の1.12件で、16〜19歳の7分の1程度である。

夜間だけが増え、酒酔い運転は28件に

時間帯で分けると、増えたのは夜間だけだった。昼間の死者は957人で前年同期より41人(4.1%)減ったのに対し、夜間は795人で15人(1.9%)増えた。死者全体に占める夜間の割合は45.4%で、前年同期の43.9%より高い。

夜間のうち、日没前後の「暮」にあたる時間帯の死者は138人で、前年の109人から29人(26.6%)増えた。真夜中の「夜」は576人で3人減、夜明け前後の「明」は81人で11人減っており、増えたのは日没前後に集中している。死亡事故の件数で見ても、夜間の「暮」は137件で29件(26.9%)増えた。日の入りが早まる秋以降、この時間帯の通行量と危険が重なる。

死亡事故を起こした運転者の法令違反別では、酒酔い運転が28件で前年同期の11件から17件(154.5%)増えた。最高速度違反は92件で22件(31.4%)増、優先通行妨害は72件で20件(38.5%)増、歩行者妨害等は141件で11件(8.5%)増えている。一方、最も件数が多い漫然運転は208件で50件(19.4%)減り、脇見運転も137件で22件(13.8%)減った。注意力の不足による事故が減るなかで、速度や飲酒といった明確な違反を伴う事故が増えている。

計画の目標は年1900人以下

死者数の水準は、政府が掲げる目標と照らして見る必要がある。中央交通安全対策会議が令和8年3月27日に決定した第12次交通安全基本計画は、令和12年(2030年)までに事故発生から24時間以内に亡くなる人を年1900人以下、重傷者を年2万人以下にするとの目標を定めた。計画期間は令和8年度から12年度までの5年間である。

令和7年の死者は通年で2547人だった。前の第11次計画が令和7年までの目標としていた2000人以下には届かず、547人上回って終わっている。今年は9月末までで1752人であり、前年同期から26人減ったとはいえ、残る3か月で例年と同じ水準の死者が出れば通年では2400人前後になる。目標との差は500人規模のまま残る。

警察庁の月報は速報値と確定値を混ぜて集計している。交通事故件数と負傷者数は速報値、死亡事故件数と死者数は確定値である。10月以降の数字は11月以降の月報で順次公表される。