警察庁交通局は10月2日、令和8年(2026年)秋の全国交通安全運動の期間中に起きた交通事故の発生状況を公表した。期間は9月21日から30日までの10日間で、この間の交通事故による死者は77人。前年の同じ期間(令和7年9月21日〜30日)の80人から3人、3.8%減った。事故の件数は6908件で598件(8.0%)減り、負傷者は8211人で639人(7.2%)減った。事故件数と負傷者数は速報値で、後から修正されることがある。

この運動は春と秋の年2回、全国で同じ期間に行われる。今回は「歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進」「夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や『ながらスマホ』の根絶」「自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底」の3点を全国共通の重点に掲げていた。運動の内容は秋の全国交通安全運動、21日から10日間 9月1日に下がった生活道路30キロと自転車「青切符」の周知が柱で取り上げている。

死者の53.2%が65歳以上 10代は1人から5人へ

年齢層別に見ると、75歳以上が34人で最も多く、全体の44.2%を占めた。65歳以上に広げると41人、53.2%になる。10日間に亡くなった人の半分以上が高齢者だった計算だ。ただし65歳以上は前年の同じ期間から増減がなく、75歳以上は2人減っている。

目を引くのは若い層である。16〜24歳は9人で、前年の4人から5人増えた(125.0%増)。うち16〜19歳は1人から5人へ4人増えている。16〜24歳の9人のうち5人は自動二輪車に乗っていた人、4人は自動車に乗っていた人(運転中1人、同乗中3人)だった。年間の統計でも高齢者が減る一方で65歳未満が増える動きが出ており、交通事故の死者、8月末で1549人 前年と1人も変わらず 65歳以上が31人減った分、65歳未満が31人増えたで8月末時点の内訳を扱っている。

状態別では、自動車に乗っていた人が31人(40.3%)で5人増え、歩いていた人が26人(33.8%)で3人増えた。これに対し二輪車に乗っていた人は11人で10人減(47.6%減)、自転車に乗っていた人は9人で1人減だった。特定小型原動機付自転車(最高速度20キロ以下などの基準を満たす電動キックボードなどで、16歳以上は免許なしで乗れる区分)に乗っていて亡くなった人はいなかった。

昼は8人減ったが、夜は5人増えた

昼と夜で分けると、動きが逆を向いている。昼の死者は40人で8人(16.7%)減ったのに対し、夜は37人で5人(15.6%)増えた。増えた中身は歩行者である。夜に歩いていて亡くなった人は19人で、前年の同じ期間より6人(46.2%)多い。このうち10人は65歳以上だった。昼の歩行中は7人で3人減っており、歩行者の死者が増えたのは夜の分だけだ。日が落ちる時刻が早まる時期に、運動が「夕暮れ時の早めのライト点灯」と反射材の着用を重点に挙げていたのは、この型の事故を見込んだためである。

自動車に乗っていて亡くなった31人の内訳は、運転していた人が23人、同乗していた人が8人。シートベルトの着用状況では、着けていた人が16人、着けていなかった人が12人、不明が3人だった。着けていなかった12人のうち9人は運転者である。

日別の死者数では9月25日の12人が最多で、29日10人、22日9人と続いた。なお9月30日は「交通事故死ゼロを目指す日」と位置づけられており、警察庁はこの日に起きた死亡事故を7件・7人と発表している。同じ日の死者数は日別の集計では8人で、集計の基準日が異なるため数字がずれる。

死者ゼロは1府11県 千葉では乗用車が炎上し3人死亡

都道府県別では東京の7人が最も多く、千葉5人、石川・愛知・福岡が各4人と続いた。一方、岩手、栃木、富山、福井、三重、京都、奈良、鳥取、岡山、高知、長崎、沖縄の1府11県は死者が0人だった。東京は前年の同じ期間の2人から5人増え、島根や徳島など前年0人から増えた県もある。10日間という短い期間の集計のため、1件の事故で順位が入れ替わる水準の数字である。

死者3人以上または負傷者20人以上という基準に当たる「重大特異事故」は1件あった。9月29日午前4時15分ごろ、千葉県内の国道の交差点で、進行していた普通乗用車が対向してきた中型貨物車と正面衝突。乗用車が炎上し、乗っていた3人が死亡、1人が重傷を負い、貨物車の1人が軽傷を負った。高速道路での重大特異事故はなかった。

飲酒運転による事故は35件で、うち1件が死亡事故だった。捜査中で飲酒運転と確定できないものは除いた数字である。75歳以上の運転者が第1当事者となった死亡事故は13件で、全年齢の64件の約2割を占めた。

10日間の死者は10年前の94人から17人減った

警察庁が併せて示した過去10年の推移では、秋の運動期間中の死者は2017年94人、2018年94人、2019年89人、2020年88人、2021年63人、2022年83人、2023年63人、2024年74人、2025年80人、2026年77人となっている。2021年と2023年の63人が底で、その後は74人、80人、77人と60人台には戻っていない。

より長い目で見ると減り方は大きい。運動が始まった昭和29年(1954年)秋の10日間は死者219人、事故2410件、負傷者2015人だった。死者が最も多かったのは昭和46年(1971年)秋の446人である。平成12年(2000年)秋は事故2万5623件・死者258人・負傷者3万1306人で、今回は事故件数が当時の約27%、死者が約30%まで下がった計算になる。車の安全装備や救急医療、取り締まりの積み重ねで事故そのものと致死率が下がってきた一方、残った死者の半分以上が高齢者という構成は変わっていない。